A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

友川カズキ ワンマンライヴ@高円寺 ShowBoat 2013.7.8(mon)

2013年07月10日 00時29分21秒 | 素晴らしき変態音楽


ShowBoat 20th Anniversary
友川カズキ ワンマンライヴ

小学校の頃、歌謡曲以外で流行っていた日本のポップスはフォークだった。歌謡曲のようにテレビで観ることはないがどうしてかヒット曲は知っていた。「帰ってきたヨッパライ」「学生街の喫茶店」「神田川」「岬めぐり」「走れコータロー」など歌詞はうろ覚えだったが友達と一緒に歌っていた記憶がある。中学に入り音楽の授業でギターを習い、自分でも弾きたくなった。親に頼んでクラシックギターを手に入れ、下敷きをカッターで切ってピック代わりに弾き始めた。近所の本屋で買ったギター教本はフォークソング集で、最初に弾けるようになったのは「シクラメンのかほり」だった。洋楽ポップスを聴くようになり、最初に好きになったのがジョン・デンバーだったのはアコースティック・ギターで弾けると思ったからかもしれない。

中3年の時パンクに出会い、フォーク(&ニューミュージック)はダサいと思うようになった。その嫌悪感は強く、ミラーズのシングルが雑誌で泉谷しげるを引き合いにして紹介されていたので買う気が失せたほどだった。(ゴジラレコード第一弾にして東京ロッカーズの最初のレコードを購入しなかったのは今思えば残念でならない。当時他に比較の対象がなかった音楽メディアの貧困さと自分の嗅覚の鈍さを恨むばかりである。)パンクとは価値観の革命だったが、ダサいフォークにもパンク精神を持ったアーティストが存在し、ニューウェイヴ以降の音楽シーンでも評価された。泉谷しげる、遠藤賢司、あがた森魚、三上寛、友部正人がそれだが、彼らと並び称されたパンク的フォーク歌手が友川カズキ(当時の表記は”かずき”)だった。とは言っても個人的には昔ながらの日本情緒をアコギで歌ってどこがパンクだ?とイマイチ納得できずにいたのは確か。

そのもやもやを一気に打ち砕いたのが友川の『無残の美』(1986)だった。たこ八郎に捧げた1曲目から頭をガーンと殴られ、アルバムが進むにつれ情動の波動に圧倒された。何よりも東北弁の歌の強力な磁力は、当時の浮ついた日本のニューウェイヴを蹴散らす破壊力に溢れたナパーム弾さながらだった。実際、あまりにも生々しい言葉に籠められた情念に取り憑かれそうな気がして恐ろしく、聴くのが憚られレコード棚の奥にしまい込んだほど。こんな気持ちは灰野敬二の『わたしだけ?』以来だった。




避けていた訳ではないが友川の生演奏はなぜか経験する機会がなく、今年2月のギャスパー・クラウス『序破急』コンサートで初体験し魂が震撼する衝撃を受けた。ソロライヴを観なければならない、と強く思った。何度かニアミスを繰り返し、やっとこの日ワンマンライヴを観ることができた。『無残の美』ショックから27年後の邂逅である。




高円寺ShowBoatは平日にも関わらず満席。ここが満員になるのは灰野敬二以外経験がない。常連風の年季の入ったファンもいるが、学生風や女性客も多い。怖いもの見たさに似た緊張感のある灰野のライヴとは違い、和やかにリラックスした雰囲気がある。「生きてるって言ってみろ」「トドを殺すな」Tシャツや詩集も並ぶ物販席には、モダーンミュージック/PSFのオーナー生悦住の姿もあり、2000年代初めの灰野ライヴの風景を思い出す。開演まで友川はスタッフと馴染みの焼き鳥屋で呑んでいたとのこと。



マイクスタンドと譜面台とテーブルだけのシンプル極まりないステージにふらりと友川が登場。強面な外見に似合わぬ柔らかい秋田弁で気さくなMC。しかし、ギターを爪弾き「彼がいた」(『無残の美』1曲目)を歌い始めた途端に空気が変わる。スピーカーを破壊し空気を震わせる歌声にのって耳殻から侵入した言葉の刃が脳の中枢に突き刺さり、血管を流れ全身にいきわたる。ギターのストロークに感覚が麻痺した皮膚の表面を、体内を巡るメロディーの深い感情が潤し暖かく包み込み体温が1.5度上昇する。Sweet Surrender(甘美な無条件降伏)すなわち、「もうどうにでもして」という懇願。日常や原発や政治を率直に語り、客の発言に憤ったりする自然体のトークと厳然とそそり立つ魂の歌が繰り返され、脳味噌をマッサージされる快楽と、人生の真実を暴き出す鋭い凶器を突き立てられる恐怖の間を行き来する未体験ゾーンに翻弄された2時間だった。




終演後、余韻を失わないように物販も見ずにShowBoatを後にして駅へと急ぐ私に声をかけるキャバレーの客引きの顔が、どことなく若き日の友川に似ているように思ったのは気のせいだろうか?

無残の美
トドを殺さず
生きてみろ

花々の過失 La Faute des Fleurs ̶ a portrait of Kazuki Tomokawa, Musicians of Our Times Episode 2
監督、撮影:ヴィンセント・ムーン
主演:友川カズキ
出演:及位鋭門、大関直樹(マネージャー)、生悦住英夫(「PSFレコード」プロデューサー)、加藤正人(脚本家)、福島泰樹(歌人)、石塚俊明(ミュージシャン)、永畑雅人(ミュージシャン)ほか



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FUMICS PYOSHIFUMIX 展:組原正+美川俊治/三浦モトム+小川直人@八丁堀 七針 2013.7.7(sun)

2013年07月09日 00時11分07秒 | 素晴らしき変態音楽


『000/Fumics』イラストマシーンFUMICS PYOSHIFUMIX 展
ライブ出演:組原正(グンジョーガクレヨン)+美川俊治(インキャパシタンツ、非常階段)/三浦モトム+小川直人

ーFumics略歴ー
札幌在住 
2000年 初の個展開催
2006年 根本 敬氏の紹介により、仏の「HOPITAL BRUT」誌に作品が掲載される。
2011年 ベルリンにてグループ展参加
2012年 市場大介氏らと、初のライブペインティング。
      蔦木俊二氏のアルバムジャケットを手がける


札幌在住のイラストレーターFumicsと出会ったのはFacebookだった。ブログのマゾンナの記事をシェアしたので気になって本人のウォールを訪れ、ユニークなイラスト数々に驚き、友達になった。今回のイベントの企画者も元々はTwitterやFacebookで知り合い、彼のイラストに魅せられたという。それがきっかけで蔦木俊二のCDジャケットを手掛け、この日のイベントが開催され、非常階段やグンジョーガクレヨンに繋がることになったのだから、SNSが生んだ奇蹟的な邂逅というしかない。今や現実世界を生きるためには、ネットを介したヴァーチャル・コミュニケーションが欠かせないことは紛れもない「現実」である。


●三浦モトム+小川直人

(写真・動画の撮影・掲載に関しては出演者及び主催者の許可を得ています。以下同)

クラブ仕様エレクトロ・ファンク・バンドHALBACHのギタリスト、三浦モトムと、ひとりパンクバンド、小川直人のデュオ。コルグのシンセサイザーを抱えてエレクトロノイズを発しながらシャウトする小川に、三浦がノイジーなギタープレイで絡み、阿吽の呼吸でスポンテニアスな即興演奏を展開。チープなリズムボックスが80年代風のムードを醸し出し、音だけ聴いたら大竹伸朗の19/JUKEに似ているかも。そこにはっちゃけた身体パフォーマンスが加わると、一層キッチュでポップな魅力が発揮される。ネコがじゃれ合うような天真爛漫さに新世代のインプロ魂が垣間見えた。因みに三浦と小川は共に札幌出身で、旧くから札幌のアンダーグラウンドバンドシーンで数々のフライヤーを手がけていたFumicsのイラストはその界隈では有名だったという。





●組原正+美川俊治


当初は蔦木俊二(突然段ボール)が加わり、突段グンジョーインキャパという日本極端音楽の"ネ申"三つ巴対決になる予定だったが、都合により蔦木は不参加。そのおかげ(?)で逆に二人ががっぷり四つに組み、焦点の定まった円熟の演奏になった。昨年7月組原の2ndソロ「inkuf」レコ発から1年ぶりの共演だが、旧知の仲のように信頼関係が成り立っているのが流石。キノコホテルTシャツ着用の美川は前日スーデラでのインキャパシタンツから2連投。マル非のメンバーは昨年から積極的にソロやセッション活動を始めているが、特に美川の活躍ぶりは見事。何処で誰とやっても100%美川というのが素晴らしい。当たり前だが、一生非常階段である前に「一生美川俊治」なのである。組原も昨年来セッション活動が著しい。ふたりとも完全にオープンマインドで「何でも来い!」と覚悟を決めている。そんな二者の共演が良くないはずがない。信頼関係=馴れ合いではない、ということが一聴して理解できる、厳然とした個と個のぶつかり合いは一時もだれることなく、緊張感に満ちた演奏が40分に亘って展開された。





壁一面に飾られたFumicsのカラフル&ストレンジなイラストが類い稀なインプロ天国を異世界へワープさせ、下町にぽっかり空いたブラックホール=七針は今夜も東京の軸を数ミリだけ移動させた。










ネットが繋ぐ
アートとノイズと
インプロヴィゼーション

Art of Noise & Improvisation at ftftftf.

The Portrait Of A Family

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハーフコインの花園 第7回~20世紀末を飾ったニューウェイヴガールたち

2013年07月08日 01時08分49秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ようつべサーフィンをしていたら、おススメ動画に遊佐未森が出てきた。名前だけは知っていたが、具体的なイメージが沸かないので、早速観てみると、クリスタルクリアなヴォーカルがなかなか良い。気に入って他の動画を検索して、ケイト・ブッシュの「嵐が丘』のカバーを発見。遊佐のコケティッシュな美貌もいいが、豊かな感情表現が素晴らしい"ネ申カバー"、一瞬で虜になった。80~90年代バンドブームや渋谷系とは別に、ニューウェイヴの影響を受けた女性アーティストが沢山いた。何処かで書いたが、当時は裸のラリーズやアルケミー&PSF中心にアングラ人生を送っており、メジャー系はニューエスト・モデルやゆらゆら帝国など地下出身者しか聴いていない。素敵な新波娘たちは記憶の片隅に朧げに揺らめいているだけだが、直感を頼りにブッコフ250円コーナーでガールハントに励んだ。




遊佐未森


宮城県仙台市出身、国立音大卒。自ら8の字唱法と称するファルセット・ヴォイスが特徴。名前のイメージ通りの森のような奥の深い世界を産み出す個性派。アイルランド音楽の影響があるサウンドは、エンヤの日本版として"癒し系"と呼ばれたが、下衆なヒーリング・ミュージックとは本質的に異なる高い志に貫かれた表現者である。むしろケイト・ブッシュやマギー・ライリー、サリー・オールドフィールドなど英国ロックミューズに近い。幽遠なコンセプトをもったアルバム群は聴き応えあり。




さねよしいさ子


動物ノフィクション作家を父に持つさねよしいさ子は高校時代に「さねよしバンド」を結成、六本木インクスティックなどで活動する。1990年ソロ・デビュー。幻想的な歌詞と童話キャラで人気に。個性的な楽曲はCMソングやテレビ主題歌に起用され、声優としても活躍。割礼やたまなど個性派ロックアーティストと共演もしている。




種ともこ


1985年デビュー。同志社大学哲学科卒の知性派シンガー。漫画的なエキセントリックなキャラと直裁的な歌詞が特徴。女性の心を描いたポップな歌が後のJ-POPに影響を与えた。打ち込みによる宅録スタイルの先駆者でもある。




かの香織


遊佐と同郷の宮城県出身のシンガー。1982年ショコラータを結成、原宿ピテカントロプス・エレクトス出演やカセットマガジンTRAに参加、坂本龍一などから高い評価を得る。1991年ソロ・デビュー、独特の声質と多彩な表現力を合わせ持つヴォーカルと、内外の一流ミュージシャン達が集い織りなすサウンドで音楽ファンを中心に支持を集める。




DIP IN THE POOL


カリスマモデル甲田益也子(vo)と木村達司(key)によって1983年に結成された。デビュー・アルバムはイギリスはラフトレード、ヨーロッパはヴァージンから世界同時リリースされた。繊細でミニマルなトラックと透明感のある甲田のボーカルの産み出す浮遊感が高く評価された。それ以来英語詞中心に海外でも活動する。ファッションセンス溢れるヴィジュアル展開も人気。




●東京少年


種と同じ同志社大学出身の笹野みちる(vo)を中心に1988年結成。ホッピー神山のプロデュースでデビュー。リンドバーグの渡瀬マキや永井真理子などと同列の、ボーイッシュな女性ボーカルバンドとして扱われることがあったが、サウンド面にはU2やXTCなどのニューウェイヴの影響が濃い。1991年の解散後笹野はソロ活動。




●PSY・S


1985年大阪からデビューした松浦雅也とCHAKAのデュオユニット。打ち込みビートのシンセポップとCHAKAの強靭なハイノートで人気に。パール兄弟や有頂天と交流があった。1996年解散、CHAKAはジャズ歌手として活動。アルバムクレジットで松浦は「TK」と表記されているので小室哲哉かと思った。




ニューウェイヴ
波間に漂う
女の子

どれも従来の女性歌手とは異なる突出したキャラクターを持つのが極めてニューウェイヴ的。現在でも堅実に活動しているシンガーが多いのも心強い。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野宮真貴&BIBA/バニラビーンズ@新宿ロフト 2013.7.5(fri)

2013年07月07日 01時05分05秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


バニラビーンズ5周年記念対バン企画
『風は吹くのか!?Vol.4 ~夢にまでみた東京は夜の七時』
出演:バニラビーンズ/野宮真貴&BIBA

バニビちゃんの対バン企画、バンドじゃないもん!、7!!(セブンウップス)、カジヒデキと続き、遂におしゃれ手帖こと野宮真貴の登場!バニビはピチカート・ファイブの「東京は夜の七時」をカバーし、コンセプトや衣装やポージングに大きな影響を受けているので、まさに元祖バニビ的カリスマとのチャンスミーティング。それほどインスパイアされている割には、会うのはこの日が二回目だという。ロフトは前回のカジヒデキに比べると若干空いているが、野宮ファンの女性も多く華やいだ雰囲気。


野宮真貴&BIBA


遅過ぎた渋谷系マイブームでオレ的再評価が最も高いのが野宮時代のピチカート・ファイブ。フリッパーズやオリラブ、カヒミちゃんも素晴らしいが、ピチカートの音楽含蓄の深さと過度なおしゃれオーラは、日本の音楽シーン全体を見ても頂天を成す絢爛さである。小西康陽のマニュフェストを実行に移すポップアイコンが野宮真貴だった。21世紀にはソロ歌手として活動すると共におしゃれ女子のカリスマとして君臨。昨年デビュー30周年を華麗に飾った。この日はブラボー小松(g)、宇治野宗輝(electro)、NOZOMU(DJ)[7/9追記:本当の名前は"冨沢ノボル"とのこと。記憶違いでした]のユニットBIBAとのステージ。宇治野のバイク型電子楽器がユニーク。ジュース・ミキサーを使ったノイズ発生機も披露。本職は現代芸術家であり、現在箱根彫刻の森美術館で「宇治野宗輝 ポップ/ライフ」展を開催中。NOZOMUは沢尻エリカ等を手がけるヘアメイクアーティスト。非音楽界のクリエーターを起用するニッチなコンセプトはピチカート時代から継承されている。「東京は夜の七時」「スーパースター」「マジック・カーペット・ライド」「トゥイギー・トゥイギー」などピチカート・ナンバーや「ヴィーナス」のカバーとヒット曲満載のステージは最高のエンターテインメント。53歳の野宮の凛とした佇まいに感動。





バニラビーンズ


YATSUI FESで間近で観たバニビは至福体験だったので、今回も前5列目で観戦。対バン企画はバニバンドを率いてのバンドスタイル演奏だから見逃せない。普段やらない曲も多いし、生演奏ならではの臨場感に高揚する。新衣装のふたりの姿に惚れ惚れ。ハイソックスが眩しい。レナが"ネ申アルバム"と語る2nd「バニラビーンズII」からの選曲が多い。曲よし・演奏よし・ルックスよし・雰囲気よしの四拍子揃ったステージは、観る者を楽しませるというエンターテインメントの基本を押さえた充実ぶり。捻くれた分析をする気も起らず、ただ本能的快感にしっぽり浸った一時間半だった。アンコールは野宮をゲストに「東京は夜の七時」。両者のポージングが微妙に違うのが面白い。




(右:アンコールのトークシーンは撮影OKでした。)

★バニラビーンズ・オフィシャル・ブログはコチラ
★詳細なライヴレポートはコチラ[7/8追記]


渋谷でも
アキバでも
楽しんだモノ勝ち

バニラビーンズ 5周年記念対バン企画
風は吹くのか!?Vol.5
出演:バニラビーンズ/ザ・コレクターズ
開催日:2013年9月17日(火)
会場:新宿LOFT
開場:18:30 開演19:00

10月ニューシングル リリース!

▼バニビ出演めがねスーパーCM OA中!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナイフとフォークで召し上がれ!~新世代フォーキーの逆襲:keme/新山詩織/マヒトゥ・ザ・ピーポー etc.

