「高円寺Misson’s presents The elevated fate」というイベント。10月23日のUFO Clubのあと海外ツアーに出ていた灰野さんの一ヶ月ぶりの凱旋ライヴ。久々に轟音ギターのシャワーを浴びることができると思うとワクワクする。
トップ・バッターは”即興垂れ流しバンド”ゴイゾンだったが、間に合わず観れなかった。
次の鳥を見たから観戦。なかおちさと氏(vo,g)にバリトン・サックス、ベース、ドラムスの4人組の演奏を観るのは3回目になる。基本的になかお氏のフォーク調の歌メロにノイズ・ギターとアヴァンギャルドなサックス、骨太なヘヴィ・ロック・リズムが絡む音楽性は裸のラリーズの流れを汲む。サイケデリックな轟音ジャムもいいが、個人的には抒情的なメロディをもっと押し出してもいいと思う。あと一息、といったところ。
続いてWabo-Chao。宮下敬一氏(g,synth)、田畑満氏(b)、藤掛正隆氏(ds)よるインスト・トリオ。田端氏、藤掛氏はそれぞれ別のバンドで観たことがあるが、宮下氏を観るのは初めて。パワフルな藤掛氏のドラムに動きの多い田畑氏のベース、そして柔軟な宮下氏のギター。演奏は殆ど即興だが、プログレ的な流れがあり盛り上がるととてもファンキーなサウンドで自然に身体が動く。ROVOやPARAにも似たグルーヴィかつ変態的なインスト・バンドでなかなか良かった。
トリに灰野さんの登場。ステージ前のスクリーンが上がる前にガーンと轟音ギターが鳴り響く。この音を一ヶ月間待ちわびていたのだ。照明はほぼ真っ暗な中スモークが焚かれ灰野さんのシルエットが浮かぶ。長い髪が僅かな照明に透けて見えるのが美しい。ひとしきりギターが叫んだあとヴォーカルへ。ドラムマシーンのエスニックなリズムに乗せて竹の笛を吹き歌を聴かせる。再び耳を圧するギター・ノイズ。ギターを置いてドラムマシーンとヴォーカル。1970年代から続く「うまくできない!」というブレない絶唱。そしてまた激しいギターのストローク。神々しいステージを1時間たっぷり堪能した。
灰野さんは2日前にロシア・ツアーから帰ってきたばかりだという。11月初めのペーター・ブロッツマンとのヨーロッパ・ツアーからいったん日本へ戻ってロシアへ行ったとのこと。11月下旬には再び渡欧する予定、という時差ボケにかかっている暇もない忙しさ。来年はもっと過酷なツアーが待っているとのこと。「でもユーロが弱いからあんまりいい稼ぎにはならないよ」と嘆いていた。
翌日はAltered Statesとの共演。「明日は左手のギタリストになるよ。今日は右手の(と言ってストロークの仕草をする)ギターだったけどね」。ということはかなりテクニカルなプレイが聴けるのだろう。内橋和久氏とのギター・バトルが観られるか?
灰野さん
忙しすぎる
気をつけて
鳥を見たの東郷生志氏、Wabo-Chaoの藤掛正隆氏、どちらのドラマーも灰野さんと共演経験がある、というのも奇遇なイベントだった。