「翠玉白菜」(台北 國立故宮博物院展) 東京国立博物館

東京国立博物館
「翠玉白菜」(台北 國立故宮博物院展)
6/24~7/7



東京国立博物館で開催中の「台北 國立故宮博物院」展を見て来ました。

中国の歴代皇帝のコレクションを有する台北の国立故宮博物院。その名品の一部が海を渡って日本へとやって来ました。巡回は東京(東博)と福岡(九博)。現在は上野の東京国立博物館で公開されています。

うちとりわけ注目されているのは門外不出と呼ばれる「翠玉白菜」の出展。東京会場のみでの限定公開です。チラシ表紙にも「奇跡の出品」とのコピーがありますが、そもそも台湾外に一度も出ていないことを鑑みれば、あながち誇張とは言えないかもしれません。

まずは何より白菜を見たい。そういう方も多いのではないのでしょうか。私もその一人でした。

しかしながら白菜、話題ということもあって混雑は必至。しかも出品は僅か2週間です。現にまだ会期は4日を過ぎただけですが、平日にも関わらず最大で200分という観覧の待ち時間が発生してます。

「台北 國立故宮博物院展」公式アカウント→@taipei2014tokyo(混雑状況をリアルタイムで発信しています。)

実のところ私は並ぶのが苦手です。でもやはり見たい。こういう時は早めが肝心です。何とか予定を組んで平日の夜、26日(木)の夜間開館を利用して行って来ました。

「翠玉白菜の展示期間(6/24~7/7)は無休で連日20時まで開館」@東京国立博物館

博物館に到着したのは18時頃です。故宮展の会場自体は平成館ですが、白菜は本館の特別5室。1点のみの展示です。



一枚の特別展観覧券で、当日に限り、平成館、及び特5室の白菜の両方を観覧出来ます。ともに再入場も可能です。



どちらを先に見るか。それは自由です。私はまず本館の前へ行ってみました。すると白菜100分待ちのプラカードが出ている。この時点で「平成館がまだの方は先にそちらをご覧下さい。」との案内がありました。と言うのも、先に白菜に100分並んでしまうと、平成館を見る時間がなくなってしまうからです。一方で白菜は19時半(その時点で規制が行われている場合は20時まで可)に並べばOK。そのまま閉館後も見ることが出来ます。とのことで平成館へ移動しました。

さて平成館会場には故宮コレクションの文物がずらりと並ぶ。全180件超。見事です。青磁に白磁から宋元画に乾隆帝の「紫檀多宝格」の展示も美しい。感想は別エントリに書きます。まずは堪能しました。

平成館にいた時間は約1時間半だったでしょうか。最後は駆け足になってしまいました。なお出品数が多いため、個人差はありますが、少なくとも平成館だけで2時間程度は見ておいた方が良さそうです。(私も再訪するつもりです。)

(クリックで拡大)

19時半少し前に平成館を出て本館へ移動します。白菜の行列に加わるためです。この時点で18時にはあった本館外への行列は消えています。館内のみでの行列。表記は70分待ち。同じような形で動いていた方も多かったかもしれません。続々と列に人が加わってきました。(ただそれだからと言って極端に列が長くなることはありませんでした。)

館内での列はショップ横の展示室、テーマパークなどの列を想像すると分かりやすいでしょう。ロープに沿って二人ずつ横に並ぶ。意外とどんどん前に進みます。



特別5室に入りました。暗室です。ここでも同じようにロープで区切られた行列が続く。途中、随所に白菜を紹介する映像がありますが、パネルなどもなし。造作も簡素。言ってしまえば完全に並ばせるためのスペースです。

白菜は展示室右奥での1点展示。ちょうどサークル状の壁に囲まれています。壁はスリット状になっていて、行列の方からちらりと見やることも出来る。期待も高まります。

白菜のあるサークルの前まで来ました。入場は人数毎での入れ替え制です。白菜は最前列と二列目の二つのルートで鑑賞が可能。まずは最前列に案内され、その後任意で二列目へと移動可能です。最前列は立ち止まることが許されません。一方、二列目は自由に止まって鑑賞出来ます。


「翠玉白菜」 清時代・18~19世紀 國立故宮博物院(台北) *展示期間:6/24(火)~7/7(月)