2013年07月06日 00時12分48秒 | 素晴らしき変態音楽


昨日のブログで紹介した大森靖子をはじめ、アコギの響きを活かしたアコースティック系アーティストが最近面白い。機材の発展とともに進化してきたデジタル/エレクトロ系ロックが、パソコンとネットの普及により没個性化して衰弱し、ロック表現のキモが演奏者の感性がダイレクトに発揮される生楽器にトランスフォームしていることを感じる。前世紀末、CDの普及とDJ文化の隆盛により埋もれていた過去音源が大量に再発見・発掘され、従来のジャンル分けに収まらなくなったため、音楽スタイルを表す呼称が次々生み出された。「フリー・ソウル」「サバービア」「モンドミュージック」「レア・グルーヴ」などがあるが、生楽器中心のアコースティックな感覚の音楽は「フォーキー」と呼ばれた。現在あまり使われないこの言葉は、テン世代の新感覚アコースティック・サウンドを表現するのに適している気がする。

●keme


キノコホテルの電気ギター担当、イザベル=ケメ鴨川の裏の顔がkeme(ケメ)。キノコ就職前の2007年にSSW活動を始めたというからこっちが表かもしれない。GSやR&Bと同時に吉田拓郎や中島みゆきなど70年代フォークに影響を受けただけに、キャスケットとベストでアコギを抱えた姿が堂に入っている。ケメといえば吉田拓郎や泉谷しげるが在籍した70年代フォークの牙城エレックレコードの顔、佐藤公彦のニックネーム。ケメ鴨川がルックスやファッションを含め大きな影響を受けたことは間違いない。




●新山詩織


昨年12月に16歳でデビューした高校生SSW新山詩織。笹路正徳プロデュースのメジャーデビューシングル「ゆれるユレル」のカップリングでは、THE GROOVERSの「現在地」を本人バックでカバー。父親世代ロッカーの向こうを張ったブッといヴォーカルを聴かせる。メルマガ購読者に直筆サイン入りCDを送付するという真摯な姿勢に、アイドル同様の熱意を感じる。




●つばさ(今村つばさ)


石川県金沢市を拠点に活動するご当地アイドルならぬご当地SSW、今村つばさ。2005年頃マイスペースで知り合い、同じ金沢育ちなので意気投合した。マイスペの凋落で音信不通になったが、Facebookで再会。2009年のデビューアルバム『雨のよるに』は心に染みるハートフル・メロディーと、キュートなロリ声に萌えるアンビエント・フォークの傑作。金沢市文化ホールでワンマンを成功させ、2012年2nd『How To Fly』をリリース。石川県の観光特使としてWEB TVやラジオ、ようつべで世界に向けて日本の情報や生活を配信中。特にブラジルでの人気が高い国際派ロコフォーキー。




●マヒトゥ・ザ・ピーポー


狂気のサイコデリシャス・ハードポアバンド下山(Gezan)のマヒトが卓越した抒情派詩人&メロディーメイカーであることは名バラード「春の膝」に明らか。今年に入り精力的なソロ活動を行うマヒトの1stソロCD『沈黙の次に美しい日々』が間もなくリリースされる。下山でのキレキレなパフォーマンスの真逆のアコギ弾き語りながら、倒壊寸前のダムから溢れ出すような「やさしさ」の奔流が圧倒的な存在感を持つ。フォークの横には必ずナイフがある。ナイフの如く切れ味鋭い感性はまさにサイコデリシャス・フォーキー。




●豊川座敷


大阪のSWW豊川座敷。2年前にUFO CLUBで初めて観た時、会場を埋めた女子の目当てはこのおかっぱ頭の私小説シンガーだった。秘められた激情を徐々に解放するスタイルは大森靖子のメンズ版と言える。現在オシリペンペンズの中林キララ等と豊川座敷の雨敷というバンドで活動中。




●笹口騒音ハーモニカ


狂気の叙情派SFロック・バンド「うみのて」のフロントマン、笹口騒音ハーモニカ。平和ボケした現代に爆弾を落とすシニカルな歌世界は、反戦フォークのパロディであり、テン世代の子供たちの諦念観をあざ笑うかのように屹立する。ファンが無断で作った著作権無視の激ヤヴァPVには笹口支持層の妄念がコンデンスされている。




フォーキーとか
ジャジーとか
ノイジーとか

<LIVE情報>
7/12(fri)「EXTRA!! vo.2」@新宿ロフト
出演:プー・ルイ+ファーストサマーウイカ(drums)/南波志帆/大森靖子/クルミクロニクル/ナグリアイ他

7/13(sat)BUG ME TENDER vol.7『プラネタリウムにて』@東京都北区王子プラネタリウム"スペースゆう"
《一部》マヒトゥ・ザ・ピーポーレコ発
《二部》下山(GEZAN)ワンマン

8/8(thu)「HERE AND THERE vol.2」@下北沢GARDEN
出演:曽我部恵一/tofubeats/笹口騒音ハーモニカ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイドル戦線異状あり~空想し越境し異化する偶像たち:アメ女/リンダ3世/大森靖子etc.

