浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】奥泉光・加藤陽子『この国の戦争』(河出新書)

2022-10-22 00:18:29 | 

 久しぶりに書店に行き、新書のコーナーを眺めた。その中からこの本と、森万佑子『韓国併合』(中公新書)を購入した。書店で買うのはほんとうに久しぶりだ。

 後者はいまだ読んではいない。韓国併合については、親しくしていた海野福寿さんが晩年よく調査されていたし、また折に触れてその内容を教えてくれていたので関心があるからだ。海野さんは、突然ハングルを勉強し始め、内地留学で東京外大に行き、本格的にハングルを学んだ。その直後、韓国で日韓(日朝)の歴史を調べ始めた。海野さんにとってはまったく新しい分野の研究であった。私も、海野さんに誘われて、在日コリアンの歴史などを調べ始め、私自身も調査のために何度も韓国に行くようになった。

 海野さんは『韓国併合』(岩波新書)をはじめ、それに関する著書をいくつか刊行された。海野さんのそれと森万佑子のそれと、どう異なるのかを知ろうと、『韓国併合』を購入した。

 さて前者についてである。奥泉光は作家である。加藤陽子は歴史家である。副題に「太平洋戦争をどう読むか」とあり、二人が満洲事変から敗戦までを語り合うのだが、加藤はたくさんの史料の知見を保有しているが故に、最近の研究がどういうところを明らかにしてきたかを語る。私が学んできたことはすでに時代遅れとなり、新しい史料の発見により別の見解が生まれ、それが通説化しているようなのだ。そういう個所がいくつかあり、とても刺激になった。歴史学研究の進歩はすごいと思った。

 退職後、あるいは研究会の幹事をやめたことから、歴史研究の最前線を追わなくなっていた。自治体史などで、「15年戦争」期の時期などを担当することが多かったので、それに関連する書物はたくさん読み込み、今も書庫などにあるが、最近の研究は知らずにいた。しかし私が学んでいた頃の研究は古くなっていたことを知らされ、大きな刺激を受けた。その点で、知的好奇心が喚起された。

 本書は三部構成で、三部では太平洋戦争に関する文献の紹介に宛てられている。読んだものもあったが、未読のものもあり、読みたくなった。本を読んでいて、それを契機に他の本を読みたくなることは、知的欲求が減退していない証拠である。

 知的好奇心を喚起する本は、良い本である。新書という相対的に安価な本で、最新の研究状況を学ぶことができた。諸物価上昇、しかし収入は増えないという状況で生活に陰りがみえる現在、高価な本(単行本は高価だ!)は買えなくなっているから、有難いことだ。

 赤線を引いたり、書き込みをしたところをもう一度読み直して、もう寝よう。眠りに入ろうとしたところに、隣家がわが家の前で車から降車し、ドアをバタンと閉め、大きな声を出したので眠れなくなってしまい、この本を読んだ。

 農業に従事する者にとって、秋は農繁期である。サツマイモを掘り、種を蒔き・・・・・という無限の作業が続く。疲れているから早く床に就きたいと思うのだが、邪魔が入る。

 

 

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人権意識のない国会議員への判決

2022-10-21 08:30:19 | 社会

伊藤詩織さん「指先一つでどれだけ傷つけるか、深く受け止めて」杉田議員に逆転勝訴、ネット中傷への心情明かす

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統一教会の悪魔性

2022-10-21 08:15:49 | 社会

 外国特派員協会でのもと信者の女性の記者会見をやめさせようと、両親の署名入りの中止要請、それももと信者の病状を理由としたものを送りつける非人間性。

 昨日は、統一教会によって家庭を破壊され、長男の自殺を悲しむ男性の訴えに対して、現役信者であるもと妻のVTRを公開する統一教会。

 ふたつの事例は、想像を超える統一教会側の対応である。教会に高額献金をさせているみずからの「非」について反省することもなく、それぞれの家庭のプライバシーを平気で踏みにじる統一教会の対応には、開いた口がふさがらない。

 教会は人権感覚が皆無であることを示す事案であり、それに気付かない統一教会の悪魔性を感じる。

 こういう組織は、オウム真理教と同様に対応すべきであると思う。同時に、こういう組織と平然と手を組む自民党という政党にも、驚く。

 その統一教会と手を組む自民党が、もうひとつの巨大宗教団体=創価学会とともに政治権力を握っていること、これは恐怖である。人権を侵害することを難とも思わない宗教団体の政権は、もう終わりにしなければならない。

 

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統一教会の意志が国策へ

2022-10-20 07:54:39 | 政治

旧統一教会側、自民議員に「政策協定」 選挙支援見返りに署名求める

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統一教会は「宗教法人」にしてはならない!

