「第4回 新鋭作家展 堀口泰代・對木裕里」 川口市立アートギャラリー・アトリア

川口市立アートギャラリー・アトリア
「第4回 新鋭作家展 堀口泰代・對木裕里」
6/6-6/21



川口市立アートギャラリー・アトリアで開催中の「第4回 新鋭作家展 堀口泰代・對木裕里」を見てきました。

2011年から始まった「新鋭」の作家を公募展形式で紹介する「新鋭作家展」。今年で早くも4回目です。優秀者は2名。堀口泰代と對木裕里の展示が行われています。

まずは對木裕里です。1987年の神奈川生まれ。2011年に京都市立芸術大学大学院の修士課程を修了。主に「木や紙・粘土などを構成した立体作品」(チラシより)を制作し続けています。

展示室内、確かに目につくのは木や紙、そして粘土です。しかしながらそれらは単にオブジェとしてあるだけでなく、互いに関係し合うかのように配置されています。

目の前にはロープ、その支柱の土台が粘土でした。また床面へ広がる紙。水色に塗られています。随所には波を思わせるような白い曲線も描かれていました。まるで池かプールのようです。壁際にも同じように紙が吊るされています。こちらは端が少し丸まっていました。さらには管を石膏で固めたものやサークル状の木材のオブジェもあります。いずれも同じようにロープが絡み合います。ビニールに入った水も吊るされていました。

それにしても多様に展開する立体物、複雑なインスタレーションを展開していますが、しばらく見ていて、ふと漠然とながらも思い浮かんだのは、庭園、つまり水辺があり、また緑のある日本の庭園のイメージでした。

タイトルに目を向けてみましょう。「本の場」です。突き詰めてしまえば庭とは無縁。必ずしも作家の意図とは違うことに気づきます。入口すぐにある衝立て状のレリーフは「you」、何と姿見です。そしてキーワードは「空間をめくる」。素材と紡いだ時間と物語の関係、言葉のイメージを取り込んだ作品だそうです。

一方、身体に着目し、新たなる風景を生み出すのが堀口泰代です。1977年の群馬生まれ。武蔵野美術大学大学院の修士課程を修了した堀口は、「布でかたどった立体物を被写体となる人物に纏わせ、写真で捉える」(チラシより)という制作を行っているそうです。

黒い帆船がありました。遠目では黒い糸で出来ているかと見間違うような作品、何と素材は髪の毛、カツラでした。作家はそのカツラの帆船を冠っては海に繰り出しています。その様子を写真に収めていました。

スカイツリー、都庁、ビックサイトなど、東京のスカイラインを象る建築物のジオラマが広がります。その素材は布。一枚でしょうか。皆繋がっていました。

奥の映像に目が止まりました。するとこのジオラマの布、つまり衣裳を身につけた女性がダンスをしている姿が映し出されています。布を媒介にして身体と風景を繋ぐ試み。大きく身振りを交えれば、ジオラマの建物はいとも簡単に倒壊してしまうわけです。

さてアトリアでは現在、来年の第5回展に向けての二次審査の公開中。一次審査を通過した作家のプレゼンテーションが展示されています。

審査員:前山裕司(埼玉県立近代美術館学芸員)、戸谷成雄(彫刻家)、南蔦宏(美術評論家)

優秀者は既に大石麻央と野原万里絵に決定しました。また次回展は作品展示のみならず、川口の地域や人に関係するプロジェクトも行うそうです。来年7月中旬以降に予定されている「第5回 新鋭作家展」にも期待したいと思います。

「第5回 新鋭作家展」
優秀者:大石麻央、野原万里絵
会期:2016年7月中旬~8月末(予定)
会場:川口市立アートギャラリー・アトリア



入場は無料です。6月21日まで開催されています。

「第4回 新鋭作家展 堀口泰代・對木裕里」 川口市立アートギャラリー・アトリア
会期:6月6日(土)~6月21日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~18:00。土曜日は20時まで開館。*入館は閉館の30分前まで
料金:無料
住所:埼玉県川口市並木元町1-76
交通:JR線川口駅東口から徒歩約8分。
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