大きさは20センチ、幅は10センチ弱。翡翠の彫刻です。私は思いの外に大きく、また少し平べったく見えました。丸々肥えた白菜というよりも、しゃきっとして歯ごたえの良さそうな白菜です。また台座へもたれかかるように置かれていますが、白菜自体は垂直性が際立つ。すくっと起立しては上部で葉を下へ垂らす。その出立ちはまるで噴水のようでもあります。

彩色はなく、色は元から石についているもの。そしてあの純度の高い白い輝き。強めの照明でさらに映えて見えます。また根元の部分にかけてはうっすらクリーム色を帯びている。葉先は深く濃い緑。そのコントラストは鮮やかです。


「翠玉白菜」(部分) 清時代・18~19世紀 國立故宮博物院(台北) *展示期間:6/24(火)~7/7(月)

そして葉っぱの上のキリギリスとイナゴ。緑の葉へ食いつくようにのるのがキリギリス、白い葉の上でひっそりと隠れるようにいるのがイナゴです。イナゴの方が小さいため、少し分かりにくいかもしれません。

それにしても何故に白菜なのかという気もしますが、そもそも白菜には純潔の意味があり、バッタには多産の象徴がこめられているそうです。そして本作は清の光緒帝の妃の瑾妃の宮殿に置かれていたもの。嫁いだ際の持参品という説が有力だそうです。

最前列はともかく、二列目は作品と距離がある。細かい部分は肉眼で判別不能です。単眼鏡があった方が良いかもしれません。

なお並んだ時間ですが、結局30分弱でした。表記の半分以下。思いがけないほどスムーズであったことを付け加えておきます。

「美術手帖7月号増刊 台北 國立故宮博物院/美術出版社」

さて白菜ですが、特に土日、また7月7日の公開終了に向けてさらに混雑してくると思います。

朝一番というのも考えなくはありませんが、既に連日、開門前から多くの方が列をつくって待っておられるそうです。そもそも東博はいつも驚くほど朝の出足が早い博物館です。また実際に開門後、かなり早い段階でゆうに100分を超える待ち時間が発生しています。

午後は最も混雑する時間帯です。初めにも触れましたが平日でも最大200分。実際の待ち時間は多少前後しますが、ともかくは長時間並ぶ覚悟が必要です。また屋外ではテントの下での行列となりますが、暑さ対策なども必要になってくるかもしれません。

「台北 國立故宮博物院を極める/板倉聖哲/とんぼの本」

夕方以降も多少人が引いてきますが、私が行った会期3日目の18時でも100分。最終入場は19時半です。但し既に入場規制が行われている場合は20時でも列に加わることが可能です。そして館の方に伺うと夜が一番列が短くて進みも早いそうです。先ほど触れましたが、私も19時半に並んで30分で済みました。

となると夜が狙い目かもしれません。そしてなるべく会期の早めです。初めから混雑している展覧会で後に空いて来たという話を聞いたことがありません。また今度の日曜の夜、及び来週月曜の夜も、僅かなりとも人が少ないのではないでしょうか。何故なら日曜夜は基本的に外出の少ない時間帯。そして月曜は通常休館日です。今回の「白菜」出品期間中だけ特別に開館します。



混雑必至の「翠玉白菜」限定公開。これからご覧になられる方、空いている時間帯は殆どないかもしれませんが、このエントリが少しでも参考になれば嬉しいです。

[追記]
土曜の夜に行かれた方のお話を伺いましたが、やはり19時半の段階で20~30分弱の行列で済んだそうです。また少なくとも夜に関しては、待ち時間が公式案内の時分よりも短い傾向があります。

「翠玉白菜」は会期中無休にて7月7日まで公開されています。

「台北 國立故宮博物院ー神品至宝」 東京国立博物館@TNM_PR
会期:6月24日(火) ~9月15日(月・祝) *「翠玉白菜」の展示期間は7月7日(月)まで。
時間:9:30~17:00。但し会期中の金曜日および「翠玉白菜」展示期間(6/24~7/7)は20:00まで、土・日・祝休日は18時まで開館。(入館は閉館の30分前まで。)
休館:7/14(月)、7/22(火)、7/28(月)、8/4(月)、9/1(月)、9/8(月)。但し6/30(月)、7/7(月)、8/18(月)、8/25(月)は特別展会場のみ開館。
料金:一般1600(1300)円、大学生1200(900)円、高校生700(500)円。中学生以下無料
 *( )は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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