浜松市は、「徳川家康公顕彰400年記念事業」の一環で、信玄と家康が戦った三方原合戦のジオラマをつくるという。その関係の記事が、『中日新聞』に載っていた。
しかし、三方原合戦については、基本的な研究がなされていない。「古戦場」として、浜松市営墓地の片隅に石碑があるが、はたしてそこが実際の戦場であったのかどうか、その根拠はない。
今日の記事では、昨日、ジオラマの制作を担当する二人が甲冑を身につけて「浜松市北区の古戦場近く」を散策したというが、「古戦場近く」には根拠はあるのだろうか。
最近、本多成・静岡大学名誉教授が一次史料をつかって、今まで武田軍は青崩峠を南下してきたという「通説」をひっくりかえしたばかりだ。武田軍は駿河のほうからやってきたのだ。
浜松市のこうした事業は、地に足が着いていない。というのも、「家康くん」のように目立つことには力を入れるが、三方原合戦についての基礎的な研究にはまったく興味関心をもっていないのだ。
たとえば犀が崖は、三方原合戦の一部であるといわれているにもかかわらず、浜松市は当初犀が崖資料館をつぶそうとした。
現在ある資料館が耐震上問題があるということが理由である。ところが市民からそれに批判的な動きが出たら、今度は、新たな資料館、それもプレハブのものをつくるというのだ。
しかしこの顛末については、ボクも関与しているのだが、犀が崖資料館に保存されているものについてもまったく調査もせず、建物についても破壊することしか考えていなかったのだ。耐震に問題があるから解体、資料館は必要なようだから簡単なものをつくりますよ・・・・という感じ。
そこでボクも含め、犀が崖について調査し、資料館には家康と直接関わりがある小さな勝軍地蔵(浜松には、家康と関わりがあるものはこれしかないのだ!)があり、それは文化財とすべきものであることを、やっと文化財課に理解してもらった(これについては、マスコミが書けばスクープともいえるものである)。
現在の資料館は、市の計画では解体することになっているが、しかし犀が崖にはどうしても寺院のような建物が必要なのだ。たとえば、鶴屋南北の「裙模様沖津白浪ー奴の小万」という歌舞伎では、天竜川の河川敷や中ノ町、犀が崖が舞台となっているが、犀が崖には「念仏寺」という寺院があって、そこでいろいろ演じられているのである。
犀が崖は、崖とそこにある寺院とが一体となって、その歴史をかたちづくってきているのである。
浜松市は、「記念事業」を今後も展開していくようだが、きちんとした学術調査を踏まえた上で行うことを提言したい。
しかし、三方原合戦については、基本的な研究がなされていない。「古戦場」として、浜松市営墓地の片隅に石碑があるが、はたしてそこが実際の戦場であったのかどうか、その根拠はない。
今日の記事では、昨日、ジオラマの制作を担当する二人が甲冑を身につけて「浜松市北区の古戦場近く」を散策したというが、「古戦場近く」には根拠はあるのだろうか。
最近、本多成・静岡大学名誉教授が一次史料をつかって、今まで武田軍は青崩峠を南下してきたという「通説」をひっくりかえしたばかりだ。武田軍は駿河のほうからやってきたのだ。
浜松市のこうした事業は、地に足が着いていない。というのも、「家康くん」のように目立つことには力を入れるが、三方原合戦についての基礎的な研究にはまったく興味関心をもっていないのだ。
たとえば犀が崖は、三方原合戦の一部であるといわれているにもかかわらず、浜松市は当初犀が崖資料館をつぶそうとした。
現在ある資料館が耐震上問題があるということが理由である。ところが市民からそれに批判的な動きが出たら、今度は、新たな資料館、それもプレハブのものをつくるというのだ。
しかしこの顛末については、ボクも関与しているのだが、犀が崖資料館に保存されているものについてもまったく調査もせず、建物についても破壊することしか考えていなかったのだ。耐震に問題があるから解体、資料館は必要なようだから簡単なものをつくりますよ・・・・という感じ。
そこでボクも含め、犀が崖について調査し、資料館には家康と直接関わりがある小さな勝軍地蔵(浜松には、家康と関わりがあるものはこれしかないのだ!)があり、それは文化財とすべきものであることを、やっと文化財課に理解してもらった(これについては、マスコミが書けばスクープともいえるものである)。
現在の資料館は、市の計画では解体することになっているが、しかし犀が崖にはどうしても寺院のような建物が必要なのだ。たとえば、鶴屋南北の「裙模様沖津白浪ー奴の小万」という歌舞伎では、天竜川の河川敷や中ノ町、犀が崖が舞台となっているが、犀が崖には「念仏寺」という寺院があって、そこでいろいろ演じられているのである。
犀が崖は、崖とそこにある寺院とが一体となって、その歴史をかたちづくってきているのである。
浜松市は、「記念事業」を今後も展開していくようだが、きちんとした学術調査を踏まえた上で行うことを提言したい。