「永井裕明展 GRAPHIC JAM ZUKO」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「永井裕明展 GRAPHIC JAM ZUKO」 
6/6-6/30



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「永井裕明展 GRAPHIC JAM ZUKO」を見て来ました。

主に広告を中心に様々なアートディレクションを手がける永井裕明(1957~)。テーマは「図我交錯」、略して「図交」です。

はて「図我交錯」、一体何を意味するのでしょうか。

まずは始まりです。永井はものづくりの原点を自らの小学校の図画工作に見出し、そこから改めて今の制作を振り返ってみた。すると様々な事情の交錯する大人の世界を咀嚼するために自我をもたなくてはならない。そう考えたそうです。


「永井裕明展」会場風景

そこで「図画工作」ならぬ「図我交錯」、ようは「図交」というわけです。会場では広告制作の他、テーマに沿っての多様な「図交」が紹介されていました。

それにしても聞き慣れぬ「図交」、なかなかイメージがわかないかもしれませんが、実のところ展示自体もかなり変わっています。


「ベーゴマ」 制作:日三鋳造所

というのも端的に「図交」が思いがけない素材で出来ているのです。例えばベーゴマはどうでしょうか。鋳造所の協力を得て制作されたコマ。「図交」の文字が記されている。そもそも永井は東京下町の生まれ。ベーゴマは身近な存在でもあったのだそうです。


「建築模型」 制作:杉本木工所 杉本孝行

突如現れた建築模型にも「図交」がある。等高線を描くなだらかな丘。その上に「図」と「交」の建物が建っていることがお分かりいただけるでしょうか。


「フィルム」

他にはレゴブロックやフィルム、それに雲母摺りに何と水槽などによって「図交」が象られている。いずれも永井が興味を持っている素材です。そして見るまでもなくチラシ表紙も「図」、さらには会場床面にも「図交」の文字が記されているほどの念の入れよう。他には角砂糖や鉄文字といった素材もありました。奇想天外な「図交」の数々。意外な出会いが待ち受けています。

階下のフロアへと進みましょう。今度は永井の仕事を紹介する。これまでに手がけた広告ポスターなどがずらり。企業ロゴタイプやグラフィック、また仕事ノートなども展示されています。


左:「ヤン・ファーブル展」2001年 ポスター 他

美術展の広告ポスターも見逃せません。丸亀市猪熊弦一郎美術館にDIC川村記念美術館です。前者はヤン・ファーブル展(2001)で後者はバーネット・ニューマン展(2010)。またモーリス・ルイス展(2008)なども手がけている。特にインパクトのあるニューマン展のデザインは覚えている方も多いかもしれません。ちなみに私も大好きで、今もチラシを大切に持っています。

他にも川村記念のピカソ展や群馬県立近代美術館のポップアート展のポスターなども目を引きました。


上:サントリー「CAMPARI」2000年 ポスター 他

企業広告ではサントリーのウィスキーやカンパリなどが良く知られているのではないでしょうか。また紀伊国屋本左衛門もシンプルながらもカラフルで美しい。25年のキャリア。さすがに唸らされるものはあります。


「永井裕明展」展示風景

「図々しくもいろいろな方々に協力していただきました。」(ちらし裏面より)と述べる永井。広告作品はもちより、人となりにも興味がわきます。過去と今の仕事を丁寧に紹介しながらも、どこかユーモアのある作品で魅せる展覧会。楽しめました。


「永井裕明展」会場風景

6月30日までの開催です。おすすめします。

「永井裕明展 GRAPHIC JAM ZUKO」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:6月6日(金)~6月30日(土)
休廊:日曜・祝日
時間:11:00~19:00 土曜は18時まで。
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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