A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ナイフとフォークで召し上がれ!~新世代フォーキーの逆襲:keme/新山詩織/マヒトゥ・ザ・ピーポー etc.

2013年07月06日 00時12分48秒 | 素晴らしき変態音楽


昨日のブログで紹介した大森靖子をはじめ、アコギの響きを活かしたアコースティック系アーティストが最近面白い。機材の発展とともに進化してきたデジタル/エレクトロ系ロックが、パソコンとネットの普及により没個性化して衰弱し、ロック表現のキモが演奏者の感性がダイレクトに発揮される生楽器にトランスフォームしていることを感じる。前世紀末、CDの普及とDJ文化の隆盛により埋もれていた過去音源が大量に再発見・発掘され、従来のジャンル分けに収まらなくなったため、音楽スタイルを表す呼称が次々生み出された。「フリー・ソウル」「サバービア」「モンドミュージック」「レア・グルーヴ」などがあるが、生楽器中心のアコースティックな感覚の音楽は「フォーキー」と呼ばれた。現在あまり使われないこの言葉は、テン世代の新感覚アコースティック・サウンドを表現するのに適している気がする。

●keme


キノコホテルの電気ギター担当、イザベル=ケメ鴨川の裏の顔がkeme(ケメ)。キノコ就職前の2007年にSSW活動を始めたというからこっちが表かもしれない。GSやR&Bと同時に吉田拓郎や中島みゆきなど70年代フォークに影響を受けただけに、キャスケットとベストでアコギを抱えた姿が堂に入っている。ケメといえば吉田拓郎や泉谷しげるが在籍した70年代フォークの牙城エレックレコードの顔、佐藤公彦のニックネーム。ケメ鴨川がルックスやファッションを含め大きな影響を受けたことは間違いない。




●新山詩織


昨年12月に16歳でデビューした高校生SSW新山詩織。笹路正徳プロデュースのメジャーデビューシングル「ゆれるユレル」のカップリングでは、THE GROOVERSの「現在地」を本人バックでカバー。父親世代ロッカーの向こうを張ったブッといヴォーカルを聴かせる。メルマガ購読者に直筆サイン入りCDを送付するという真摯な姿勢に、アイドル同様の熱意を感じる。




●つばさ(今村つばさ)


石川県金沢市を拠点に活動するご当地アイドルならぬご当地SSW、今村つばさ。2005年頃マイスペースで知り合い、同じ金沢育ちなので意気投合した。マイスペの凋落で音信不通になったが、Facebookで再会。2009年のデビューアルバム『雨のよるに』は心に染みるハートフル・メロディーと、キュートなロリ声に萌えるアンビエント・フォークの傑作。金沢市文化ホールでワンマンを成功させ、2012年2nd『How To Fly』をリリース。石川県の観光特使としてWEB TVやラジオ、ようつべで世界に向けて日本の情報や生活を配信中。特にブラジルでの人気が高い国際派ロコフォーキー。




●マヒトゥ・ザ・ピーポー


狂気のサイコデリシャス・ハードポアバンド下山(Gezan)のマヒトが卓越した抒情派詩人&メロディーメイカーであることは名バラード「春の膝」に明らか。今年に入り精力的なソロ活動を行うマヒトの1stソロCD『沈黙の次に美しい日々』が間もなくリリースされる。下山でのキレキレなパフォーマンスの真逆のアコギ弾き語りながら、倒壊寸前のダムから溢れ出すような「やさしさ」の奔流が圧倒的な存在感を持つ。フォークの横には必ずナイフがある。ナイフの如く切れ味鋭い感性はまさにサイコデリシャス・フォーキー。




●豊川座敷


大阪のSWW豊川座敷。2年前にUFO CLUBで初めて観た時、会場を埋めた女子の目当てはこのおかっぱ頭の私小説シンガーだった。秘められた激情を徐々に解放するスタイルは大森靖子のメンズ版と言える。現在オシリペンペンズの中林キララ等と豊川座敷の雨敷というバンドで活動中。




●笹口騒音ハーモニカ


狂気の叙情派SFロック・バンド「うみのて」のフロントマン、笹口騒音ハーモニカ。平和ボケした現代に爆弾を落とすシニカルな歌世界は、反戦フォークのパロディであり、テン世代の子供たちの諦念観をあざ笑うかのように屹立する。ファンが無断で作った著作権無視の激ヤヴァPVには笹口支持層の妄念がコンデンスされている。




フォーキーとか
ジャジーとか
ノイジーとか

<LIVE情報>
7/12(fri)「EXTRA!! vo.2」@新宿ロフト
出演:プー・ルイ+ファーストサマーウイカ(drums)/南波志帆/大森靖子/クルミクロニクル/ナグリアイ他

7/13(sat)BUG ME TENDER vol.7『プラネタリウムにて』@東京都北区王子プラネタリウム"スペースゆう"
《一部》マヒトゥ・ザ・ピーポーレコ発
《二部》下山(GEZAN)ワンマン

8/8(thu)「HERE AND THERE vol.2」@下北沢GARDEN
出演:曽我部恵一/tofubeats/笹口騒音ハーモニカ
コメント
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