KEIJI HAINO BIRTHDAY LIVE
灰野敬二 生誕記念公演
灰野敬二ソロ/Hardy Soul:灰野敬二(vo) 、川口雅巳(g)、山崎怠雅(g)、宮崎理絵(b)、藤掛正隆(ds)
灰野敬二62歳のバースデイ・ライヴ。直前になって、昨年の年末公演でデビューしたR&B/ソウル・バンド「Hardy Soul」の出演が発表になり、興味深い聖誕祭となった。例年通り通常のライヴより2時間早い17時開演。開場待ちの列は階段の上まで続く。筆者を含め灰野のライヴはぼっち(ひとり)の客が多く、話し声が殆どしない静かな時間を待ち過ごす。洋楽ファンとも邦楽ファンとも違う独特の客層にどんな秘密があるか、いつか分析してみたいものだ。開場時間を過ぎてもサウンドチェックの音が続き、30分押しで会場。
リリース予定の不失者&ペーター・ブロッツマンの3枚組CDや灰野+オルーク+アンバーチの新作LPが物販にあるかも、と期待していたがまだ届いていないとのこと。Hardy Soulの宮崎リエが在籍するMarble Sheepのデッドストック7インチを購入。
●灰野敬二ソロ
(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)
第1部は灰野ソロ。ステージ前方右サイドに大きなテーブルが置かれている。暗いステージに灰野が現れ、テーブル上のエレクトロニクス機材を操作するとPAから硬質なノイズ音が放出される。パンする音響に合わせて脳漿が左右に揺れた瞬間が、灰野ワールドの旅の始まり。一挙一動一音一音になす術も無く翻弄されるまま。あなたが例え唯我独尊イエローだろうが、罵倒プレイマニアだろうが、無駄な抵抗は辞めてすべてを流れのままに任せるのがいい。灰野敬二という唯ひとりの男に数時間心を許しても取って喰われる訳でも魂を抜かれる訳でも無い。電子ノイズ~エアシンセ~ドラムマシーン~ギター~笛~タブラッカ~シュルティボックス~ブルガリ~ハーディガーディと変転する楽器の谷間に多彩な言葉が日本語で歌われ呟かれ囁かれる2時間半のサウンドジャーニーは、心地よい疲労と甘美な耳鳴りを残した。
●Hardy Soul
第2部は海外でも話題になった灰野敬二の新バンド「Hardy Soul」。2013年12月30日のデビュー以来、ことあるごとに灰野自身の口から語られたR&B/ソウル/ゴスペルへの想いのリアリゼーションがこのツインギター・クインテットである。前回は半分カヴァー・半分灰野のオリジナルという構成だったが、2度目となるこの日のステージ90分は全曲カヴァー。海外曲に混じり、かつて哀秘謡で取り上げた日本の歌謡曲が2曲歌われた。英訳の歌詞なので、言われなければ日本の曲とは気付かないほどR&Bクラシックに同化している。これらの歌謡曲の根本にゴスペルがあることを暴き出す解釈こそ灰野の真骨頂。川口と山崎の強烈なファズギターは、ソウル(魂)とサイケデリック(夢)を一元化して、人間存在のあるべき本来の姿に迫るものだった。僅か5ヶ月でここまでの進化は驚異的。なによりも灰野の歌でダンス出来ることが嬉しい。次回は是非ともオールスタンディングのライヴを望みたい。
Set List
1. マンズ・マンズ・ワールド It's A Man's Man's Man's World (James Brown)
2. インサイド・ルッキング・アウト Inside Looking Out(The Animals)
3. 孤独の太陽 In My Room(Walker Brothers)
4. ミッドナイト・アワー In The Midnight Hour(Wilson Picket)
5. ティン・ソルジャー Tin Soldier(Small Faces)
6. グリーン・オニオン Green Onion(Booker T. & The MG's)
7. ブーン・ブーン Boom Boom(John Lee Hooker)
8. 骨まで愛して(城卓矢)
9. 昭和ブルース(天知茂)
10. 男が女を愛する時 When A Man Loves A Woman(Percy Sledge)
11. オール・オア・ナッシング All Or Nothing(Small Faces)
12. トライ ・ア・リトル・テンダネス Try A Little Tenderness(Otis Redding)
★灰野敬二4DAYSライヴレポート@JAZZTOKYO⇒コチラ
★灰野敬二が伊・新進デザイナーのショーでパフォーマンス - イタリア大使館で前衛音楽を披露⇒コチラ
精魂のリズム
精霊のブルース
精神のゴスペル
<灰野敬二 ライヴ・スケジュール>
2014年
5月5日(月)新宿Nine Spices JAM FES
5月12日(月) 渋谷TSUTAYA O-nest NISENNENMONDAI presents ” souzousuruneji 9 “
KEIJI HAINO (voice & electronics solo)/NISENNENMONDAI/【DJ】YOU ISHIHARA
5月29日(木)東高円寺UFO CLUB 『3.11後の世界、音楽の虹の橋「轟雷破」雨のまえにすること』
灰野敬二×久下惠生(FLYING RHYTHMS,マヘル・シャラル・ハシュ・バズ), 友川カズキ×坂本弘道(cello,electronics/パスカルズ)
6月18日(水) 六本木Super Deluxe 3.11後の世界,音楽の虹の橋「天竺箔」
灰野敬二 × 太田惠資 × U-zhaan
6月28日(土) 六本木Super Deluxe MERZBOW+石橋 / 灰野+O'ROURKE
メルツバウ + 石橋英子 デュオ/灰野敬二 + ジム・オルーク デュオ