日曜日、NHKの夜の番組で、久しぶりに色川大吉の尊顔を拝した。自由民権運動について樋口陽一氏とゲストで出ていたのだ。お年をとった(86歳)なあと思ったが、しかし知性にはいささかの衰えもない。
三多摩を中心とした自由民権運動の研究の先達として私の前に現れた色川氏は、私の歴史認識に強烈な印象を与えた研究者だ。とくに『民衆憲法の創造』(評論社)で明らかにされた事実は、私の生き方に大いなる影響を与えた。
最初に色川氏の文章にあったのは、当時購読していた『朝日新聞』の日曜版の連載の一つ、“思想史を歩く”というシリーズだったか。その連載は本にもなった(確認したら1974年)。書庫にあるので確認はできないが、そこに色川氏の情熱的な、明確な問題意識をもった美文があった。
それから私は色川ファンになった。色川氏の本は、刊行されたら必ず購入して読んだ。黄河書房版の『明治精神史』を入手したくて苦労したが古本屋でもかなり高額だったのであきらめたこと、中央公論社から『新版明治精神史』が出たので購入したら、黄河書房版とかなり異なっていることを知りがっかりしたこと、後に黄河書房版は『講談社学術文庫』で発売されやっと手に入れることができたこと、『三多摩自由民権資料集』を購入したこと、『明治の文化』(岩波書店)など、色川氏の本は次々と読んでいった。そのなかでも『ユーラシア大陸思索行』(平凡社)は、私の視野を一挙に広げてくれた本だ。
今、アマゾンでチェックしたら、買ってない本もあることがわかった。しかし、それはすべて最近のものだ。1970年代から90年代のものはだいたい読んでいる。
さて、今日図書館に行ったら、色川氏の自分史の一つである『昭和へのレクイエム』(岩波書店)を発見した。いつかは読もうと思っていたものなので、借りてきて読み始めた。色川氏の人生は、書物や自由民権百年集会などを通じて、ほぼ私の生きていた歴史と重なるところがある。だから、読みながら、自分自身の来し方を振り返るようだ。
しかしそのなかに、まったく無知のものがあった。歴史民俗博物館開館への色川氏の関わりである。古代史の碩学井上光貞氏に請われて歴博の展示の原案づくりに大きくかかわったことは、まったく知らなかった。それもほとんど報酬なしに。また文部官僚の妨害と闘いながら。この本にはその官僚の名が堂々と書かれている。中田和夫である。この項目には、官僚の本質がはっきりと書かれている。さすが色川さん。
まだ途中であるが、町田の住人も暇があったら読まれたらいい、と思う。
三多摩を中心とした自由民権運動の研究の先達として私の前に現れた色川氏は、私の歴史認識に強烈な印象を与えた研究者だ。とくに『民衆憲法の創造』(評論社)で明らかにされた事実は、私の生き方に大いなる影響を与えた。
最初に色川氏の文章にあったのは、当時購読していた『朝日新聞』の日曜版の連載の一つ、“思想史を歩く”というシリーズだったか。その連載は本にもなった(確認したら1974年)。書庫にあるので確認はできないが、そこに色川氏の情熱的な、明確な問題意識をもった美文があった。
それから私は色川ファンになった。色川氏の本は、刊行されたら必ず購入して読んだ。黄河書房版の『明治精神史』を入手したくて苦労したが古本屋でもかなり高額だったのであきらめたこと、中央公論社から『新版明治精神史』が出たので購入したら、黄河書房版とかなり異なっていることを知りがっかりしたこと、後に黄河書房版は『講談社学術文庫』で発売されやっと手に入れることができたこと、『三多摩自由民権資料集』を購入したこと、『明治の文化』(岩波書店)など、色川氏の本は次々と読んでいった。そのなかでも『ユーラシア大陸思索行』(平凡社)は、私の視野を一挙に広げてくれた本だ。
今、アマゾンでチェックしたら、買ってない本もあることがわかった。しかし、それはすべて最近のものだ。1970年代から90年代のものはだいたい読んでいる。
さて、今日図書館に行ったら、色川氏の自分史の一つである『昭和へのレクイエム』(岩波書店)を発見した。いつかは読もうと思っていたものなので、借りてきて読み始めた。色川氏の人生は、書物や自由民権百年集会などを通じて、ほぼ私の生きていた歴史と重なるところがある。だから、読みながら、自分自身の来し方を振り返るようだ。
しかしそのなかに、まったく無知のものがあった。歴史民俗博物館開館への色川氏の関わりである。古代史の碩学井上光貞氏に請われて歴博の展示の原案づくりに大きくかかわったことは、まったく知らなかった。それもほとんど報酬なしに。また文部官僚の妨害と闘いながら。この本にはその官僚の名が堂々と書かれている。中田和夫である。この項目には、官僚の本質がはっきりと書かれている。さすが色川さん。
まだ途中であるが、町田の住人も暇があったら読まれたらいい、と思う。