「バルテュス最後の写真」 三菱一号館美術館歴史資料室

三菱一号館美術館歴史資料室
「バルテュス最後の写真ー密室の対話」 
6/7-9/7



三菱一号館美術館歴史資料室で開催中の「バルテュス最後の写真ー密室の対話」のプレスプレビューに参加して来ました。

バルテュスが生涯にわたって描き続けた女性の姿。それは時にスキャンダラスな話題を起こし、一方で人々を惹き付けてきた。画家は最晩年にポラロイドカメラを手にしてさらに女性を捉えています。ずばりその写真を紹介する展覧会です。一号館の歴史資料室で始まりました。

さて一号館の歴史資料室、ご存知の方も多いのではないでしょうか。いわゆる美術館の企画展示室(今はヴァロットン展を開催中です。)とは別のスペース。通常は一号館の復元の経緯などを紹介するコーナーです。


「バルテュス最後の写真展」会場風景

率直なところかなり狭い空間。ミニ企画展と呼んでも差し支えありません。しかしながらバルテュス晩年のポラロイドを日本で公開したのは今回が初めてでもある。その意味では貴重な展覧会と言うことも出来そうです。

それにしても何故に画家がカメラを手にしたのか。第一に身体の自由が利かなくなり、長時間のデッサンが耐えられなくなったからです。モデルをデッサンする替わりに写真に収める。いずれも油画制作の下絵として撮影されました。

そしてここに登場するのは一人の女性。バルテュスの近所に住んでいた医者の娘、アンナ・ワーリー氏です。何と8歳の時からモデルをつとめている。会場には彼女をモデルとしたポラロイドがずらりと並んでいます。

ともかく印象的なのは同じようなポーズを写していることです。さながら連続写真と言っても良いかもしれません。手や身体の向きが一見するだけでは違いが分からないほど似ている。微妙な動きの変化を見ては全体の様態を捉えています。

実際にもバルテュスはポーズについて事細かに指示を出していたそうです。やはりデッサンの手法に近いのでしょう。一方で光に対する感覚は時に大胆です。強い光をモデルに取り込む。ドラマテックでもあります。


「バルテュス最後の写真展」展示風景

半裸で横たわる女性の姿、やはりバルテュス画のイメージとも重なり合うのではないでしょうか。しかしながら単に官能的とも言い切れない。絵画同様に神秘的でもある。バルテュスは少女を天使のように描きたいと考えていた。写真と絵画との関係は思いの外に密でもあります。

出品は全部で150点。写真自体は結構ボリュームがありますが、初めにも触れたように、狭いスペースでの展示です。

入場料は500円。但しバルテュス展(東京都美術館及び京都市美術館)、またはヴァロットン展(三菱一号館美術館)のチケットを提示すると100円引の400円になります。(また逆に写真展のチケットを提示するとバルテュス、ヴァロットンの両展示がそれぞれ100円引になります。)半券をお忘れなきようご注意下さい。

「バルテュス展」 東京都美術館(はろるど)

バルテュス展の京都巡回展(京都市美術館:7/5~9/7)最終日までの展示です。9月7日まで開催されています。

「バルテュス、自身を語る/河出書房新社」

「バルテュス最後の写真ー密室の対話」 三菱一号館美術館歴史資料室
会期:6月7日(土)~9月7日(日)
休館:6月13日(金)。
時間:10:00~18:00。毎週金曜日(祝日除く)は20時まで。
料金:大人500円。
 *「W相互割引」:バルテュス展、及びヴァロットン展のチケットを提示すると100円引。
住所:千代田区丸の内2-6-2
交通:東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分。JR東京駅丸の内南口・JR有楽町駅国際フォーラム口から徒歩5分。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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