都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
三重県立美術館へ行ってきました
1982年に開館した三重県立美術館は、津市中心部、津駅よりほど近い丘の上に位置します。
津駅西口から歩いて約10分ほどです。ロータリーからは一本道でした。信号を越え、なだらかな坂を上がると、左手に美術館が見えてきます。
建物の構えが想像以上に立派でした。ちょうど道路側から進んで、スロープ、階段の上に美術館が建っています。多くの公共建築で知られる富家建築事務所の設計でした。1998年には当時の建設省によって公共建築百選にも選ばれました。
エントランスが階段上右手奥です。屋外に観覧券売場のブースがあり、扉を抜けると、吹き抜け状のエントランスホールが現れます。テオ・ヤンセン展開催中のため、ヤンセンの大型の作品が設置されていました。
1階の企画展示室は全部で4室です。また同じフロアに、彫刻家の柳原義達の作品を公開する記念館があります。記念館は2003年に美術館のリニューアルにあわせて増築されました。
階段を1つ上がった2階が常設展示室です。ちょうど「2017年度常設展示第2期」と題したコレクション展が行われていました。
はじめの名品選からして粒揃いです。特にムリーリョの「アレクサンドリアの聖カタリナ」、モネの「橋からみたアルジャントゥイユの泊地」、そしてミロの「女と鳥」などに魅せられました。また近代洋画でも、安井曾太郎、古賀春江、佐伯祐三の作品が充実していました。
企画展と連動したテーマ展示をしているのも面白いところです。題して「美術家にして〇〇」。ヤンセンが物理学を学びながら、のちにアーティストに転向したことに関し、コレクションから美術以外でも活躍した芸術家の作品をピックアップして展示しています。
須田国太郎の「信楽」に目が留まりました。陶芸で知られる信楽の里をパノラマ的な構図で捉えています。色彩は赤みを帯びた褐色が主体で、一部に得意とするサーモンピンクも混じっていました。ともかく静寂でかつ長閑な景色です。かつて東京国立近代美術館で見た画家の回顧展のことを思い出しました。
コレクション展のラストは京都の近代美術でした。関西美術院に関する洋画家に加え、京都画壇の日本画家の作品を展示しています。
浅井忠、堂本印象、竹内栖鳳、木島櫻谷の作品が並ぶ中、私が印象に残ったのが宇田荻邨でした。明治36年に三重の松阪で生まれ、のちに京都へ移り、菊池契月に師事し、京都市立絵画専門学校で教授を務めるなどして活動しました。古典的な作風で知られていたそうです。
作品は全部で5点。特に「祇園新橋」や「巨椋の池」などの京都界隈の風景画が目立ちます。人々の行き交う祇園を叙情的に表す一方、巨椋は池の水鳥や蓮などをどこか図像的に表現していました。実のところ初めて見知った画家でしたが、思いがけないほどに惹かれました。
コレクション展を観覧し終えたあとは、一度エントランスへ戻り、柳原義達記念館へと向かいました。共通のチケットで入場することが出来ます。
展示室は2つあり、大きなスペースは天井部から自然光を取り込むつくりとなっています。彫刻群の配置にはゆとりがあり、一点一点、じっくりと向き合うことも可能です。戦後の具象彫刻で知られる柳原の作品の中でも動物、とりわけ鳩などの鳥の彫刻に魅力があるのではないでしょうか。デッサン、資料も交えて、柳原の制作を紹介していました。
館内にはミュージアムショップとレストランも併設されています。今回は時間の関係で利用しませんでしたが、特にレストランが充実しているようでした。一面はガラス張りで外を望むことも出来る上、開放感のあるテラス席も用意されています。
屋外彫刻もいくつか設置されています。青空によく映えていました。
企画展の「テオ・ヤンセン展」もあわせて鑑賞してきました。次のエントリにまとめるつもりです。
*関連エントリ
「テオ・ヤンセン展」 三重県立美術館
「三重県立美術館」(@mie_kenbi)
休館:月曜日。
*但し祝日にあたる場合は開館し、翌日休館。年末年始(12月29日~1月3日)。
時間:9:30~17:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300(240)円、大学生200(160)円、高校生以下無料。
*常設展示観覧料。企画展は別途必要。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:三重県津市大谷町11
交通:JR線、近鉄線津駅西口から徒歩10分。津駅西口1番のりばより三重交通バス「西団地巡回」、「ハイタウン行き(東団地経由)」、「夢が丘団地行き(総合文化センター前経由)」、「総合文化センター行き」のいずれかに乗車し、「美術館前」下車。無料駐車場あり。
津駅西口から歩いて約10分ほどです。ロータリーからは一本道でした。信号を越え、なだらかな坂を上がると、左手に美術館が見えてきます。
