都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「没後50年 北大路魯山人展」 日本橋高島屋
高島屋東京店8階 ホール(中央区日本橋2-4-1)
「日本・ポルトガル 修好150周年記念 没後50年 北大路魯山人展」
2009/12/27~2010/1/18

「57年ぶりにポルトガルより里帰りする壁画を含め、北大路魯山人芸術の全容」(高島屋HPより引用)を詳らかにします。日本橋高島屋で開催中の「没後50年 北大路魯山人展」へ行ってきました。
まずは本展の概要です。
・没後50年を記念し、刻字、書、画、漆器など、魯山人の幅広い芸術活動を総覧する。作品全200点余。
・魯山人が顧問を務めた料亭「星岡茶寮」で用いられた食器30組を一堂に紹介。
・パナマ船籍「アンドレ・ディロン号」船室のための壁画、「桜」と「富士」を57年ぶりに日本で公開する。(高島屋会場のみ。)

恥ずかしながら彼のことを「美食家」ということ程度しか知らない私にとって、その創作の全体をまとめて見るのははじめてでしたが、どちらかと言うと例えば個々の食器よりも、彼に付随するエピソード云々に惹かれたような気がしました。星岡茶寮の料理人募集要領に「今日まで食物道楽で変人扱いを受けた人」と記したり、また納豆のお茶漬けなるものの作り方に熱弁を振るう(納豆はご飯の4分の1でなくてはならないそうです。)記述などは、その生き様の一端を伺い知るようで興味深いものがあります。あらゆる作陶に手を染め、次々と書などを展開する様相は、実に痛快でかつエネルギッシュでした。全く憎めません。

とは言え、幻の大作、「桜」と「富士」は相応に見応えがあります。荒々しい漆塗りの裾野が広がり、前景の木立と対峙する富士の姿は勇ましく、また光悦に倣って焼きものから貝などを花にはめこんだ「桜」はさながら等伯の楓図のような華々しさが感じられました。これらは月と太陽を表した金と銀の円が器を彩る「一閑張日月椀」同様、まさに桃山の絢爛な芸術を独自の視点で再興させたと言えるのかもしれません。

魯山人は器を「生きた器」と「死んだ器」に区別し、「料理は良くても容器が変なものでは快感を得ることが出来ない。」と述べたそうです。上でも触れた通り、私自身、彼の作陶の良さは分からなかったというのが実情ですが、いくつか紹介されていた料理を盛り合わせた器の写真を見ると、俄然に器自体も生気を持ち得ているような気がしてなりませんでした。さすがに「器は料理の着物。」と言い放っただけのことはあります。

ところで今回はいつもの夜間開館(18時~20時)がありません。閉場時間は全日18時(最終入場は17:30)です。またそれに伴い、恒例の夜間割引もありませんので十分にご注意下さい。

余談ですが、現在、高島屋の正面玄関横のショーウインドウ(玄関の右と左の二面)に史料館所蔵の「飾扇」が多数展示されています。土牛、梅原、魁夷、遊亀ら、お馴染みの巨匠らの作品がずらりと勢揃いです。お出かけの際には覗いて見て下さい。

納豆の茶漬け、私も是非挑戦してみたいと思います。1月18日まで開催されています。
「日本・ポルトガル 修好150周年記念 没後50年 北大路魯山人展」
2009/12/27~2010/1/18

「57年ぶりにポルトガルより里帰りする壁画を含め、北大路魯山人芸術の全容」(高島屋HPより引用)を詳らかにします。日本橋高島屋で開催中の「没後50年 北大路魯山人展」へ行ってきました。
まずは本展の概要です。
・没後50年を記念し、刻字、書、画、漆器など、魯山人の幅広い芸術活動を総覧する。作品全200点余。
・魯山人が顧問を務めた料亭「星岡茶寮」で用いられた食器30組を一堂に紹介。
・パナマ船籍「アンドレ・ディロン号」船室のための壁画、「桜」と「富士」を57年ぶりに日本で公開する。(高島屋会場のみ。)

恥ずかしながら彼のことを「美食家」ということ程度しか知らない私にとって、その創作の全体をまとめて見るのははじめてでしたが、どちらかと言うと例えば個々の食器よりも、彼に付随するエピソード云々に惹かれたような気がしました。星岡茶寮の料理人募集要領に「今日まで食物道楽で変人扱いを受けた人」と記したり、また納豆のお茶漬けなるものの作り方に熱弁を振るう(納豆はご飯の4分の1でなくてはならないそうです。)記述などは、その生き様の一端を伺い知るようで興味深いものがあります。あらゆる作陶に手を染め、次々と書などを展開する様相は、実に痛快でかつエネルギッシュでした。全く憎めません。

とは言え、幻の大作、「桜」と「富士」は相応に見応えがあります。荒々しい漆塗りの裾野が広がり、前景の木立と対峙する富士の姿は勇ましく、また光悦に倣って焼きものから貝などを花にはめこんだ「桜」はさながら等伯の楓図のような華々しさが感じられました。これらは月と太陽を表した金と銀の円が器を彩る「一閑張日月椀」同様、まさに桃山の絢爛な芸術を独自の視点で再興させたと言えるのかもしれません。

魯山人は器を「生きた器」と「死んだ器」に区別し、「料理は良くても容器が変なものでは快感を得ることが出来ない。」と述べたそうです。上でも触れた通り、私自身、彼の作陶の良さは分からなかったというのが実情ですが、いくつか紹介されていた料理を盛り合わせた器の写真を見ると、俄然に器自体も生気を持ち得ているような気がしてなりませんでした。さすがに「器は料理の着物。」と言い放っただけのことはあります。

ところで今回はいつもの夜間開館(18時~20時)がありません。閉場時間は全日18時(最終入場は17:30)です。またそれに伴い、恒例の夜間割引もありませんので十分にご注意下さい。

余談ですが、現在、高島屋の正面玄関横のショーウインドウ(玄関の右と左の二面)に史料館所蔵の「飾扇」が多数展示されています。土牛、梅原、魁夷、遊亀ら、お馴染みの巨匠らの作品がずらりと勢揃いです。お出かけの際には覗いて見て下さい。

納豆の茶漬け、私も是非挑戦してみたいと思います。1月18日まで開催されています。
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