2022-10-19 12:02:55 | 社会

統一教会の宗教法人解散(法人格取消)を求めます

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反社会的な統一教会

2022-10-19 11:00:26 | 社会

 統一教会は、カネ、カネ、カネ。日本人から多額のカネを集める詐欺集団だ。アベを先頭とする自民党の国会議員たちが、彼ら詐欺集団に協力してきた、ということだ。

独自解説】“統一教会”「先祖の呪いを解く儀式」のガイドブックを独自入手「430代前の先祖まで解怨せよ」明記された献金額…罪を清める地獄からの3ステップとは?

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金石範のことば

2022-10-18 22:08:14 | 日記

 本を捨て続けている。これは「雑紙」として、これはブックオフ・・・というように。

 その時々の政治の動向を書いた本は、すべて「雑紙」である。しかし文学作品は、そうはならない。

 文学作品は、フィクションではあるが、一定の「事実」を書く。なかには現実と接点のない「事実」もあるが、しかし多くはその時々の現実と接点をもちながら描かれる。その「事実」が、現実をはるかに凌駕するほど現実に肉迫する場合もある。

 金石範の『火山島』はフィクションなのか、と思う。済州島4・3事件を描いた『火山島』。

 『世界』11月号の金石範の文に、「政治的であっても、政治を超えた文学、芸術の絶対性はついには政治を支配するものだ。政治は歴史の信仰とともに抜け殻となる。芸術は永遠である。」があった。文学は、「事実」をもって現実を変える力がある。

 だから捨てられない。

 

 

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ことばの重さ

2022-10-18 08:40:29 | 読書

 講談社文芸文庫の『故郷と異郷の幻影』を読む。読み終えたら私の元を去る本である。

 木山捷平の「ダイヤの指環」は、日本の敗戦直後に「満洲」に生きたことを回顧する。国家の後ろ盾など支えるものが消えた状況の下では、ひとりの人間として生きていくしかない。ただの人間同士の交流を振り返る。

 辻邦生の「旅の終り」。辻邦生の作品は読んだことがない。この小品を読んで、このひとの作品は読まなくてもよかった、と思った。少しも心が動かされることはなかった。

 石牟礼道子の「五月」。重い、重い作品である。強いられた水俣病、それに苦しめられる患者たち。肉体の苦しみを描く場面は重く迫ってくる。反面、ふつうに生活できていた時期の回想は、軽やかに語られる。重く、また軽やかに、それが交互にやってくる。

 「安らかにねむって下さい、などという言葉は、しばしば、生者たちの欺瞞のために使われる。」

 綴られたことばが、ことばなのに重い。重いことばは、しかし創造的なのだ。

 『世界』に金石範の「夢の沈んだ底の『火山島』」が掲載されている。これにも、私は支えられない重さを感じた。

 重いことばの背後にぴったりと人びとの生死がくっついているからだ。

「記憶を喪失した人間は人間ではない。」「眼は開いていて見えない。耳は眼の横についていて聞こえない。口があっても話せない。」「ことばが、軀のなかから離れない。ことばが離れようとしても恐ろしい苦痛で、ことばが軀から取れない。出てこない。」「忘却に歴史はない。」

「記憶の殺戮と記憶の自殺両方を背負って、限りなく死に近く沈んでいた忘却からの蘇生。それが歴史に対する意志であり、完全に死に至っていなかった記憶の勝利だ。生き残った者たちによる忘却からの脱出、暗闇の底から一人、二人と語り始めた証言が、氷河に閉じこめられていた死者の声をよみがえらせる。はじめの一歩だが、その記憶の勝利は歴史と人間の再生と解放を意味するだろう・・・」

