都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「川喜田半泥子のすべて展」 松屋銀座
松屋銀座本店8階大催事場(中央区銀座3-6-1)
「川喜田半泥子のすべて展」
2009/12/30-2010/1/18
「昭和の光悦」とも呼ばれ、主に作陶に才能を発揮した芸術家、川喜田半泥子(1878~1963)の業績を回顧します。松屋銀座で開催中の「川喜田半泥子のすべて展」へ行ってきました。
展示の概要、作家の情報については、松屋のHPにアップされたチラシの画像が有用です。
「川喜田半泥子のすべて展」@松屋銀座
元々は実業家ということもあり、言わば彼は決して『専門』の芸術家ではなかったのことですが、そこから開けるイメージは「昭和の光悦」の呼び名もあながち誇張ではないと思えるほど魅力に溢れています。その中核はもちろん、50歳を過ぎてから手がけたという作陶に他なりません。志野、織部をはじめとする多様な焼き物は、その何れもが十分に人々の心を捉えうるであろう領域にまで到達しています。以下に数点、私が特に惹かれた作品を挙げてみました。
伊羅歩茶碗「ほし柿」
やや小ぶりでかつ、そのざらざらとした表面に、文字通り「ほし柿」を連想させる渋い器。とぐろをまいているような見込みの景色が面白い。
粉引茶碗「雪の曙」
白と淡い朱色とが合わせ重なり、器をサーモンピンクに仕立てて華やかに飾り立てている。薄手ながらも、すくっと起きるようなフォルムが印象に深い。雪山に差し込む陽の光のイメージが広がっていた。
志野茶碗「あつ氷」
ざらめをかけたような肉厚の白い釉薬が独特の景色を作り出す。まさに雪に覆われた氷を見るかのよう。横にすっと、指一本で引いたような線も遊び心に溢れていた。
志野茶碗「赤不動」
ひび割れが強烈な印象を与える志野茶碗。めらめらと燃え盛る火焔、そしてその周囲を舞う火の粉を見ているかのようだった。
黒茶碗「鈴虫」
黒に遮られた窓の部分に秋草が描かれている。跳ねた釉薬のしみを鈴虫に見立てるとは何とも趣き深い。
陶芸の他、それこそ仙がいの世界を連想させるような絵画もまた魅力的でした。餅の上に可愛らしい小動物の顔が覗く「重ね餅図」、また金魚が二匹、滑稽な表情でこちらを見やる「金魚図」などを見ていると心も和みます。
手狭なスペースではありますが、二体の狛犬が構える入口の他、随所に竹をあしらった会場も作品を美しく演出していました。
彼の生地である三重県の津には、その芸術を紹介する石水博物館(平成23年度に新規移設予定)があるそうです。一度是非訪ねてみたいと思います。
18日の月曜日までの開催です。なお本展終了後、以下のスケジュールで各地へと巡回します。
2/11~3/22 そごう美術館(横浜)
4/3~5/30 山口県立萩美術館・浦上記念館
6/8~7/25 三重県立美術館
「川喜田半泥子のすべて展」
2009/12/30-2010/1/18
「昭和の光悦」とも呼ばれ、主に作陶に才能を発揮した芸術家、川喜田半泥子(1878~1963)の業績を回顧します。松屋銀座で開催中の「川喜田半泥子のすべて展」へ行ってきました。
展示の概要、作家の情報については、松屋のHPにアップされたチラシの画像が有用です。
「川喜田半泥子のすべて展」@松屋銀座
元々は実業家ということもあり、言わば彼は決して『専門』の芸術家ではなかったのことですが、そこから開けるイメージは「昭和の光悦」の呼び名もあながち誇張ではないと思えるほど魅力に溢れています。その中核はもちろん、50歳を過ぎてから手がけたという作陶に他なりません。志野、織部をはじめとする多様な焼き物は、その何れもが十分に人々の心を捉えうるであろう領域にまで到達しています。以下に数点、私が特に惹かれた作品を挙げてみました。
伊羅歩茶碗「ほし柿」
やや小ぶりでかつ、そのざらざらとした表面に、文字通り「ほし柿」を連想させる渋い器。とぐろをまいているような見込みの景色が面白い。
粉引茶碗「雪の曙」
白と淡い朱色とが合わせ重なり、器をサーモンピンクに仕立てて華やかに飾り立てている。薄手ながらも、すくっと起きるようなフォルムが印象に深い。雪山に差し込む陽の光のイメージが広がっていた。
志野茶碗「あつ氷」
ざらめをかけたような肉厚の白い釉薬が独特の景色を作り出す。まさに雪に覆われた氷を見るかのよう。横にすっと、指一本で引いたような線も遊び心に溢れていた。
志野茶碗「赤不動」
ひび割れが強烈な印象を与える志野茶碗。めらめらと燃え盛る火焔、そしてその周囲を舞う火の粉を見ているかのようだった。
黒茶碗「鈴虫」
黒に遮られた窓の部分に秋草が描かれている。跳ねた釉薬のしみを鈴虫に見立てるとは何とも趣き深い。
陶芸の他、それこそ仙がいの世界を連想させるような絵画もまた魅力的でした。餅の上に可愛らしい小動物の顔が覗く「重ね餅図」、また金魚が二匹、滑稽な表情でこちらを見やる「金魚図」などを見ていると心も和みます。
手狭なスペースではありますが、二体の狛犬が構える入口の他、随所に竹をあしらった会場も作品を美しく演出していました。
彼の生地である三重県の津には、その芸術を紹介する石水博物館(平成23年度に新規移設予定)があるそうです。一度是非訪ねてみたいと思います。
18日の月曜日までの開催です。なお本展終了後、以下のスケジュールで各地へと巡回します。
2/11~3/22 そごう美術館(横浜)
4/3~5/30 山口県立萩美術館・浦上記念館
6/8~7/25 三重県立美術館
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