2013年07月05日 00時16分38秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ベクトルを軌道修正しようとしたが、やっばりアイドルが面白すぎる。
既報の通りBiSのニュー・シングル「DiE」がオリコン・チャートでNMB48に続き第6位。PASSPO☆(7位)を下すという下剋上を成し遂げた。このニュースにBillboard Japanサイトがつけたタイトルが「アイドル戦線異常アリ」。衰退していく音楽シーンに革命を起こすべく走り続けた異端のアイドルの大躍進に喝采を送る記事だった。ノイズアイドルバンド「BiS階段」で音楽革命の最先端を突っ走るBiSはアイドル戦線にD&D=Disturb(攪乱)&Disorder(異常)を巻き起こす。

そう思って現在のアイドル戦況を眺めるとあちこちにD&Dが散見される。今回はそんなフェノメーネ・デ・ペルトゥルバシオン(Phenomene de Perturbation/攪乱現象)を検証したい。

●アパリシオン・ディドーレ・ファンタジィ(Apparition d'idole fantaisie/空想アイドルの出現)


連続テレビ小説「あまちゃん」が大ヒット。アイドルを目指す海女ちゃんの奮闘ストーリーと共に、日本歌謡史を縦断する含蓄溢れるオマージュが大人気。岩手限定アイドル「潮騒のメモリーズ」、人気アイドルグループ「アメ横女学園(アメ女)」、寄せ集めユニット「GMT47」、その他多くのロコドルが登場。劇中の架空の存在にも関わらず、あたかも実在するかのようなホームページにはディスコグラフィーやポスターなどグッズが掲載されている。番組ではサワリしか放映されない劇中歌がようつべで十万回再生され、配信チャートのトップに輝く事態に。サントラ盤の大ヒットに困惑する音楽担当・大友良英は「わけわかんない状態」に陥っているが、インストCDでこの大フィーヴァーだから、正式に歌ものCDがリリースされた暁にはあまりの大混乱に卒倒してしまうかも知れない。NHKがあまちゃん人気で紅白の視聴率稼ぎすることも間違いないので、リアル・アイドルAKB48やももクロと空想アイドルのアメ女&GMT47&メモリーズの共演が実現するだろう。現実と空想が交錯する年末カオスによる日本列島改造に期待したい。革命の成功を確実するために、BiS階段を大ヒットさせ紅白へ送り込みたい。是非ともアンチ好きシバ○隊の皆様のご協力を仰ぎたい。




●イドーレ・トランスフロンタリエール(Idole transfrontaliere/越境するアイドル)
コンセプトやキャッチフレーズ、衣装やメイクなど様々なバラエティーで魅せ方の差別化を図り個性をアピールしてきたアイドル陣営だが、肝心の音楽性に関しては、正統アイドル・ポップス/ユーロビート/テクノ/ロック/メタル/渋谷系などの違いはあるものの、ビジュアルに比べ保守的だったといえる。しかし最近コンサバなアイドル音楽界に越境者が続出している。『STEP ACROSS THE BORDER』(1990)は前衛ギタリスト、フレッド・フリスの世界各地の音楽家との出会いの旅を描いたドキュメンタリー。タイトル通り「境界を越える一歩」が音楽のみならず文化大革命をもたらした。貪欲な雑食性アイドルの越境行為は必然だといえる。

hy4_4yh(ハイパーヨーヨ)


秋葉原から登場した暴走・元祖オルタナティブ・アイドルユニット。氣志團の綾小路翔から「今、日本で一番カッコいい女の子達」と絶賛され、ライムスター宇多丸からも「あなた達はプロだ!」と賞賛され、脳科学者の茂木健一郎、プロレスラーの蝶野正洋からも公式推しアイドルとしてのお墨付きを頂いている。インドネシアのダンスミュージック「ファンキーコタ」を取り入れ超高速チューンによるクレイジーな「全世界YAVAY化計画GIG」を展開中。




リンダ3世


音楽は勿論人種も越境するアイドルユニット。群馬生まれの平均年齢13.5歳の日系ブラジル娘5人組。ブロステップをベースにバイレファンキ、サンバといったブラジル音楽の要素を取り入れた強烈なサウンドが特徴。群馬限定ロコドルながら、ようつべで大ブレイク、ヲタだけではなく音楽マニアからも熱い注目を集めている。来年のブラジルワールドカップへ向けてブレイク必至。




BELLRING少女ハート


通称「ベルハー」。サイケデリック、アシッド、プログレからブチ上げロックまで、変幻自在アイドルユニット。超ユルユルなキャラクターとは裏腹に熱狂的なパフォーマンスでアイドル界にビッグウェーブを巻き起こし中。深いコンセプトがありそうでなさそうな曖昧模糊とした存在感は、BiSの次代を狙うカルトアイドルとしてサブカル系から大きな支持を集める。




●イドーレ・デ・エレマン・エトランジェール(Idole des elements etrangers/異分子のアイドル化)
本質的に住処の違う住民がアイドルバトルに参戦する現象が増加。異種格闘技イベントやBiS階段のような異種混合ユニットは勿論、オルタナ系サブカル系女子がアイドルに紛れて活動する事例は、ローマ帝国や蒙古並みのアイドル文化勢力拡大の現れである。

◆大森靖子


アコギをかき鳴らし髪振り乱し絶叫する激情派SSW大森靖子は、モー娘。道重さゆみをはじめとするハロプロヲタであることを公言しており、アイドル・イベントに参加することも多い。最初は剥き出しの情念の奔流に会場が凍りつくことも多かったが、次第に受け入れられ、秋葉原のハロー!ショップでライヴをしたりアイドルとの共演もある。




●後藤まりこ


関西ゼロ世代の代表格ミドリでセーラー服でギターをかき鳴らし絶叫しセンセーションを巻き起こした後藤まりこは、ソロ・デビュー後は過激なパフォーマンスを封印しちょっとエキセントリックなコケティッシュ路線で精力的に活動。年齢的にアイドルとタイマン張るのは厳しいが、テン世代の戸川純的存在としてアイドルイベントに出演することも多い。




アイドルが
みんなこうだと
思うなよ

大森と後藤を含み108組のアイドルが出演する「TOKYO IDOL FESTIVAL 2013」はリンダ3世初の群馬以外のステージでもありアイドル戦線の無軌道ぶりを証明するカオスイベントになるだろう。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒット・ミー!アンタのリズムスティックでぶって!ぶって!~ドラムン・アイドル大集合

2013年07月04日 00時16分44秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


”ぶってー、アンタのリズムスティックで
ぶって!ぶって!
君が大好きなんだぜ
ワタクシお前さんが好きイッヒッヒ
ぶって!ぶって!ぶって!
ぶってー、アンタのリズムスティックで
ぶって、ゆっくり、ぶって、素早く”
from「ヒット・ミー」イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ

1978年、前年まで吹き荒れたパンク・ムーヴメントがセックス・ピストルズの解散で志半ばにして頓挫し、ニューウェイヴ時代へ突入。テクノビートのディスコヒットが連発。その風潮に喝を入れるべく、パンクにはオトナ過ぎたbickoシンガー、イアン・デューリーが放ったUK No.1ヒットが「ヒットミー」。M系変質的リリックに篭められた情念は、来るべき狂乱の80年代への警鐘だった。




●グリコ「プリッツ」CM


最近テレビでよく観るCMが気になる。前髪パッツン美人の凛としたドラミングが滅茶苦茶カッコいい。政治も経済も文化もすべてがカオス化するテン年代に喝を入れる強烈なヒット・ミー!




