浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

歴史は記憶され続ける

2024-11-03 21:37:31 | 近現代史

 第二次大戦前、スターリンのソビエト連邦とヒトラーのドイツは、ポーランドを分割してみずからの支配下に置いた。そして

 「1939年9月から41年6月にかけて、ドイツとソ連は合わせて推計20万人ものポーランド人を殺害し、およそ100万人を強制追放した。」(247頁)

 ソ連もドイツも、ポーランド人を殺したが、その殺人行為には正当性はまったくなかった。みずからの支配に都合がよくなるように、「意図的にポーランド社会の上層部を抹殺して従順な大衆だけを残そうとした」のである。

 『ブラッドランド』のブラッドとは、bloodである。血、である。無数の血が流された。その血を流させたのは、ソ連でありドイツであった。『ブラッドランド』を読み進めているのだが、ソ連のスターリンが極悪人であることは当然であるが、その命令を受けて積極的にポーランド人その他を殺しまくった輩がいる。

 官僚制は、今の役所でもそうだが、上からの命令を素直に実行することが役人の仕事となる。役人は、すべきではないことであっても、命令があれば実行する。そうした輩によって、官僚組織は運営されている。

 スターリンが処刑する計画数を呈示する、すると官僚はそれを上回る数の人間を処刑する。そうした事例がたくさん記されている。

 中東欧で起きていた事態の詳細を、わたしは知らなかった。中東欧の諸民族の動きは、虐殺の歴史を背負っていたことを知った。それはまた、今後も背負い続けるだろう。ドイツとソ連による虐殺は、20世紀の出来事だから、虐殺された人びととつながる人びとは、決して忘れていない。

 この本『ブラッドランド』上巻を、まもなく読み終える。

 次々に登場する悲惨な現場に読者は立ち会うことになる。悲惨な現場をへて今がある。中東欧の動きは、過去の悲惨な現場抜きには、理解し得ないことがよくわかった。

 

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