『影狩り』
(1972年 日本)
監督 舛田 利雄
脚本 池上 金男
出演 石原 裕次郎
成田 三樹夫
内田 良平
■ストーリー■
徳川幕府は財政の破綻から逃れようと諸大名の藩を取り潰して領地の没収をしていた。幕府は数多くの隠密、忍者を放ち、諸大名のささいな落ち度を暴こうとした。世人はこの忍者、隠密を影といって恐れた。諸大名のとる策は潜入してくる影を殲滅することだった。ここに影を狩ることを商いとする浪人たち影狩りがいた。
5万8千石の弱小藩但馬出石藩は隠れ金山を持っていたが、影に見つけられ取り潰されようとしていた。だが出石藩には家康公から拝領した永代本領安堵があった。老中田沼意次はお国変えを指示、出石藩がお国変えを断るため永代本領安堵を江戸へ運ぶまでに奪おうというのだ。影狩り3人は江戸までを運ぶ仕事の依頼をうけるのだった。
■感想■
さいとうたかおの同名コミックの映画化。
ストーリーは、原作と同じく外様の藩を潰そうとする幕府の「影」と、「影」に怨みを持つ3人の影狩りが「影」の陰謀を打ち破るという物です。とにかく、全編、影と影狩りの戦いだけが描かれます!!
映画の冒頭のシーンから、石原裕次郎の主題歌をバックに金山で血まみれの死体の山が転がってます!
石原裕次郎のノンビリとした主題歌と、画面に映し出されるシーンとの雰囲気が全然あってないです!!死屍累々の金山をバックに、ノンビリとした歌謡曲のような主題歌!!もうそこだけで、つっこみたくなっちゃいます!!
その後、隠し金山の証拠の金を手に3手に分かれて江戸に向かう影を影狩りが待ち伏せ。石原裕次郎、成田三樹夫、内田良平の3人の影狩りの前に影は皆殺しにされます。3人とも化け物みたいに強いのでもちろん影は皆殺しに!!
化け物みたいに強いというのは、ちょっとほめすぎでした!時代劇のヒーローとしては普通でした。3人とも空飛べないですしね。時代劇のヒーローも、武侠映画のヒーローみたいに、強くなると、ほとんど空を飛んでますもんね。武侠映画のヒーローのように何百メートルも空飛びませんけど、5メートルくらいはジャンプしてますもんね!!
影狩りの3人が強すぎるので、まるで弱いものいじめに見えちゃいます。強いといえば、石原裕次郎演じる室戸十兵衛は剛剣で石の灯篭もぶった切っちゃいます。(←えーッ!)影の頭領が首を斬られて、首から上が空中に舞って飛んでって竹に刺さり血がプシューッ!こういう演出大好きです!!舛田利夫監督も『必殺5黄金の血』でもこれくらい血まみれのシーン連続で、作品を監督してくれれば良かったのに!!とにかく次から次へと影が襲ってきますけど、3人の前に皆殺し状態!!
斬りあいのシーンでは、この時代の作品らしく相変わらず斬られるとプシュー、プシューッ!と血が!この時代はこんな作品ばっかりで観てて楽しくなります。まぁ、でも最初の方で影の頭領の首が竹に突き刺さるのとかはちょっと引きました。もっと引くのが月光がセミヌードの女性の影を斬るシーン!目そむけました・・こんなに斬ったら影がいなくなるんじゃないのっていうくらい斬りまくりです。
最後の方で、今作の影のボスが、短筒かまえて、影狩りの室戸十兵衛に向けると、
十兵衛が「弾は1発、撃っても残りの者がお前たちを斬るぞ」って言うと、影のボスが「残りとは?」みたいなこと言うと、ピンチを抜け出してきた日光と月光が現われるシーン!思わずシビレちゃいます!すごくカッコ良い!!
まぁ、このシーンで影のボスが「仲の良い事だ」なんて言ってますけど、ハッキリ言って余裕かましてる場合では無いでしょ!!
こういうやりとりなんかも最高に好きです!あと江原真二郎演じる高坂蔵人との斬り合いとかチャンバラシーンはかなり見ごたえあり!の1本です。
時代劇ファン必見の作品です。DVD化されないでしょうかね!! 90点