ことばが新たな意味を持って創造されていく。文学の有効性は、こうしたことばの創造をおこなうことにより、実証されていく。

私がやってきた歴史叙述の力のなさよ。

 

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ロシアという国

2022-10-18 07:29:18 | 国際

 ずっと前に買ったチェーホフ全集を少しずつ読みはじめているが、一方に諧謔があり、他方に明白な不平等社会が描かれる。かつてのロシア文学は、抑圧下の精神の苦悩と自由を求める意志、そして何が善であるのかを描いていた。ロシア帝国の時代の話である。

 ロシア革命は、不平等社会を破壊したはずなのに、担い手を変えた新たな不平等を生みだした。共産党員を中心としたノーメンクラトゥーラという支配階級は、無数の特権をもち、民衆に対して抑圧的に、民衆の生命を意に介することなく収容所に送り込んでいた。

 1991年のソ連邦の崩壊は、ノーメンクラトゥーラの一部を壊したが、しかしノーメンクラトゥーラとつながる新興財閥をはじめとした新たな支配階級が権力と富とを独占するようになった。

 ソ連邦は大国であった。収容所送りになるかもしれないという恐怖を抱きながらも、庶民は物不足に苦しみながらも「大国意識」をもち、プライドをもって、そのなかで生きていた。

 その影響は今も続く。今も続く貧しい生活、それであっても、だからこそ自らが「大国」の国民であるというささやかな自信。

 プーチンに隷属するロシア国家の重鎮たちは、プーチンに言われるままに、過去に実在したロシア帝国やソ連邦の復活を夢みる。貧しい生活を強いられる庶民も、同じ夢を見たいと願う。

 しかし、同じ夢であっても、「同床異夢」ならぬ「異床同夢」である。「床」は「床」でも、ほんものの「床」である。ロシアの動員兵は、「床」で寝る。

 ロシアという国家は、権力の変遷はあったが、歴史的に同じ状況が続く。庶民は貧しく、である。

 国家に動員された兵士たちも、である。

【映像】「靴も、お金も、マットレスも盗まれた」ロシア軍キャンプの絶望的な様相

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「教団には愛がない」・・カネだけ

2022-10-17 20:38:47 | 社会

旧統一教会・勅使河原本部長「メディアに出ないで」 長男焼身自殺の父親に要請

「旧統一教会無くしてほしい」長男が焼身自殺…父親が涙の訴え 「これ以上、若い命が取られるようなことはもうやめてほしい」

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本を捨てる(1)

2022-10-17 19:43:36 | 日記

 友人が「終活」を始めたという。その一環として、本を捨てている。それを聞いた私も、本の整理を始めた。

 何らかのテーマを調べたりして書く場合、それに関する文献を渉猟し、それらをふまえて書く、ということをしてきた。そのために購入した書籍や、図書館から借りてコピーした論文などがたくさんある。

 おそらく私亡き後、これらは無用の長物となるであろう。そう思うと、生きているうちに整理しておいたほうがよいと思い、友人の真似をして、本の整理を始めた。

 今日は雨、農作業をしないので、書庫に入り込み捨てる本を紙袋に次々と放り込んだ。今日選んだ本は、時事的なものや雑誌が多い。あるいは批判の対象とした人びとが書いた本。時事的な本は、当該時期が過ぎると、その時代について何か書く場合は必要となるだろうが、もうその予定はないし、依頼されることもないだろう。

 勢いよく紙袋に投げ入れるのだが、ふと手に取る本がある。今日手に取ったのは、戦後短編小説再発見『故郷と異郷の幻影』(講談社文芸文庫、2001年刊)である。最初から読みはじめて三つ目、小林勝「フォード・1927年」は、小林が朝鮮半島で生まれ、幼いながらも植民者として朝鮮の人びとに差別的な目線で接していたことを赤裸々に表現している。そうなるだろうなと思える筆致である。

 時事的な本よりも、文学作品の方が寿命は長いということである。

 買ったけれども読んでいない本が、たくさんある。処分しながら、目についてものを読んでいこう。

 

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これは知るべき

2022-10-15 13:33:22 | 社会

食い止めよ!円安は「インフレ税」だ〜今は消費税2%引き上げと同じ

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統一教会が北朝鮮の軍備を支えた!