●シシド・カフカ


プリッツCMのドラマーはてっきり女優かモデルだと思ったら、THE DRUM'N'GIRL=シシド・カフカだった。この名前は音楽サイトやSNSで見て、カヒミ・カリイみたいだな、と気になっていた。元THE NEWSのドラマーだと知り親近感が沸いた。THE NEWSは80年代半ばにバンドで何度か対バンしたことがあるガールズ・トリオ。美人だけど背が高く男勝りの硬派なスタイルで、近寄りがたいオーラがあった。イカ天に出て人気を博し、その後もコンスタントに活動。シシドは2004年19歳の時に加入し4年間在籍したという。背の高さとスリムなスタイルが決め手になったのだろうか。




●森高千里


ドラムを叩くアイドルの代表格が森高千里。コスプレで大人気を博したが、同時に作詞・楽器演奏に才能を発揮し、単なるアイドルに留まらなオリジナリティーを追求した。アイドルとしては『非実力派宣言』したが、ドラマーとしての実力は村上”PONTA”秀一や吉田拓郎、泉谷しげるなどうるさ方ミュージシャンに高く評価されている。大半の曲を自ら楽器演奏した7thアルバム『ペパーランド』(1992)は未熟さも含め愛おしい作品揃い。




●鈴木さえ子


森高の先輩格のドラマー・ガールが鈴木さえ子。学生時代にガールズ・バンドで活動したが、当時は偏見から「メス猫ロック」などと揶揄された。1980年CINEMAのドラマーとしてデビュー、FILMS、立花ハジメのバンド"H"、坂本龍一の"B2-UNITS"などに参加。忌野清志郎+坂本龍一のヒット作「い・け・な・いルージュマジック」のドラムを担当したのが話題になり脚光を浴びる。83年ソロ・デビュー、個性派シンガーソングライターとして人気者になり、鈴木慶一、アンディ・パートリッジ、高橋幸宏などと共演。当時はロック印象派を、近年はテクノ印象派と自称する。




●コズミック・インベンション


「YMOジュニア」と呼ばれた中学生によるテクノポップバンド。ドラム&ボーカルの森岡みまを中心に結成。メジャー・デビュー前にYMOの日本武道館公演で前座を務め、アルバム1枚とシングル3枚を残し1982年に解散。キーボードの井上ヨシマサは高校卒業後に作曲家として頭角を表し、近年ではAKB48の代表曲の数々に携わっている。テクノポップといっても生ドラムをフィーチャーしたスタイルはYMO、P-MODELなどと同じ。NHKみんなのうたでヒットした「コンピューターおばあちゃん」は後にPOLYSICSがカバーした。




●相武紗季


21世紀、けいおんのヒットを待つまでもなく、女子がバンドをやるのは当たり前になった。30年前の鈴木さえ子の悩みが嘘のように「バンドやってました」という女優やモデルもいるし、役柄で楽器を演奏することも多い。北川景子や前田亜季などがそうだが、「WATER BOYS」でデビューした相武紗季は映画「ビートキッズ」や明治安田生命保険のCMでその腕前を披露している。




●バンドじゃないもん!


神聖かまってちゃんのみさこが「女の子と一緒にバンドをやりたい」と2011年に結成したツインドラムのアイドル・ユニットがバンドじゃないもん!。かっちゃんとの二人組だったが、最近新メンバーを加えて5人組になった。5人になって演奏がどうなるかは分からないが、叩くアイドルとしては第一人者であることは間違いない。生ドラムなのに打ち込みビートを使うところがアイドルらしい萌えポイント。




●リンダdada(’N夙川BOYS)


西宮出身の3人組’N夙川BOYSの紅一点リンダdadaは現役トップモデル。楽器をとっかえひっかえ繰り出すはっちゃけロケンロー魂が最高に楽しいパーティーバンド。愛らしいスマイルを絶やさないリンダのタイトなドラミングに惚れるファン続出。




●ユリナ(住所不定無職)


こっちは東京出身の女子2+女装男子トリオ住所不定無職。担当楽器は全員「ギターとか」となっているが、小柄なユリナがドラムを叩きながら歌うスタイルは印象的。声が甲高く何をしゃべっているのか分からないが、そんなの関係ねーと弾けるトーキョーポップンポールが楽しい。新メンバーが加入して4人組になった。




●ファーストサマーウイカ(BiS)


ニュー・シングル「DiE」がオリコンウィークリー初登場6位のヒット、世界初のノイズアイドルバンド「BiS階段」の話題も盛り上がるBiSの太鼓持ち担当ウイぽんことファーストサマーウイカはパンクバンドのドラマーだったとのこと。「MURA MURA」MVではスキンヘッドバンドで見事な叩きっぷりを披露。7/12新宿ロフトにプー・ルイのドラマーとして出演する。
[追記:ウイぽん本人からの指摘でパンクバンドではないとのこと。まさかノイズバンドではあるまい。しかし同じBiSの新メン、テンテンコ(マル非美川の娘さん候補)が加入前にJOJO広重と対バンしたことがあるという事実を考えると、充分ありえるから怖い]




叩いてお
殴ってお
蹴ってもいいお!

