A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

KILLER-OMA (鈴木勲(b) × KILLER-BONG)@仙川 Jenny's Kitchen 2013.7.21(sun)

2013年07月23日 00時15分00秒 | 素晴らしき変態音楽


JAZZ ART せんがわ2013のライヴはメイン会場のせんがわ劇場と、徒歩5分のサブ会場Jenny's Kitchenとで交互に開催された。サブ会場はロフト風のスタジオで、演奏者に応じて会場セッティングが変更できる。メイン会場に比べて、若手による実験的な試みが多く、かつてのピットイン・ニュージャズホールはこんな雰囲気だったのか?と想像が広がる。フェス最終日のサブ会場のトリがKILLER-OMA=鈴木勲(b)× KILLER-BONG。KILLER-BONGは判りやすく言えばヒップホップDJ兼ラッパーだが、音楽性や演奏スタイル、共演者などの守備範囲はヒップホップやラップやクラブミュージックの枠を大きくはみ出した、ジャンル分け不能のオリジナルな存在である。

インディ・レーベル、Black Smoker Recordsを主宰し、ディープなヒップホップやMix CDを数多くリリース、ストリート系・クラブ系のファンから"ネ申"として絶大な支持を集める。注目すべきは「エクスぺリメンタル・ミュージック・シリーズ」としてジャンルを超えて先鋭的・実験的作品をリリースしていること。ラインナップはHair Stylistics、KILLER-DAMO=ダモ鈴木×KILLER-BONG、伊東篤宏、THE LEFTY(KILLER-BONG&JUBE)×山川冬樹×伊東篤宏、大谷能生、EP-4の佐藤薫とBANANA-UGによるノイズ即興ユニットEP-4 unit3。その中でもとりわけ異色の組み合わせがKILLER-OMA。"オマさん"こと鈴木勲は今年80歳で音楽生活60周年を迎えたジャズ・ベースの巨匠。アート・ブレイキー(ds)、セロニアス・モンク(p)、エラフィッツ・ジェラルド(Vo)、ウイントン・ケリー(p)、ロン・カーター(b)、ジム・ホール(g)、チャールズ・ミンガス(b)、ポール・デスモンド(as)、ケニー・バレル(g)など数々の伝説的ジャズメンと共演し、"JAZZ GODFATHER"の称号を持つ。渡辺香津美などを迎えた70年代のリーダー作はクラブ系でも人気。富樫雅彦とのデュオ『陽光』(1979)はスピリチュアル・ジャズの名盤。ジャズの伝説的存在とカルト・ヒップホッパーとの共演は一見無謀に思えるが、現在でも感性の研鑽を怠らないオマさんにとっては願ったり適ったりの挑戦に違いない。


(撮影・掲載に関しては主催者の許可を得ています。以下同)

椅子を円形に並べたり、ギャラリーのように設えたり、アメーバ状に変化するJenny's Kitchenのフロアがオールスタンディングのクラブに変身した。Black SmokerロゴTシャツやストリート系ファッションの若者も多数押しかけ満員。いつものように眩しいバックライト・ライティングでKILLER-BONGの姿はまったく見えない。サウンドボードと2台のカオスパッドによるズーンと沈み込む重低音とシャープなエレクトロ・ノイズがスピーカーから放射される。インド布衣装に丸いサングラスのオマさんは、ピッコロ・ベースを電気増幅して歪んだファットな音でファンキーなフレーズを畳み掛ける。ベースがビートを作り出し、電子音とラップのディレイが空間を切り刻む反則技。オーディエンスはじっとしていられず、ILLなグルーヴに身体を委ねる。観客に交じっていたダンサーのプラハが前方で妖艶に身をくねらせる。眩しさと音圧で意識が遠のくのを感じながらBODYをROCKさせる快感。紛れもないインタープレイによるジャズでもヒップホップでもないヤヴァな世界を堪能した。現時点ではCD紹介コメントにあるように"サイケデリック・アヴァン・ジャズ"と呼ぶのが相応しい。

 

「楽しくない」「たいへんな」ONGAKUを標榜するイベントに出現した異次元ブラックホール・エンターテインメント。このベクトルが今後のJAZZ ARTせんがわの進むべき道を示しているような気がする。



Isao Suzuki × KILLER-BONG / KILLER-OMA⇒コチラ

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<選挙の反省>
ツイッターの利用者全体が発信した単語で見ると「原発」が約25万5千件と大きな関心を集めた。ただ、「原発」のうち引用や転載されたものを除いたオリジナルのツイートの数は約7万2千件。固定化した集団の中で次々と引用や転載が繰り返されたものの、外には広がらない傾向があった。参院選では、原発再稼働にかじを切った自民党が大勝した。ネット上の発言が選挙結果全体に影響を与えたとは言えない。 (7月22日朝日新聞デジタル)
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