STYLE BAND TOKYO
<BO NINGEN x COMANECHI W来日ツアー 東京公演>
LIVE:BO NINGEN/COMANECHI/THE NOVEMBERS/PLASTICZOOMS/NINGEN OK/ZZZ's
DJ: TOMO(STYLE BAND TOKYO) / SUMIRE(TWEE GRRRLS CLUB) / SI OUX(VIVE VAGINA) / HMS CONTROL / TOMMY(BOY) / FUJIWARAMON(Tokyo Dolls) / Komasaki(Inbetweeners) / Judy(Kinski) / Ian Martin(Call and Response) / U-Hey(Black Neon Party) / Foujita(SBT) / SUE(YIW) / DJ エピタフ(ありがとうおともだち。) / and more
FOOD: かりーぱみゅぱみゅ(十代暴動社)
BO NINGEN JAPAN TOURの東京公演。2ndアルバム「Line The Wall」日本盤発売を挟んで3月半ばまで続くツアーの前半は同じくロンドンで活動する女性シンガーAKIKO率いるCOMANECHIとの2マン公演。東京公演は前回同様STYLE BAND TOKYOイベントである。昨年8月代官山UNITで開催されたSTYLE BAND TOKYO 5th Anniversary Party!!! には行けなかったが1月ににクラブ・エイジアで開催されたイベントにはギターウルフ、N'夙川BOYSをはじめ若手バンドが大挙出演し最高のロケンローパーティーを楽しんだ。今回も未知のバンドが多くどんなイベントになるのか期待できる。
キャパ400人のクラブ・エイジアは満員。フロアに足を踏み入れて驚いたのは客層の若さと女子率の高さ。20代前後のオシャレな若者ばかりでまるでセーラー服を脱いだアーバンギャルという感じの前髪ぱっつんロングヘアーの女の子が目立つ。前列を背の低い女子軍団が占めるので客席後方からでもステージが観やすい。この娘たちの目当は一体誰?と頭をひねる間もなく最初のNINGEN OKがスタート。金沢在住のギターとドラムのデュオ。円錐型ライトを立てた幻想的なステージ空間で向き合って轟音インスト演奏を繰り広げる。以前BO NINGENと対バンしたガガキライズを思い出すがこちらの方がロックっぽい。激しく身悶えする裸足のギタリストは野生児そのもの。ブレイクを効果的に織り込み緩急をつけた演奏はひたすらスリリングに突っ走る。結成以来3年間ライヴ命で音源を出さなかったという理由がよくわかる。
(動画の撮影・掲載に関しては主催者・出演者の許可を得ています。以下同)
幕間に女の子DJがスターリンやコンチネンタル・キッズやばちかぶりなど80'sインディーズをアナログ盤でプレイする。ははぁこれが噂のTWEE GRRRLS CLUBか?と思ったがこのDJは違ったようだ。TWEE GRRRLS CLUBは人気女性DJチームで最近「インディ・ポップ・レッスン」というディスクガイドを出版した。1980~2000年代の"インディ・ポップ"をシチュエーション=気分別に紹介したユニークなカタログ。女子目線で選んだディスク群はマニアックな分析に走りがちな従来のガイドブックとは全く違う新鮮な感性に溢れている。アナログ盤への拘りも好ましい。このDJも含めアナログ好き女子とお話してみたいものだ。
2番目はガールズ・トリオZZZ's。ニューヨークをベースに活動するサーストン・ムーアお気に入りバンドというのがよくわかるNo New Yorkなノイズ・ロックを展開。照明が暗くて顔がよく見えないがうら若き乙女に違いない。水玉消防団やooiooに通じるプリミティヴな女子力暴走演奏が気に入り物販で自主制作CDを購入。これが滅茶苦茶カッコ良かった!TADZIO以来久々にオルタナ女子に惚れてしまった。
次のDJはBO NINGENのTaigen。エレクトロニカ/テクノ中心の選曲はあたかもロンドンのクラブにいる雰囲気。
3番目は PLASTICZOOMS。観客の中に黒いマスクの女子グループがいて何者?と思ったらこのバンドのファンだった。一見ヴィジュアル系かと思ったがサウンドはジョイ・ディヴィジョンやウルトラ・ヴォックスなど80’sニューウェイヴ色が濃厚。特にヴォーカルのダウナーな歌はイアン・カーティスを髣髴させるダークなオーラに満ちている。L'Arc~en~CielやPlastic Treeのようにヴィジュアル系にはUKロックの影響を受けたバンドが少なくない。ルックスは派手でも中身は真摯な音楽マニアなのである。ファンの女の子たちも彼らを通して洋楽ロックに興味を持ってくれれば嬉しい。
4番目に THE NOVEMBERS。裸のラリーズが鳴り響くファッション・ショーを開催したファッションブランド、ラッド・ミュージシャンのショーにも出演したバンドである。ヴォーカルが金髪黒マントでV系っぽい要素もあるが音はストレートなロケンロー。激しくソリッドなギターサウンドとハイトーンヴォイスにモーサム・トーンベンダーやブランキー・ジェット・シティに通じるものを感じる。カリスマ性があるヴォーカリストは会場を埋めた10~20代のファンにとっては教祖的存在らしくステージに見入る女子たちの瞳が潤んでいる。
女子の目当てはTHE NOVEMBERSなのかと思ったが終わってもステージ前を離れる様子はない。期待でザワザワ感の高まる中 COMANECHIの登場。名前通りレオタード姿のヴォーカルのAKIKOがギターとドラムのハードパンクをバックに叫びを上げて暴れ回る。その奔放さはサウンドは違うがあふりらんぽを思わせる。サーストン・ムーア似の長身ギタリストはひたすらギターを掻き毟り、童顔イケメンのドラマーのアクションはキース・ムーンばり。関西弁のMCの声は枯れているが渾身のシャウトを聴かせるAKIKOは後半ギターを構え多少落ち着いた演奏。しかし最後に客席に乱入するところはN'夙川BOYSっぽくもある。関西特有のサービス精神旺盛なお祭りパフォーマンスは海外でも大うけに違いない。
トリはBO NINGEN。Taigenの姫カットを見てやっと前列を占める前髪ぱっつん女子の目当てが彼らだったことを理解する。いつの間にか女性ファンが増えていた訳だ。ニュー・アルバムの日本盤は27日発売なので聴いていないファンが多いはずだが、新作1曲目の「Soko」からスタートしたライヴは最初から大盛り上がり。「Henkan」「Koroshitai Kimochi」と人気曲連発でモッシュ状態。毎回披露する未発表の新曲も素晴らしい。MCや歌詞には「こんなもんじゃない、まだまだやれるはず」「いつでも前向きに進む」といった超ポジティヴなメッセージが籠められている。どんなに弾けても破綻しない激烈演奏はさすが百戦錬磨のライヴバンド。エンディングの「Daikaisei」及びアンコールの「Maguro」での楽器をブン投げての捨て身のフリークアウトはまるでツアーファイナルの様相を呈していた。ステージでは毎回全力投球だからこそBO NINGENのライヴは見逃せない。
それにしてもSTYLE BAND TOKYOの充実したラインナップは感動的。間違いなく今最もエキサイティングなロック・イベントのひとつであろう。
スタイルの
壁を越えて
ロケンロー
3月14日渋谷WWWの追加公演「でんぱNINGEN BOYS」=でんぱ組.inc +BO NINGEN+N'夙川BOYSが楽しみでならない。