7月8日、mass×mass関内フューチャーセンターにて、第60回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。
今回はプルデンシャル生命保険株式会社、エグゼクティブ・ライフプランナーの徳澤陵氏にお越しいただき、「営業のタイムマネジメント、目的と目標、カウンセリング・スキルについて」と題して、実体験も交えながらお話しいただきました。
自己評価の低さ→他人との比較→焦りと不安→不安から逃れるためのやみくもな行動→心に余裕がない→他人への思いやりが持てない→低い自己評価をさらに強化…。こうした悪循環に陥ることは往々にしてあろうかと思います。徳澤さんも営業を始められたばかりの頃、やはりこうした悪循環に陥っていたのだそうですが、今回のお話のテーマである、タイムマネジメント、目的と目標、カウンセリング・スキルの3要素は、徳澤さんの経験から集約された、この悪循環から抜け出すための重要な3つの視点ということができそうです。
1.タイムマネジメント
これは1990年代後半に一世を風靡した『7つの習慣』の中の第3の習慣「重要事項を優先する」に登場する四象限のマトリックスで表現されるものですが、自分の仕事を「重要度」と「緊急度」で分類してみると、人は往々にして緊急な仕事に注力していることが多いのだそうです。これを緊急度ではなく、重要度を優先することによって効果的な時間の使い方ができ、悪循環から脱出するためのまず重要な要素である「心の余裕」を持つことができるということでした。
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「人口の2割が富の8割を独占している」や「上位2割の顧客が売上の8割を占める」など、俗に「パレートの法則」と呼ばれる経験則がありますが、徳澤さんによれば営業の仕事にもこの法則が当てはまるのだそうです。つまり、上位2割の重要事項に集中することによって仕事の効率を格段に上げることができるということです。
そうして確保できた時間の中で徳澤さんが毎朝実践されている重要事項のひとつに「セルフ・カウンセリング」と呼んでいるものがあるそうです。
即ち、営業マンとして「私は」、
・何を求めているのか
・一番大切なものは何か
・その為に何をしているか
・その行動は効果的か
・もっと良い方法はないか
という自問自答のための時間です。これは主語を「お客さんは」や「家族は」と置き換えることによって、さまざまなバリエーションが生まれます。
2.目的と目標
これは徳澤さんの経験と、顧問の中学校陸上部を13度日本一に導いた体育教師、原田隆史氏と教え子とのエピソードを交えながらのお話でした。先ほどの「重要」と「緊急」にもつながりますが、行動の動機としてのビジョンや価値観(目的)が大切なのは分かっている。分かっているけれども、人は目の前にある目標に追い立てられ、目的を見失っていることが多いのではないかということです。
3.カウンセリング・スキル
一言で言えば、「自身と相手の成長を支援するためのスキル」ということになるかと思います。必要なスキルは2つ。一つ目は「内的コントロール」を取り入れた姿勢。もう一つは、カウンセリングの三要件「無条件の肯定的配慮、共感的理解、純粋性(自己一致)」です。
「内的コントロール」は、アメリカの心理学者W.グラッサーが提唱した「選択理論」に登場する考え方で、人は外側から動機付けられ、コントロールすることができ、自分もコントロールされるという「外的コントロール」の考え方に反対して、人は内側から動機付けられ、コントロールすることはできず、自らの選択によって行動するという考え方です。
そしてグラッサーは、人間関係における諸問題の多くが外的コントロールに基づく態度に起因しており、内的コントロールに基づく態度への移行を提唱しています。
*外的コントロール
・批判する
・責める
・罰する
・脅す
・文句を言う
・ガミガミ言う
・褒美で釣る
*内的コントロール
・傾聴する
・支援する
・励ます
・尊敬する
・信頼する
・受容する
・意見の違いを交渉する
二つ目の「無条件の肯定的配慮、共感的理解、純粋性(自己一致)」は、「来談者中心療法」を提唱したアメリカの心理学者、C.ロジャースが提示したカウンセラーに必要な三要件を言います。
1.無条件の肯定的配慮:評価や診断をせず、話し手のあるがままの状態に積極的な関心を持つこと。
2.共感的理解:話し手の話を我がことのように感じ、理解すると共に、理解したことをあくまで話してのものとして明確につたえること。
3.純粋性(自己一致):聴き手が自分の感情や言動などについて自覚できていること。
こうした態度によって、相手の気づき、行動、成長を支援するとともに、結果的には自身の自己実現が求められることになります。
胸に手を当てて現実を見てみると、なかなか難しい課題であるとしみじみ思います。
最後に。お話の中では最初に出てきたのですが、最も印象に残った言葉なので最後に持ってきました。それは「事実は一つ、解釈は無数」というものです。先ほどの選択理論ではありませんが、私たちが事実と思っているものの大半は、私たちが受け止めた解釈の一つに過ぎない。つまり、無数にある解釈の中からどれを選択するかは自分自身の意思にあるということです。今回のセミナーの要点がこの一言にあらわされているように感じました。
今回は第60回という節目ですので、これまで開催してきたYMSのメニューをご紹介したいと思います。YMSは原則、毎月第2水曜日に開催しております。
第1回 就業規則を経営に活かす!(あなたの会社を守る就業規則!)
