「コトホギス フジイフランソワ展」 新宿高島屋 美術画廊

高島屋新宿店10階 美術画廊渋谷区千駄ヶ谷5-24-2
「コトホギス フジイフランソワ展」
2009/12/30-2010/1/11



若冲に応挙、それに蘆雪などからモチーフを借り、絵画上に豊かな自然讃歌の世界を作り上げます。新宿高島屋美術画廊で開催中の「コトホギス フジイフランソワ展」へ行ってきました。

作家の情報などについては、昨年に豊田市美で開催された「綯交展」が参考になります。

「綯交展」@豊田市美術館

また今回の展示については同店のブログが有用です。出品作の写真も掲載されています。

フジイフランソワで、ゆく年くる年♪@新宿タカシマヤBlog

豊田市美の展示を見ていない私にとって、彼女の作品を意識して見るのはほぼ初めてでしたが、冒頭の「花火図 - 百合」からして引込まれたのは言うまでもありません。一見、琳派の絵師が手がけた百合の大作屏風絵(横は3mを超えています。)のようにも思えますが、良く細部へ目をこらすと、その花や茎の合間に、小さな昆虫のような奇怪な生き物たちが楽しそうに火を噴いて踊っていました。またもう一点、同じく大作で挙げておきたいのが、光琳の超名作、紅白梅図屏風のモチーフを引用した「ひょうひょう ひょう流」です。中央には波紋の描かれた川が流れる構図こそ光琳画と同様ですが、その周囲には原型を止めない彪などを連想させる珍獣たちが水浴びをするかの如く登場しています。そしてその獣たちの身体が変形し、曲線を描いて溶け出した先は、いつしか川と一体となって水と化していました。このシュールな構成は、原画の引用云々を超えた新たなる魅力があります。見事でした。

鏡餅をウサギに見立てた小品、それに初日の出を囲んで天女から動物たちが悠然と舞う「ヒノデコトホギス」など、正月に因んだ作品も多数紹介されています。また展示室入口には作家本人の新年に際したメッセージも掲示されていました。

宗達の蓮池水禽図のイメージから派生した「連連蓮池図」には思わず笑ってしまいました。モノトーンの蓮の下で悠然と泳ぐ水鳥は、もう一羽のある鳥を引き連れています。これは是非会場でお確かめ下さい。

一昨年の日経日本画展であまり印象に残らなかったのが不思議でなりません。また裂けたミカンの皮の中に押しこめられたウサギ、柳の枝と化したカエルなど、可愛らしい動物たちなどのモチーフの奥底に見え隠れする魑魅魍魎のグロテスクな世界もまたユニークでした。

1月11日までの開催です。これはおすすめします。
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