個人的にはマル非の非情の掟に巻き込まれたこの方にシバカレ隊ものである。


▼マル非の魔の手がマリアンヌ様を襲う。・゜・(ノД`)・゜・。(7/5追記)


                            
                 *この記事のためにご協力いただいたフォロワーの方々にこの場を借りてお礼申し上げます。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

灰野敬二/鳥を見た/SURGE@高円寺Club Mission's 2013.6.30(sun)

2013年07月02日 00時20分58秒 | 灰野敬二さんのこと


黒い日曜日
【ALTERNATIVE/PSYCHEDELIC/AVANGALD】
ACT:灰野敬二/鳥を見た/SURGE(ヒゴヒロシ、ホンダリョウ、 斎藤“社長”良一、 金澤美也子)/ARUHI+木幡東介(マリア観音)/the ビューティフルニー/小松成彰hypnos/バクガキ

「というわけで次回俺企画の告知!超超激熱なフェスティバルに仕上げました!
ミュージックヘヴィリスナーの皆さんは必聴アーティスト勢ぞろい!
最初から最後までいたらあまりのリアル感に死にたくなるかもしれませんので気をつけてください!」
(店長 辰野仁・高円寺Mission'sスタッフブログより)

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

5月30日スーパーデラックスでのリシャール・ピナスとの共演以来1カ月ぶりの灰野敬二のライヴ。体調不良で断念した「真夜中のへヴィロック・パーティ」は頭脳警察+非常階段=「頭脳階段」や、非常階段にキノコホテルのマリアンヌ東雲が参加したり、様々な見どころがあったようで、無理しても行けばよかったと後悔しきり。以来灰野のライヴ情報は途絶えていたが、6月末~7月にかけていろいろライヴに出演。前日はDJイベントに出演し3時間の濃厚なDJプレイを聴かせたという。

この日は高円寺ミッションズが年に一日特別に贈るアンダーグラウンド音楽の祭典。「黒い日曜日」というタイトルは鳥を見たの曲名から取られたそうだ。今回は総勢7組、6時間に亘るロング・イベント。当初静岡在住のノイジシャンK2が出演の予定で再会を楽しみにしていたが、直前になって中止になった。知らないバンドも多く面白そうだったが、やむを得ぬ事情で遅れ到着したのは8時過ぎ。会場に足を踏み入れた途端に轟音が襲ってきた。

●SURGE(ヒゴヒロシ、ホンダリョウ、 斎藤“社長”良一、 金澤美也子)

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

ヒゴヒロシのユニットという認識しかなかったので、ステージ上で繰り広げられる阿鼻叫喚インプロ演奏に虚を突かれた。特に女性ピアニストとドラマーの絶叫合戦が凄まじい。声と演奏だけでなく激しいアクションも含め、容赦なしの激烈パフォーマンスに久々に血が騒いだ。キレキレのギターはDNA時代のアート・リンゼイを思わせる。白塗りドラマーは舞踏家を思わせる妖艶なプレイ。容赦ない金切り声をあげるピアニストはオノ・ヨーコかニナ・ハーゲンにとり憑かれたかのよう。何者?と思ったらメンバー紹介でる*しろうの金澤だと知り驚く。5年以上前に灰野との共演を観た時の大胆なプレイが印象的だった覚えがあるが、まさかこんなガイキチ演奏家になっているとは想像もしなかった。ハードコアダブバンドSURGEとしては2回目のライヴなのでまだまだ進化の余地がある。ガイキチ音楽の猛者が繰り広げるカオスに期待したい。





●鳥を見た


なかおちさと(vo.g) 、山崎怠雅(b)、東郷生志(ds)、浅野廣太郎(b-sax)からなるヘヴィ・サイケデリック・バンド鳥を見たを最初に観たのは2011年2月ミッションズで、灰野との対バンだった。山崎が灰野のステージ・スタッフを務めていることもあり親近感がある。裸のラリーズばりの轟音ロックに、なかおの文学的な歌詞と四畳半フォーク的(?)なリリカルなメロディーを乗せたスタイルが魅力。軋むようなバリトン・サックスもユニーク。山崎は今までのリッケンバッカーからSGベースに替わり、ジャック・ブルースのような太く歪んだベースラインでバンド・サウンドをドライヴさせる。なかおの火を噴く轟音ギターも炸裂し、眩い白日夢へと誘う。知人の話では、灰野と同じステージに立つときは特に気合が入りいい演奏をするとのこと。実は彼らを観るのは大抵灰野と対バンなので、その違いは分からない。活動歴も長いのでそろそろ音源をリリースしてもいいのでは?





●灰野敬二


1か月間灰野のライヴを観ないのは極めて稀なこと。その間に心のベクトルがアイドル方向へ振り切れてれてしまった。ここで何とか軌道修正したい。
スクリーンの後ろから強烈なギターが聴こえただけで気持ちが引き締まる。照明が暗転し幕が上がるにつれて世界の色が変わっていく気がする。圧倒的な轟音シャワーが降り注ぐ。灰野はひとりきり、ギターも一台なのに様々な音が同時に鳴り響き、スピーカーの無い空間から気配に似た音波が放射される。何百回、何千回観てもそのたびに未知の扉が開かれる不思議。全身の皮膚から灰野の「気」が体内に入り込み、静脈を流れて魂を浄化する。意識は冴えているのに夢想とも幻覚ともつかない宙に浮く感覚に包まれる。"生きている"ことを思いしらされるピュア体験をこれからも味わえる喜びを噛み締めた。




→動画の続きはコチラ

日曜日
黒と白との
その隙間

<灰野敬二スケジュール>
7月13日(土) 幕張メッセ  FREEDOMMUNE 0<ZERO>ONE THOUSAND 2013

7月19日(金) 荻窪ルースターノースサイド 藤掛正隆&早川岳晴 PRESENTS ~崖っ縁SESSION VOL.40~
出演:灰野敬二(g,vo) 早川岳晴(b) 藤掛正隆(ds)