第2回 良い人材を採用するポイントとは?
第3回 忘年会
第4回 ハイパフォーマンスな組織・チームに変革するリーダーシップ~自身のバリューを明らかにする
第5回 銀行業界の現状と融資や決算書に関するお話
第6回 横浜みなとみらい経営者スクールとの交流会
第7回 地域企業・店舗のソーシャルメディア活用セミナー
第8回 政府の緊急中小企業対策(人・カネ)のアウトラインを学ぼう
第9回 facebook活用法
第10回 町興しとビジネスについてのフリートーク
第11回 納涼会
第12回 現状のブライダル産業におけるBtoCアプローチの変遷と今後
第13回 労務リスクと次代の企業成長を担うワーク・ライフバランス
第14回 成果創出のための仮説検証型マネジメント~ものごとをいかに推進・管理していくか~
第15回 忘年会
第16回 多摩・幕張・横浜コミュニティ・ビジネス情報交換会
第17回 ベトナムの現状と今後
第18回 女性の起業の理想と現実-人生を無駄にしない起業のはなし
第19回 広がる公共サービス市場ー『民活』から公民連携へ
第20回 ビジネス・パーソンのための「姿勢塾」
第21回 横浜の農業事情と食
第22回 ようこそ!コミュニケーションセミナー~明日から使える気付きを~
第23回 10年後になくなってしまう70%の会社にならないために
第24回 納涼会
第25回 銀行対応の実務~経営者として最低限必要な銀行対応の実務~
第26回 東京スカイツリーエレベーターデザイン-地域の歴史を未来へ繋ぐデザイン-ものづくりを創造する
第27回 登山に学ぶ意思決定論 -何故、遭難事項は起きたのか-
第28回 忘年会
第29回 事業機会発見ワークショップ
第30回 パーソナルブランディングと人前力
第31回 富裕層マーケティング発想法
第32回 mass×mass関内フューチャーセンターとの交流会
第33回 ドラマチックコミュニケーション~今、求められるコミュニケーションスキルとは?~
第34回 手ごろなワインと料理のマリアージュを楽しむ
第35回 CSM 社会的意味の創造
第36回 旅にでたい!~観光地の選好と記憶の心理学~
第37回 納涼会
第38回 ~理想の食事~その理由と実践
第39回 意外と知らない…借入金の真実(ホント)のこと
第40回 教えないのに育つチームのつくり方
第41回 忘年会
第42回 父親育児×ビジネス~イクメンは少子化ニッポンを救うヒーロー
第43回 ビッグデータブームの本質と動向~ビッグデータで世の中が変わるか?
第44回 「ドラマチックコミュニケーション」で非言語スキルアップ!!
第45回 これからの10年企業が勝ち残る条件
第46回 「中小企業のウェブサイトの見直し方・作り方」~ウェブサイトで顧客との関係性を高めるためには~
第47回 注目のジャパニーズ・ワインを楽しむ
第48回 一緒に考えてみませんか、日本の食と未来について
第49回 たった1枚で信頼を上げるキメ☆フォト
第50回 筆跡で分かるあなたの心理~筆跡心理学のアウトライン~
第51回 夢を叶える文章スクール~願望達成マシンのスイッチを押す方法
第52回 横濱の歴史を知ろう!
第53回 忘年会(勝烈庵)
第54回 変えられる明日に賭ける
第55回 コミュニケーションを楽しもう!!エンジョイカード「ワイワイ」で話し上手・聞き上手
第56回 経営者のための社会保険料適正化セミナー
第57回 筆跡でわかるあなたの心理~採用にも使える筆跡心理学入門
第58回 刑事塾:ビジネスで役立つウソや人間心理の見抜き方
第59回 一生使える!ビジネスファッションのコツ
第60回 営業のタイムマネジメント、目的と目標、カウンセリング・スキルについて
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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