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5月6日でんぱ組.incの日本武道館公演と同じ日に渋谷WWWでBiS階段の解散ライヴ「BiS階段 LAST GIG」が開催され、その翌朝にかけてTLが「でんぱ組」と「BiS」で埋め尽くされる事態になった。「nerve」13回連続パフォーマンス、美川俊治選曲のセットリスト、でんぱ組「でんでんぱっしょん」カヴァー(同時刻に武道館ではでんぱ組がBiS「IDOL」カヴァーを披露していた)、白煙噴射・臓物・謎の液体・スタンガンに観客が狂喜乱舞する地獄絵図が展開され、奇跡のノイズアイドルユニットの終焉を祝福した。当然ながら、大阪ノイズ商売人・JOJO広重はBiS階段のライヴ音源・映像の権利を押さえており、アーカイヴCD/DVDのリリースを企んでいるので、楽しみにして待つことにしよう。
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しかし極悪ノイズ界随一のベニスの商人が、折角盛り上げたノイズ熱の商機を指を銜えて静観している筈もなく、非常階段結成35周年アニバーサリーイヤー特別商戦の導火線に自ら火を着けた。偶然にも同時多発的に他の先端系音楽の伝説的作品・演奏も市場に投下され炎上間近。熱いのはアイドルシーンだけではない。萌える商魂、ノイズ・アヴァンギャルド・極端音楽梅雨前線接近中。現地から実況中継で情報をお伝えしよう。
●非常階段
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5年前の結成30周年の時にはCD30枚組BOX「THE NOISE」をリリースしたが、35周年はこれまでリリースした全12作のアルバムがボーナス・トラックを追加したデジタルリマスターで再リリース。その12枚に、BOXのみの特典CD「極悪の教典・補遺盤」(極悪の教典に収録されなかった初期スタジオ音源集)を加えた13枚組CDセット『THE ORIGINAL ALBUM REMASTERED EDITION BOX』も発売。例によってアルケミー・レコードで通販すると、通常予約特典に加え、オリジナル特典がもらえる。ザ・商魂!
以下、アルバム解説はJOJO広重のツイートより引用(盗用に非ず)。
「終末処理場 + 1 NOISE」 NG、ジュラジューム、非常階段
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今回の非常階段再発で一番の目玉は「終末処理場」です。完全な形のCD化は初です。JOJO広重+T.美川+ジュラジューム八太による天王寺マントヒヒでのライブトラックが追加収録されています。しかし何度見ても禍々しいジャケットです
「蔵六の奇病 + 1 NOISE」
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5回目くらいのCD再発ですが、今回はジャケットが日野日出志先生のサインが入っている関係者バージョン、CDはボーナストラックが1980年5月蛍池クルセードの初出ライブ音源になっています
「VIVA ANGEL+ 1 NOISE」
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非常階段で一番音楽的なアプローチをしているヘンなアルバムです。今回はカセット作品「△8000」を追加収録。これはカセット作品のみでリリースされていたトラックです。久しぶりに聞いたら耳に痛い轟音でした
「KING OF NOISE+ 1 NOISE」
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2回目のCD化ですが、今回はボーナストラック入りで、T.美川と林直人のユニット「ANNON」の藤井寺バグースでのライブ音源を収録しています
「TAPES+ 1 NOISE」
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今回の再発はボーナストラック入りで、追加は1980年のJOJO広重・T.美川DUO音源。これはJOJO広重がキーボードを演奏、T.美川がアコースティックギターにコンタクトマイクを組み合わせての熱演でした
「LIMITED EDITION+ 1 NOISE」
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このジャケットでの再発は初めてです。このステッカーのデザインは三軒茶屋フジヤマの渡辺さんでした。オリジナルリリースは1987年、アルケミーレコードが一番金なかった時期でした。
「NO PARIS NO HARM+ 1 NOISE」
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1988年リリースで、このオリジナルジャケでのCD化は初です。JUNKOさんジャケでデザインは当時メスカリンドライブのHIDEちゃんでした。JUNKOさんのボーカルがすでに壮絶です
「MODERN+ 1 NOISE」
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このタイトルは先日つぶれた明大前のレコード店・モダーンミュージックへのオマージュでした。買った人は知っていると思いますが、内ジャケの写真は私の結婚式の時のものです。
「ROMANCE+ 1 NOISE」
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1曲77分を超える大作ノイズなので、今回のボーナストラックに苦労しましたが、JOJO広重ソロのノイズ演奏が1曲追加収録されています。現在のCD収録時間ぎりぎりでした
「WINDOM+ 1 NOISE」
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秋田さんがゲスト参加しているやつですね。録音があまりに轟音で耳が危険になり、ティッシュで耳栓してたらその姿がウルトラセブンのウインダムに似ていたという、それだけです。ボーナストラックはサバート階段を収録
「NOISE FROM TRADING CARDS+ 1 NOISE」
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明大前でJo'sスポーツカードを経営していた頃のアルバムですね。ジャケの少年は今も池袋のカード屋さんで働いています。最近はスポーツカードビジネスはなかなか厳しいようです
「LAST RECORDING ALBUM+ 1 NOISE」
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リトル・フィートの「ラスト・レコード・アルバム」へのオマージュです。ドラムのなおっぺ参加の唯一のアルバムですね。ボートラはJOJO広重+小沢靖(不失者)+石塚俊明さんのセッションです
筆者は『終末処理場』以外はアナログで所有しているが、ボートラ&リマスター&特典に物欲が刺激される。個人的には『ノー・パリス・ノー・ハーム』のJUNKO美麗ポートレイトジャケが嬉しい。また『キング・オブ・ノイズ』のジャケットの赤ちゃんのその後の人生が気になって仕方がない。
●WHITE HOSPITAL/VASILISK
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ノイズ王・非常階段に比べれば知名度は圧倒的に低いが、マニアの垂涎度は勝るかもしれない。1984年自主レーベルESKIMO RECORDSから限定300枚でひっそりとリリースされたWHITE HOSPITALの12インチ盤は、硬質なインダストリアルサウンドと正体不明のエニグマ音響が国内外で高く評価され、入手の難しさもあり、伝説の名盤として語り継がれてきた。派生ユニット「GRIM」と「VASILISK」も夫々独特のノイズ/インダストリアル/リチュアルサウンドで異彩を放った。GRIMは数年前にコンプリートCDやLP3枚組BOXがリリースされ再評価された。そしてこのたび、WHITE HOSPITALとVASILISKの音源がオーストリアのノイズ専門レーベルからCD&LPで再リリースされるに至った。VASILISKは未発表音源アルバム付の限定BOXも発売。LPは全てカラービニールのマニア驚喜のリリースである。以下解説はディスクユニオンHPより引用。
「HOLOCAUST」WHITE HOSPITAL
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日本を代表するインダストリアルバンドGRIMのJun Konagaya氏とVASILISKのTomo Kuwahara氏が80年代初期に組んでいた伝説のノイズバンド、WHITE HOSPITALが遂にリイシュー。84年のオリジナルレコードは高額で取引される超レア盤は金額に相応した鉄錆の匂いが聞こえるハードインダストリアル・ノイズ。今回の再発に同時期に出していた7インチレコード”We Wish You Are Merry X'mas”の2曲と未発表LIVE TRACKが3曲も追加された、リマスター仕様。
VASILISK
