『世界』2月号の特集の一つは、「クルマの社会的費用」である。世界のクルマは、EV化へと進んでいる。その状況が、いくつかの文章に並んでいる。
同じ趣旨のことが、『選択』1月号に書かれていた。最近の統計では、トヨタ自動車の販売台数が世界一になったと報じられた。そのトヨタのEV化への取り組みが遅れている。
過去20年の歴史を見れば、トヨタのような焦点の定まらないGMS型(「世界の幅広い市場で、幅広い商品を提供する」こと、ー引用者注)のフルラインの自動車メーカーは、当人たちは無自覚ながら危機の瀬戸際にある。フォルクスワーゲンがEV専業メーカーに必死に追いつこうとする真剣さこそ、今のトヨタが見習うべきなのだ。
『世界』でも、「内燃機関を過去の技術とするしかない。」とある。世界がEV化へと急速に歩を進めているときに、日本だけが「電動化」とか、「クリーンエネルギー自動車」と言い、メディアもそれにならい、自動車産業の解体の危機を直視していない。
飯田哲也は、「半導体・家電・液晶・太陽光と次々に敗れ去った日本の、最大かつ最後の基幹産業である自動車産業の危機という「日本沈没リスク」に危機感が広がらない」と書いている。
確かに、日本の基幹産業で残っているのは自動車だけである。自動車産業を中心として、産業政策が動いている。日本の自動車産業が時代遅れになりつつある現在、それを何とかしない限り、日本の「基幹産業」はなくなっていく。日本の未来は、「日本沈没」が待っているようだ。