建物の構えが想像以上に立派でした。ちょうど道路側から進んで、スロープ、階段の上に美術館が建っています。多くの公共建築で知られる富家建築事務所の設計でした。1998年には当時の建設省によって公共建築百選にも選ばれました。
エントランスが階段上右手奥です。屋外に観覧券売場のブースがあり、扉を抜けると、吹き抜け状のエントランスホールが現れます。テオ・ヤンセン展開催中のため、ヤンセンの大型の作品が設置されていました。
1階の企画展示室は全部で4室です。また同じフロアに、彫刻家の柳原義達の作品を公開する記念館があります。記念館は2003年に美術館のリニューアルにあわせて増築されました。
階段を1つ上がった2階が常設展示室です。ちょうど「2017年度常設展示第2期」と題したコレクション展が行われていました。
はじめの名品選からして粒揃いです。特にムリーリョの「アレクサンドリアの聖カタリナ」、モネの「橋からみたアルジャントゥイユの泊地」、そしてミロの「女と鳥」などに魅せられました。また近代洋画でも、安井曾太郎、古賀春江、佐伯祐三の作品が充実していました。
#テオ・ヤンセン 展で初めて三重県立美術館にいらしたお客様には特に、二階の常設展示室にも足を運んでいただきたいです。スペイン・バロックの代表的画家ムリリョや、同じくスペインのダリ、フランスのモネやボナールはじめ充実の展示ですので。https://t.co/CzVUCBktYC
— 三重県立美術館 (@mie_kenbi) 2017年8月17日
企画展と連動したテーマ展示をしているのも面白いところです。題して「美術家にして〇〇」。ヤンセンが物理学を学びながら、のちにアーティストに転向したことに関し、コレクションから美術以外でも活躍した芸術家の作品をピックアップして展示しています。
須田国太郎の「信楽」に目が留まりました。陶芸で知られる信楽の里をパノラマ的な構図で捉えています。色彩は赤みを帯びた褐色が主体で、一部に得意とするサーモンピンクも混じっていました。ともかく静寂でかつ長閑な景色です。かつて東京国立近代美術館で見た画家の回顧展のことを思い出しました。
コレクション展のラストは京都の近代美術でした。関西美術院に関する洋画家に加え、京都画壇の日本画家の作品を展示しています。
浅井忠、堂本印象、竹内栖鳳、木島櫻谷の作品が並ぶ中、私が印象に残ったのが宇田荻邨でした。明治36年に三重の松阪で生まれ、のちに京都へ移り、菊池契月に師事し、京都市立絵画専門学校で教授を務めるなどして活動しました。古典的な作風で知られていたそうです。
作品は全部で5点。特に「祇園新橋」や「巨椋の池」などの京都界隈の風景画が目立ちます。人々の行き交う祇園を叙情的に表す一方、巨椋は池の水鳥や蓮などをどこか図像的に表現していました。実のところ初めて見知った画家でしたが、思いがけないほどに惹かれました。
コレクション展を観覧し終えたあとは、一度エントランスへ戻り、柳原義達記念館へと向かいました。共通のチケットで入場することが出来ます。
展示室は2つあり、大きなスペースは天井部から自然光を取り込むつくりとなっています。彫刻群の配置にはゆとりがあり、一点一点、じっくりと向き合うことも可能です。戦後の具象彫刻で知られる柳原の作品の中でも動物、とりわけ鳩などの鳥の彫刻に魅力があるのではないでしょうか。デッサン、資料も交えて、柳原の制作を紹介していました。
館内にはミュージアムショップとレストランも併設されています。今回は時間の関係で利用しませんでしたが、特にレストランが充実しているようでした。一面はガラス張りで外を望むことも出来る上、開放感のあるテラス席も用意されています。
屋外彫刻もいくつか設置されています。青空によく映えていました。
企画展の「テオ・ヤンセン展」もあわせて鑑賞してきました。次のエントリにまとめるつもりです。
*関連エントリ
「テオ・ヤンセン展」 三重県立美術館
「三重県立美術館」(@mie_kenbi)
休館:月曜日。
*但し祝日にあたる場合は開館し、翌日休館。年末年始(12月29日~1月3日)。
時間:9:30~17:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300(240)円、大学生200(160)円、高校生以下無料。
*常設展示観覧料。企画展は別途必要。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:三重県津市大谷町11
交通:JR線、近鉄線津駅西口から徒歩10分。津駅西口1番のりばより三重交通バス「西団地巡回」、「ハイタウン行き(東団地経由)」、「夢が丘団地行き(総合文化センター前経由)」、「総合文化センター行き」のいずれかに乗車し、「美術館前」下車。無料駐車場あり。
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