2022-10-15 13:06:58 | 政治

旧統一教会関連会社が北朝鮮に潜水艦を仲介 日本人信者の献金が北の兵器開発に使われていないか 【報道1930】

 そのような統一教会と安倍晋三や自民党が密接につながっていたのである。アベや自民党が言うことは信用ならない、ということだ。

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河野太郎も・・・壺

2022-10-15 13:06:58 | 政治

 きわめて問題があるマイナンバーカードと保険証を「統一」しようとする河野太郎の、あの毒々しい顔を見たくないと思っていた。

 統一教会とは無縁だとしていた河野太郎も、壺とつながりがあることが証明された。こんな輩が統一教会の被害に対処d家いるわけがない。こいつも「統一」が好きなのだ。

河野太郎大臣が旧統一教会関連団体の創設大会に祝辞を贈っていた!

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『世界』11月号

2022-10-15 07:57:43 | 社会

『世界』11月号の特集、「戦後民主主義に賭ける」は、「終活」を始めている年代の人たちに向けたものなのだろうか。しかし、その特集は、この世から去って行く世代に、今、そしてこれから考えなければならないことを示しているから、そして書いている人はそれより若い世代であるから、今後に開かれているといえるだろう。

のっけから、在日コリアンの辛淑玉さんの「この社会には民主主義を支える根っこが決定的に未成熟なのではないか」ということばが飛び込む。そうなのだと、私も同感する。私たちは、そうした「根っこ」をつくりだすことに失敗したのだ。

酒井隆史は、丸山真男を引き、「民主主義の状況化」を語る。「状況化」とは、「制度が融解したもの」だと、丸山は指摘している。

すでに亡くなった近世史学者の佐々木潤之介は、幕末を「世直し状況」と表した。まさに幕藩体制という制度が「融解」しつつある状況を、民衆が作りだしていた。「状況化」というこのことばに、私は大きなヒントを得た。そうなのだ、民衆の運動とは、「状況化」をつくりだすことなのだ、と。

酒井は、もちろんこれだけではなく、いくつかの重要な視点を提供している。現在は果たして民主主義の世の中なのか。私も、小選挙区制という制度が機能する現在社会は、制度としての民主主義はない!と考えている。その点で、小選挙区制を導入した者たちへの、憎悪にも似た気持ちを抱き続けている。とりわけ、当時の日本社会党に対して。

酒井は書く。「現行の制度化されたデモクラシーが、民衆の自己統治という意味でのデモクラシーとは無縁なものであること、デモクラシーの根幹をなす自由な意見の表明、公開された情報をふまえた討議、そして合意形成の過程とはほとんど関係ないということ」。

三宅芳夫は、「戦後思想の胎動と誕生 1930-1948」として、多くの思想家や文学者の名を挙げてテーマに沿って位置づけていく。なるほどそこに掲げられた人名は、私が若い頃から読み進めてきた者だ。戦時下に生きた彼らこそが、1945年以後の「戦後民主主義」の時代に登場し、さまざまな問題提起をした。私たちの世代は、それらを吸収しながら「戦後」を生きてきた。しかし「それら」は、其との世代には見向きもされなかった。「戦後民主主義」が、無数の知的遺産に基礎をおいていること、その基礎がなくなっていることを感じる。

神子島健は、「小田実 難死から「殺すな」へ 加害認識という提起」という文で、小田実を振り返る。私にとって小田は、同じ行動をしたということから、親近感がある。小田がなくなったとき、吉川勇一さんから頼まれて、短い文を送ったことがある。小田の思想はふり返り、現在に生かすべき内容を持つと、私も思う。

私は高校生の時から『世界』を購読し続けている。そのなかで、編集長であった吉野源三郎に敬意を抱き続けているし、彼の『同時代のこと』(岩波新書、『世界』に書いたものをまとめたもの)はいつでも読むことができる位置に置いている。

『世界』こそが、「戦後民主主義に賭ける」ことを一貫して続けてきた言論誌であると思う。 

 

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