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「佐藤翠展 A June House」 第一生命南ギャラリー

第一生命南ギャラリー
「佐藤翠展 A June House」 
6/2-7/4



第一生命ギャラリーで開催中の佐藤翠個展、「A June House」を見てきました。

ハンドバッグや靴の並ぶシェルフやラックを真っ正面から捉えて描く。

1984年に愛知で生まれ、名古屋芸術大学美術学部絵画科を卒業。2010年には東京造形大学大学院の造形学部を修了した画家、佐藤翠。

近年では名古屋のギャラリーでの展示の他、2012年には若手作家を紹介するオペラシティの「project N」にも出品がありました。

「project N 48 佐藤翠」@東京オペラシティ アートギャラリー 2012/1/14~3/25

さてまず目を引くのは「Shelf」です。文字通りシェルフ、棚の中に並ぶのはピンクや赤などのヒールにカバン。いずれも女性用でしょう。どこかファッショナブルとも言える雰囲気をたたえています。


佐藤翠「Bag shelf 3」(部分) 2014年 *アートアワードトーキョー2014での出品作

私自身、佐藤の作品を初めて意識したのはついこの前のこと。丸の内行幸ギャラリーの「アートアワードトーキョー2014」でした。

過去入賞作の特別展示に出ていた作品、今回同様、靴やカバンをモチーフにしたものでしたが、時に荒々しい筆致にポップな色の感触、そして正面性の強い構図が印象的だったことを覚えています。

第一生命ギャラリーでの出品作も「Shelf」など8点です。また天井高を活かしての大作も展示されています。

「Flower closet」はどうでしょうか。今度はクローゼットを捉えた作品。上にはずらりとヒールが並び、その下のハンガーにはたくさんの衣装がかかっている。ハンガーは金色です。衣装も花柄など華やか。シェルフと同じく正面から描かれています。

この正面性、例えばバラを描いた「English Rose garden」も同様かもしれません。深い緑に咲くバラ。余白の殆どを埋め尽くす。ともすれば上も下も判別出来ません。もはや一つの装飾ともいうべき画面が作られています。

さてここに装飾と書きましたが、奥行きが殆ど見られないのも特徴です。そもそもシェルフやクローゼットに奥行きは少ない。まるでカーテンの絵柄の如く描かれたカバン。構図の正面性と空間の平面性。その辺もキーワードになるかもしれません。

ペルシャ絨毯でしょうか。シンメトリーの花柄模様。これも正面から描いている。高さは2メートル50センチを超えます。ひょっとすると実寸大の絨毯をモチーフにしたのかもしれません。

DM表紙の「Pale mint carpet」はやや趣が異なります。刷毛を細かに動かしたようなストロークはどこか抽象的ともとれる画面を作っている。四方に「枠」のようなものが見られることから、これも絨毯などをモチーフにしているのかもしれませんが、紋様はさも溶け出すかのように散っています。

それに画肌の質感、垂れた絵具に掠れ、また時には塗り残しを用いたりするなど多様です。


佐藤翠「Bag shelf 3」他 2014年 *アートアワードトーキョー2014での出品作

アートアワードで気になっていた佐藤の個展、ともかくは近作をまとまった形で見ることが出来ました。

なお第一生命ギャラリーのオープンは平日午後のみ、土日祝日はお休みです。ご注意下さい。

7月4日まで開催されています。

「佐藤翠展 A June House」 第一生命南ギャラリー
会期:6月2日(月)~7月4日(金)
休館:土・日・祝日
時間:12:00~17:00
住所:千代田区有楽町1-13-1DNタワー21 第一生命本館1階
交通:JR線有楽町駅中央西口より徒歩2分。東京メトロ日比谷線・千代田線、都営三田線日比谷駅B1、B2出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線有楽町駅徒歩1分。
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