都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「イグノア・ユア・パースペクティブ25 『JUST THE WAY IT IS』」 児玉画廊 東京
児玉画廊 東京
「イグノア・ユア・パースペクティブ25 『JUST THE WAY IT IS』」
5/31-7/5
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児玉画廊東京で開催中の「イグノア・ユア・パースペクティブ25 『JUST THE WAY IT IS』」を見て来ました。
児玉画廊が連続して展開しているグループショー「イグノア・ユア・パースペクティブ」。新進の若手作家の作品が集う。早くも25回目です。今回は以下の5名の作品が展示されています。
[出品作家]
神山貴彦/貴志真生也/佐藤克久/杉本圭助/谷中佑輔
さて同シリーズ展、ともかく発見や感心の多い展示。ここで好きになった作家も少なくない。ここ数年はほぼ毎回見ているつもりでいます。
さて今回非常に気になったのは谷中佑輔です。上記DMの作品、ひょっとすると覚えておられる方も少なくないかもしれない。そうです。この春に丸の内で行われた「アートアワードトーキョー2014」にて見事グランプリを獲得した作品。タイトルは「山の振動」(2014年)です。
「受賞作品」@アートアワードトーキョー丸の内2014
実のところ私もアートアワードで「山の振動」を見て、写真とオブジェを活かした独特のボリューム感に多少なりとも印象を受けたものでした。
ただその時は強く惹かれるには至らなかった。しかし会場を換えてここ児玉画廊で見たらどうか。面白いのです。
と言うのもまずアートアワードの際にあったガラス展示ケースがない。剥き出しです。すると何か匂いが漂っている。木の香りです。アートアワードの時はてっきり全て発泡スチロールで出来ていると思った岩石のオブジェ。これが木彫だったのです。
またケースを介すと映り込みなどもあってか、どうしても臨場感に欠けるきらいがありますが、露出であれば話は別。限りなく近くによっては離れてみる。すると前後の感覚、ようは奥の岩肌の写真と手前の岩石のオブジェの位置の感覚が危うくなる。錯視と言って良いのでしょうか。非常にトリッキーでもあります。
奥は本物の岩肌を写真に収めたもので、手前の岩が作られたフェイクである。バルーンもずしりと重量感があります。赤や黄色などの暖色系が奥へ突き出し、寒色系は手前に迫り出している。その関係も興味深いものがあります。
「山の稜線に触れる」ということは現実には不可能であっても、感覚的には可能で、山並みの岩肌や樹々の梢をそっと手で触れる感覚を視覚によって得て、それを物質化するのです。 *児玉画廊リリースより
また石と果物を用いた立体作品「quack rock」も目を引きます。石に食い込むリンゴ。硬いものと柔らかいものの関係。初めはどちらかが偽物なのかと思いました。いや違う。両方とも本物である。素材のフェイク感はより際立っているかもしれません。
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田中祐輔「山の振動」2014年 写真、木、発泡スチロール、ラッカー、他 *「アートアワードトーキョー丸の内2014」での展示風景
アートアワード会場の行幸ギャラリー、如何せん手狭なケースの中だけあってか、いつも展示の難しさを感じますが、そこから言わば解放された「山の稜線」がまさかこれほど魅惑的だとは思わなかった。また一人、展示を追っかけたい作家が見つかりました。
7月5日まで開催されています。
「イグノア・ユア・パースペクティブ25 『JUST THE WAY IT IS』神山貴彦/貴志真生也/佐藤克久/杉本圭助/谷中佑輔」 児玉画廊 東京
会期:5月31日(土)~7月5日(土)
休廊:日・月・祝
時間:11:00~19:00
住所:港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス1階
交通:東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅3番出口より徒歩10分。東京メトロ日比谷線広尾駅1番出口より徒歩15分。
「イグノア・ユア・パースペクティブ25 『JUST THE WAY IT IS』」
5/31-7/5
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児玉画廊東京で開催中の「イグノア・ユア・パースペクティブ25 『JUST THE WAY IT IS』」を見て来ました。
児玉画廊が連続して展開しているグループショー「イグノア・ユア・パースペクティブ」。新進の若手作家の作品が集う。早くも25回目です。今回は以下の5名の作品が展示されています。
[出品作家]
神山貴彦/貴志真生也/佐藤克久/杉本圭助/谷中佑輔
さて同シリーズ展、ともかく発見や感心の多い展示。ここで好きになった作家も少なくない。ここ数年はほぼ毎回見ているつもりでいます。
さて今回非常に気になったのは谷中佑輔です。上記DMの作品、ひょっとすると覚えておられる方も少なくないかもしれない。そうです。この春に丸の内で行われた「アートアワードトーキョー2014」にて見事グランプリを獲得した作品。タイトルは「山の振動」(2014年)です。
「受賞作品」@アートアワードトーキョー丸の内2014
実のところ私もアートアワードで「山の振動」を見て、写真とオブジェを活かした独特のボリューム感に多少なりとも印象を受けたものでした。
ただその時は強く惹かれるには至らなかった。しかし会場を換えてここ児玉画廊で見たらどうか。面白いのです。
と言うのもまずアートアワードの際にあったガラス展示ケースがない。剥き出しです。すると何か匂いが漂っている。木の香りです。アートアワードの時はてっきり全て発泡スチロールで出来ていると思った岩石のオブジェ。これが木彫だったのです。
またケースを介すと映り込みなどもあってか、どうしても臨場感に欠けるきらいがありますが、露出であれば話は別。限りなく近くによっては離れてみる。すると前後の感覚、ようは奥の岩肌の写真と手前の岩石のオブジェの位置の感覚が危うくなる。錯視と言って良いのでしょうか。非常にトリッキーでもあります。
奥は本物の岩肌を写真に収めたもので、手前の岩が作られたフェイクである。バルーンもずしりと重量感があります。赤や黄色などの暖色系が奥へ突き出し、寒色系は手前に迫り出している。その関係も興味深いものがあります。
「山の稜線に触れる」ということは現実には不可能であっても、感覚的には可能で、山並みの岩肌や樹々の梢をそっと手で触れる感覚を視覚によって得て、それを物質化するのです。 *児玉画廊リリースより
また石と果物を用いた立体作品「quack rock」も目を引きます。石に食い込むリンゴ。硬いものと柔らかいものの関係。初めはどちらかが偽物なのかと思いました。いや違う。両方とも本物である。素材のフェイク感はより際立っているかもしれません。
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田中祐輔「山の振動」2014年 写真、木、発泡スチロール、ラッカー、他 *「アートアワードトーキョー丸の内2014」での展示風景
アートアワード会場の行幸ギャラリー、如何せん手狭なケースの中だけあってか、いつも展示の難しさを感じますが、そこから言わば解放された「山の稜線」がまさかこれほど魅惑的だとは思わなかった。また一人、展示を追っかけたい作家が見つかりました。
7月5日まで開催されています。
「イグノア・ユア・パースペクティブ25 『JUST THE WAY IT IS』神山貴彦/貴志真生也/佐藤克久/杉本圭助/谷中佑輔」 児玉画廊 東京
会期:5月31日(土)~7月5日(土)
休廊:日・月・祝
時間:11:00~19:00
住所:港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス1階
交通:東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅3番出口より徒歩10分。東京メトロ日比谷線広尾駅1番出口より徒歩15分。
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