グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

サワガニ(伊豆大島の動物シリーズ12)

2021年01月24日 | 哺乳類、爬虫類、他
2年前のジオガイド養成講座の資料を、少しずつ連載している「伊豆大島の動物シリーズ」
12回目は「サワガニ」です。

まずは講師の天野氏作成の配布資料より。(一部省略しています)

「伊豆大島にはサワガニが生息している。
 アカテガニやベンケイガニなど、陸上で多くの時間をすごすカニ類も大島に生息しているが、これらのカニは産卵の時期だけは海に入り、大潮の夜に卵を海へ放つ。海ですぐに孵化した幼生は、やがて大きくなると稚ガニとなって海岸に上陸して暮らし始める。
 しかし、サワガニだけは一生のうち一度も海へ下らず、メスが腹に抱えた卵から直接稚ガニが孵化する。このような生態を持つものは、国内ではサワガニ類だけである。(本州ではサワガニ1種だが、南西諸島には十数種いる)
 海に出ることがないサワガニが、なぜ伊豆大島にいるのか、これも記録などがないためはっきりとわかっていない。しかし一度も陸続きになったことのない海洋島であるので、誰かが食用か何かのために持ち込んだ可能性が高いと思われる。もし今後、大島のサワガニのDNA分析などがなされれば、はっきりする時が来るのではないだろうかと期待している」
資料は以上です。

穴だらけの小石(スコリア)や、目の荒い火山灰に地表面を覆われ、水はけが良く、川のない伊豆大島ですが、所々に湧水がある場所があります。

そしてそういう場所のそばには、「サワガニ」が生息しています。

2018年6月。

元気にチョロチョロ動いていたので目につきました。

2020年9月。

どこにいるか、わかるでしょうか?

写真の一部を大きくしてみました。

水に浸かっているのは、外が暑いからでしょうか?

別個体。

この時も動きが素早くて、写真を撮りにくかったです。

2021年1月7日。
「冬だし、見つからないだろう」と思いつつ、足元の石をめくってみたら…


いました!

寒いからか、水のない岩の隙間に身を隠すように入り、じっとしていました。

周囲には、何者かわからない黒い小さな虫(動きが早くて捕まえないとなんだかわからない)が動き回っていたので、案外食べ物はあるのかもしれません。

もしもサワガニが人の手によって持ち込まれたものだとしても、島内のかなり離れた数カ所で生き続けているのは、不思議な気がします。

でも、サワガニに会えると、なんだかホッとします。
これからも、この小さな生き物が、命をつないでいける島でありますように。

(かな)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする