都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」 サントリー美術館
サントリー美術館
「サントリー美術館新収蔵品 コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」
1/25~3/12

2名のコレクターの寄贈によって、新たに加わったコレクションを紹介します。サントリー美術館で開催中の「サントリー美術館新収蔵品 コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」を見てきました。
まず1人目です。美術商の野依利之氏でした。ガレなどのアール・ヌーヴォーを専門としながら、18世紀のヨーロッパの陶磁器も蒐集してきました。

「色絵花籠文大皿」 18世紀 オランダ ほか
中核はデルフトウェアです。デルフトの発端は17世紀初頭。オランダへ輸入された中国磁器に由来します。これが大変に重宝されたことから、いわば模造品として作られるようになりました。最盛期は1680年頃です。野依コレクションも17世紀後半から18世紀前半の作品が目立っていました。

「染付人物図壺」 18世紀 オランダ
一言で表せば中国趣味と呼べるかもしれません。オランダの「染付人物図壺」はどうでしょうか。中国服を身につけた人物が2人ほど描かれています。周囲は山水、ないし花鳥画的な作風です。自然の長閑な景色が広がっています。

「色絵風景図壺・花瓶」 18〜19世紀 オランダ
同じくオランダの「色絵風景図壺・花瓶」も華やかで楽しい作品です。5点揃いです。つまみの部分はリスを象っているのでしょうか。鹿などの動物が歩く姿を鮮やかな色彩で表現しています。

「馬置物」 18世紀 オランダ ほか
最盛期のデフルトには30軒の工房があり、1年間で数百万に及ぶ器を制作していたそうです。また18世紀中頃にはフュギュアこと彫像も流行します。デルフトでも多数の置物が焼かれました。

「色絵花鳥文鉢」 18世紀 オランダ
まるで磁器のような質感もデルフトウェアの魅力の一つです。そして薄作り。意外と繊細です。一例として「色絵花鳥文鉢」が挙げられるかもしれません。

「色絵グロテスク文アルバレロ」 16世紀以降 イタリア
イタリアやイギリスの陶器も優品揃いです。「色絵グロテスク文アルバレロ」も目を引くのではないでしょうか。何でも野依氏がコレクションを始める切っ掛けになった作品だそうです。この充実ぶり。とても個人のコレクションとは思えません。
さてもう一人のコレクターは如何なる人物でしょうか。名は辻清明氏。陶芸家です。作陶を続ける一方、木、陶、漆などを素材とする多様な古美術品を収集しました。
ガラスに早い段階から関心を寄せていたそうです。時代も地域も幅広いのが特徴です。古代ローマからオリエント、ヨーロッパ、さらには中国、日本の和ガラスまでを網羅していました。

「尖底碗」 前2世紀中期〜前1世紀初期 シリア・パレスチナ地域あるいは東地中海沿岸地域
作品は紀元前に遡ります。黄金色に燦然と輝くのが「尖底碗」です。時は紀元前2世紀前後。シリア、パレスチナ地域、ないし東地中海沿岸地域で制作されました。同じく東地中海沿岸地域の「リブ装飾碗」も紀元前1世紀頃です。うっすら水色を帯びています。

「カットガラス碗」 3〜7世紀 イラン
イランの「カットガラス碗」も魅惑的でした。推定制作年代は3世紀から7世紀です。側面が6角形に刻まれています。歪みは少なく、かなり精巧です。高い技術を伺わせます。幾分と深い彫りです。どのような感触が得られるのでしょうか。

「金彩緑色紋章文 レーマー杯」 19〜20世紀 おそらくドイツ
時計の針を一気に近現代へ進めます。「金彩緑色紋章文レーマー杯」に風格を感じました。ガラス杯は緑色です。細かな装飾を施しています。金色の縁も眩しい。一際、輝いて見えました。

「切子籠目文蓋物」 江戸後期〜明治初期 19世紀 日本
日本の本格的なガラス器作りは17世紀中頃に始まります。最初は吹きガラスです。そして19世紀に切子が登場しました。「切子籠目文蓋物」がまるでダイヤモンドのような光を放っていました。さらに氷コップなども可愛らしい。お気に入りの1点を探すのには時間はかかりません。

辻清明「蕪鉢」 1991年
ラストは辻氏自身の制作するガラス作品でした。60歳を超えてからの挑戦です。こちらも見入りました。

「ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」展示風景
立体展示で既に定評のあるサントリー美術館のことです。作品はもとより、空間自体の美しさにも目を見張るものがありました。

「ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」展示風景
会場内の撮影が全面的に可能です。スマートフォンだけでなく、一眼レフを構えては、真剣な眼差しで作品を捉えている方の姿も見受けられました。
会場内、空いていました。ゆっくり見られます。3月12日まで開催されています。
「サントリー美術館新収蔵品 コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」 サントリー美術館(@sun_SMA)
会期:1月25日(水)~3月12日(日)
休館:火曜日。但し3月7日(火)は開館。
時間:10:00~18:00
*毎週金曜、土曜日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、大学・高校生800円、中学生以下無料。
*アクセスクーポン、及び携帯割(携帯/スマホサイトの割引券提示)あり。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分。
「サントリー美術館新収蔵品 コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」
1/25~3/12

2名のコレクターの寄贈によって、新たに加わったコレクションを紹介します。サントリー美術館で開催中の「サントリー美術館新収蔵品 コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」を見てきました。
まず1人目です。美術商の野依利之氏でした。ガレなどのアール・ヌーヴォーを専門としながら、18世紀のヨーロッパの陶磁器も蒐集してきました。

「色絵花籠文大皿」 18世紀 オランダ ほか
中核はデルフトウェアです。デルフトの発端は17世紀初頭。オランダへ輸入された中国磁器に由来します。これが大変に重宝されたことから、いわば模造品として作られるようになりました。最盛期は1680年頃です。野依コレクションも17世紀後半から18世紀前半の作品が目立っていました。

「染付人物図壺」 18世紀 オランダ
一言で表せば中国趣味と呼べるかもしれません。オランダの「染付人物図壺」はどうでしょうか。中国服を身につけた人物が2人ほど描かれています。周囲は山水、ないし花鳥画的な作風です。自然の長閑な景色が広がっています。

「色絵風景図壺・花瓶」 18〜19世紀 オランダ
同じくオランダの「色絵風景図壺・花瓶」も華やかで楽しい作品です。5点揃いです。つまみの部分はリスを象っているのでしょうか。鹿などの動物が歩く姿を鮮やかな色彩で表現しています。

「馬置物」 18世紀 オランダ ほか
最盛期のデフルトには30軒の工房があり、1年間で数百万に及ぶ器を制作していたそうです。また18世紀中頃にはフュギュアこと彫像も流行します。デルフトでも多数の置物が焼かれました。

「色絵花鳥文鉢」 18世紀 オランダ
まるで磁器のような質感もデルフトウェアの魅力の一つです。そして薄作り。意外と繊細です。一例として「色絵花鳥文鉢」が挙げられるかもしれません。

「色絵グロテスク文アルバレロ」 16世紀以降 イタリア
イタリアやイギリスの陶器も優品揃いです。「色絵グロテスク文アルバレロ」も目を引くのではないでしょうか。何でも野依氏がコレクションを始める切っ掛けになった作品だそうです。この充実ぶり。とても個人のコレクションとは思えません。
さてもう一人のコレクターは如何なる人物でしょうか。名は辻清明氏。陶芸家です。作陶を続ける一方、木、陶、漆などを素材とする多様な古美術品を収集しました。
ガラスに早い段階から関心を寄せていたそうです。時代も地域も幅広いのが特徴です。古代ローマからオリエント、ヨーロッパ、さらには中国、日本の和ガラスまでを網羅していました。

「尖底碗」 前2世紀中期〜前1世紀初期 シリア・パレスチナ地域あるいは東地中海沿岸地域
作品は紀元前に遡ります。黄金色に燦然と輝くのが「尖底碗」です。時は紀元前2世紀前後。シリア、パレスチナ地域、ないし東地中海沿岸地域で制作されました。同じく東地中海沿岸地域の「リブ装飾碗」も紀元前1世紀頃です。うっすら水色を帯びています。

「カットガラス碗」 3〜7世紀 イラン
イランの「カットガラス碗」も魅惑的でした。推定制作年代は3世紀から7世紀です。側面が6角形に刻まれています。歪みは少なく、かなり精巧です。高い技術を伺わせます。幾分と深い彫りです。どのような感触が得られるのでしょうか。

「金彩緑色紋章文 レーマー杯」 19〜20世紀 おそらくドイツ
時計の針を一気に近現代へ進めます。「金彩緑色紋章文レーマー杯」に風格を感じました。ガラス杯は緑色です。細かな装飾を施しています。金色の縁も眩しい。一際、輝いて見えました。

「切子籠目文蓋物」 江戸後期〜明治初期 19世紀 日本
日本の本格的なガラス器作りは17世紀中頃に始まります。最初は吹きガラスです。そして19世紀に切子が登場しました。「切子籠目文蓋物」がまるでダイヤモンドのような光を放っていました。さらに氷コップなども可愛らしい。お気に入りの1点を探すのには時間はかかりません。

辻清明「蕪鉢」 1991年
ラストは辻氏自身の制作するガラス作品でした。60歳を超えてからの挑戦です。こちらも見入りました。

「ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」展示風景
立体展示で既に定評のあるサントリー美術館のことです。作品はもとより、空間自体の美しさにも目を見張るものがありました。

「ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」展示風景
会場内の撮影が全面的に可能です。スマートフォンだけでなく、一眼レフを構えては、真剣な眼差しで作品を捉えている方の姿も見受けられました。
\写真撮影OK!/本展に限り、全作品写真撮影ができます!お気に入りの作品を見つけて、シェアしてくださいね♪ #サントリー美術館 #コレクターの眼https://t.co/LpKnXO8Ynt pic.twitter.com/UWZl1fqpCI
— サントリー美術館 (@sun_SMA) 2017年2月2日
会場内、空いていました。ゆっくり見られます。3月12日まで開催されています。
「サントリー美術館新収蔵品 コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」 サントリー美術館(@sun_SMA)
会期:1月25日(水)~3月12日(日)
休館:火曜日。但し3月7日(火)は開館。
時間:10:00~18:00
*毎週金曜、土曜日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、大学・高校生800円、中学生以下無料。
*アクセスクーポン、及び携帯割(携帯/スマホサイトの割引券提示)あり。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分。
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