椎名林檎、UA等の作品にギタリストとして名前を残す名越由貴夫氏と日本の元祖ノイズバンド筆頭WHITE HOSPITALのTomo Kuwahara氏による日本では当時まだ珍しかったリチュアルインダストリアルバンドVASILISKの3作品がリマスター/ボーナストラック追加でリイシュー。限定BOX『MUSICK FOR LIBERATION AND ECSTACY』は3作のオリジナル・アルバムに加え、ボーナスアルバム『Live Blood- 未発表LIVE音源'92-'93』を追加した4枚組。特製木箱仕様。
「Whirling Dervishes」
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87年の1st。初期創作衝動が体現されたポストプログレッシブ、ポストインダストリアルのジャパニーズエクスペリメンタル音楽の傑作です。ボーナストラックに91年のUS RRR RECORDSのコンピレーション"Noise And Junk" 収録曲。
「Mkwaju」
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88年2nd。ファーストから民族音楽傾向になったリチュアル・トライバル名作です。ボーナストラックに88年のコンピレーション作品"Periodic Law"に収録されている1曲を収録。
「Acqua」
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89年3rd。セカンドのトライバル路線を継承しつつのアンビエントインダストリアル作品。未発表のLIVE TRACKをボーナスに加えてリマスター仕様です。
●不失者+ペーター・ブロッツマン
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このブログを書く為に、朝から6時間連続でマル非とヴァシリスクのレコードを聴き続けているのだが、極悪ノイズと幻惑インダストリアルの奔流に、流石に精神的に参ってきた。気分転換に先日渋谷O-nestのライヴ物販で本邦初販売された『Fushitsusha / Nothing Changes No One Can Change Anything, I Am Ever-Changing Only You Can Change Yourself』と題された3枚組CDを聴くことにしよう。タンポポに似た植物が描かれたゴシックな三つ折りジャケットの中に、カラー解説書・フライヤー・黒カバー・黒エンベロープに包まれた3枚のCDが封入されたハンドメイドパッケージ。1996年4月26日(金)東京・法政大学学生会館大ホールでのライヴ「不失者 meets PETER BROTZMANN」を完全収録。メンバーは灰野敬二(vo,g)、小沢靖(b)、小杉淳(ds)、ペーター・ブロッツマン(sax)。90年代不失者の不動のトリオは、1996年徳間ジャパンと契約し、ロンドン・レコーディングを敢行、翌年から次々作品をメジャーリリースする。海外でも灰野と不失者の人気が急激に高まり、彼らを取り巻く状況が最高潮に達した頃だった。
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この時期のライヴ音源は、海外公演のCDが数作リリースされているが、開場時間のずっと前から黒装束のファンが列をなしたと言われる国内でのライヴ音源が公式リリースされるのは初めて。ペーター・ブロッツマンとの共演ということはもちろんだが、活動のピークといえる時期の不失者のドキュメンタリーというだけで歴史的なリリースだといえる。断続的なドラムに、灰野と小沢が鉄琴を叩きながらステージを動き回るオープニングから、ダイナミックなギタートリオによる不失者流ハードロック、ハーディガーディのドローン演奏と続き、ブロッツマンが登場するのはDISC2の半ばから。豪快なサックスに灰野のギターや歌が絡みつき、時に激しく時に静寂に変幻する4人の演奏は、今は亡き法政学館ホールの深い反響と相俟って、音楽の大河ドラマを観るような濃厚な三時間を経験出来る。灰野もブロッツマンも現在のスタイルが18年前と全くブレていないことに気付くと共に、70年代のアングラ演劇や暗黒舞踏、さらに60年代のフルクサスやポップアート、20世紀初頭の未来派に感じられるのと同じ強烈な時代の空気が、このCDにパッケージされている。
過去を紐解くことは、失った時代を追体験する憧憬であると共に、現在を知る為の導きでもある。数十年の年月に横たわる間歇に、地下音楽の過ごした時代を封じ込める意味も理由も今はない。一足早いEXTREME MUSICの驟雨にしっぽり耽溺する五月雨月も悪くない。
若かりし
日々の記憶を
明らかに
【貴重映像】Faust and Guests Death Valley - Friday May 13, 1994
1994年ファウストのUSツアー中にカリフォルニア州デスヴァレーで開催されたパフォーマンスの記録映像。灰野敬二出演。