7月20日(土) 調布市せんがわ劇場 「JAZZ ART せんがわ2013 ~ 野生に還る音 親密な関係 生きる芸術 ~
藤原清登 + 灰野敬二
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★★解析★★ 世界初のノイズアイドルバンド「BiS階段」ここが凄い!!(=´∀`)人(´∀`=)

2013年07月01日 00時06分03秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


オルタナティヴアイドル”BiS”と世界最高峰ノイズバンド”非常階段”が奇跡の融合!!!!
世界初のノイズアイドルバンド「BiS階段」デビュー!!!!
→詳細はコチラ
→HEATHAZE(ヒートへイズ)記事はコチラ
→プー・ルイの絵日記帳~アイドルグループの作り方~はコチラ



(左)CDジャケット/(右)LPジャケット


じょじょじょじょじょ!
カオスカオスと騒いでいたノイズ+アイドルヲタの妄念が天に届いたのか?昨年秋にイベント「自家発電 vol.00」で凄まじいカオスを創出した奇蹟の合体ユニット「BiS階段」がまさかの本格始動!アルバム・リリース、さらにライヴ活動も行うとは!!!


リードトラック「好き好き大好き」のMVが公開された。




再びじょじょじょじょじょ!!!
これはひ、ひど・・もとい、凄い!!壊してるっ!突っ込んでるっ!ぶん投げてるっ!喰いちぎってるっ!高く掲げてるっ!撒き散らしてるっ!ぶっかけてるっ!浴びてるっ!被ってるっ!切断してるっ!ヤヴァ過ぎるっっっ!!!
それにも関わらず、今までのBiSのどのMVよりも強烈に「萌え」を感じる不思議。。。。。。

この映像がポップ+前衛の究極兵器「BiS階段」の衝撃をダイレクトに伝えると同時に、日本のロック・カルチャーへの敬意溢れるオマージュであることは明らか。セーラー服、ユンボ、チェーンソー、一斗缶、ギター破壊、汚物、赤メガフォン、豚の首、消火器噴射など登場する行為・小道具すべてが、非常階段、ハナタラシ、スターリン、じゃがたら、山崎春美、戸川純といったアーティスト達の数々の伝説をイメージさせる暗号であり、その情報量の豊かさは、宮藤官九郎と大友良英が連続テレビ小説「あまちゃん」のストーリー、台詞、背景、音楽の随所に潜ませた無数の伏線、引用、パロディーと同質である。過去情報のアーカイヴを含有した現代カルチャーの最前衛こそ、カオスに亀裂を入れ新たな生命を吹き込むアヴァンギャルド革命のエッセンスなのだ。

80年代カルトアイドル戸川純の3rdソロ・アルバムのタイトル曲「好き好き大好き」は、トレードマークのロリータヴォイスと恫喝オペラ歌唱をフィーチャーしたミニマルビートが耳に残るテクノ歌謡ナンバーで、戸川自身の手でサブカル用語が散りばめられた歌詞には、♪唇に血が滲む程/あばらが音を立てて折れる程/愛してるって言わなきゃ殺す♪という狂気の愛の形が刻まれている。♪昭和史に刻む勢いのジュ・テーム(BiS階段は"平成に刻む~”)♪と歌われる通り、昭和的なドロドロした情念を80年代の乾いたポストモダニズムで料理したカルトソングである。吹き荒れる暴虐ノイズの嵐をキュートなイノセンスが突き抜けるBiS階段ヴァージョンは、カオスをもってカオスを制する、テン世代の脱構造主義の到来を告げる金字塔であり、退廃美学をエモ・ポップが牽引する眩いエネルギーの前では、時代の閉塞感など一瞬で霧散するに違いない。



マル非ライヴの過激さとオーディエンスの凄まじさはYouTubeにアーカイヴされている。一方メンバーと研究員(BiSヲタ)の相互作用が産み出すBiSライヴの特異性は一度でも現場に立ち会った者なら強烈に脳裏に焼き付くハズ。ベーシックなIDOLロゴやBischargeTシャツ、合言葉やメッセージや意味不明な単語をプリントした特注Tシャツ、BiS・IDOLとマジックで手書きした海賊版Tシャツ、様々なロックT&パンクT。思い思いのコスチュームに身を包んだ黒尽くめの研究員の群れはハードコア不法集会さながらの情景。報告会(ライヴ)でのヲタ芸カオスは暴動にしか見えない。

8月7日渋谷WWWでのリリース記念LIVEでは、入場の際に誓約書へのサインが必要になるという。ハナタラシへのオマージュだが、実際に規制ギリギリのデンジャラスなパフォーマンスを目論んでいるとの情報もある。BiS階段の過激なパフォーマンスに、"マル非T"ノイズヲタと"アイドルT"アイドルヲタが入り乱れて創出するケミストリーは、間違いなくテン世代の伝説として未来永劫語り継がれるに違いない。

四半世紀以上に亘ってノイズを追求するマル非に比べ、アイドルの命は短く儚い。そもそもBiSは武道館公演実現までの期間限定ユニットだが、そうでなくても「アイドル」として活動出来る期間には年齢的な限界がある。唯一の例外である一生アイドル=松田聖子を除き、人生のほんの短い期間しかあり得ないアイドルというレアな存在が、一生非常階段と出会い共演すること自体が奇蹟なのである。




些か古い表現で恐縮だが「いつやるか?今でしょ!」を地でいく「BiS階段」こそ、きゃりーぱみゅぱみゅアーバンギャルドと並ぶ現代日本最大の頭脳改革的ポップアイコンだと断言できる。

ノイズとは?
アイドルとは?
カオスとは?

アンチアンチと騒いでいるデモンストレーションヲタの方々も「アベノミクス」を「アホノミクス」と呼んでディスるだけじゃなく、「アベノイズミクス」として新たな物に作り替える創造性を培ってみては如何だろうか?











コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする