人気の漫画、『セクシー田中さん』の作者である芦原妃名子さんが自死したというニュースが流されたことがあった。
わたしは『セクシー田中さん』というマンガも読んだことがないし、それがテレビドラマ化されたものも見ていない。だから、訃報が流されたときにはまったく理解できなかった。
今月号の『世界』に「セクシー田中さんとジェンダー問題」という記事があった。それを読んでやっと理解できた。
芦原さんの原作は、社会的な課題をきちんと描いていたものだったらしい。しかしテレビでは、そういう側面をカットしたのだという。こう書かれている。
「・・・改変部分は、ほぼ原作漫画において、現代を生きる男女の生きづらさ、ジェンダー問題に切り込んだ描写であったことだ。」
芦原さんが、漫画を通して訴えたいテーマをテレビはそれを消した、芦原さんはそれに厳しく抗議したが、その抗議は受け付けられることはなかった。
「原作では、登場人物の一人ひとりに、現代を生きるわれわれが身近に感じるジェンダーバイアス、つまり男女の固定的な役割や規範に対する偏見や悩みが投影されており、だからこそ多くの読者の共感を得たことは間違いない。」
せっかく芦原さんが、鋭い問題意識をもって描いたのに、それをテレビは「のっぺらぼう」にしてしまったのだ。テレビは何という罪作りをしたのか、と思う。