都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「和のあかり×百段階段展2017」 ホテル雅叙園東京
ホテル雅叙園東京
「和のあかり×百段階段展2017」
7/1~8/27
今年も夏の恒例、ホテル雅叙園東京の「和のあかり」展が、百段階段を鮮やかに彩っています。
昭和10年、百段階段は、ホテル雅叙園の前身である目黒雅叙園の3号館として建てられました。
部屋は全部で7室つあり、その間を99段にも及ぶ階段状の廊下が繋いでいます。各室には荒木十畝や鏑木清方らの日本画家が天井画などを描いたほか、桃山風の豪華な装飾も施され、「昭和の竜宮城」と称されました。
長らく宴会の間として利用されていたそうです。現在は、東京都の指定有形文化財に指定され、一般に公開されています。同園で現存する唯一の木造建築でもあります。
その各室を明かりでさらに華やかに演出するのが「和のあかり」です。テーマに「日本の色彩 日本の意匠」を据え、「祭り」、「アート」、「職人」のジャンルからなるイルミネーションを展開していました。
まずは「祭り」です。「漁樵の間」のねぶたが迫力満点でした。主役は浮世絵などでもお馴染みの相馬太郎良門です。ちょうど仙人より妖術を修めようとする場面を表現しています。ねぶた自体も実際に青森のねぶた祭りに出陣した作品でした。ともかく彩色が鮮やかです。金箔、金泥で仕上げられ、床柱のデコラティブな彫刻など、何かとゴージャスな「漁樵の間」の空間にも負けてはいません。
続く「草丘の間」に展開するのが清流の森でした。手がけたのは切り絵作家の早川鉄兵で、森の中の様々な動物たちを象っています。中には魚の泳ぐ姿も見えました。
床には一面の人工芝が広がります。かなり混雑していたため、座ることこそ叶いませんが、ムードのある空間は居心地も上々です。さながら夜の幻想的な森の中に迷い込んだかのようでした。
鮮やかにライトアップされたガラス工芸が現れました。切子にステンドグラスです。うち切子は墨田区の山田硝子加工所が制作した作品で、現代に江戸切子の伝統を蘇らせました。
あかりマイスターの橋田裕司による照明も楽しいのではないでしょうか。橋田は照明塾塾長と称し、全国で手づくりの照明教室を展開しています。鳥や月などをモチーフとした作品を展示していました。
なおステンドグラスなどの伝統工芸品は、過去最大スケールでの出展だそうです。工芸ファンにも嬉しい内容と言えるかもしれません。
江戸組子による照明も効果的です。床の間のスペースに万華鏡のような光を散らしていました。
「清方の間」で磁器の笛吹が映像で展開します。明治12年に石川県で創業した上出長右衛門窯による作品です。笛吹は中国の明の染付の絵柄の1つで、同窯では古くから描き続けてきました。最近では笛をトランペットやサックスに持ち替えさせたり、DJの若者として描くなど、新たな表現を切り開いているそうです。
なお同間の壁画はいずれも清方による直筆の作品です。これがまた贅沢でした。ライトダウンされているため、細部を確認するのは難しいかもしれませんが、美人画をはじめ、四季の草花を描いた清方の絵にも見入るものがありました。
ラストの「頂上の間」には風鈴と生け花のインスタレーションが待ち構えていました。天井から釣り下がるのが無数の風鈴です。生け花は一葉式の次期家元である粕谷尚弘が手がけました。メトロポリタン美術館などでもデモンストレーションを行った華道家でもあります。
水面を模したのでしょうか。床は一面の青いタイルが敷き詰められていて、京都の座布団工房である「洛中高岡屋」による座布団も置かれていました。ここは座って空間を味わうのも良いかもしれません。
ガラス工芸や風鈴しかり、見るも涼しげな「和のあかり×百段階段展」。お盆休みの期間中でしたが、入場待機列こそなかったものの、かなりの人で賑わっていました。
昨年は9万名を動員し、百段階段展の歴代最高入場者数を記録したそうです。今年も会期末に向けてさらに混み合うかもしれません。
各展示室は階段で行き来する必要があります。動きやすい服装、ないし靴で出かけられることをおすすめします。
8月27日まで開催されています。
「和のあかり×百段階段展2017~日本の色彩 日本の意匠」 ホテル雅叙園東京(@meguro_gajoen)
会期:7月1日(土)~8月27日(日)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00。
*金・土・日・祝日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1500円、学生800円、小学生以下無料。
住所:目黒区下目黒1-8-1
交通:JR線、東急線、東京メトロ南北線、都営三田線目黒駅より徒歩5分。目黒駅、及び品川駅より無料ホテルバスあり。
「和のあかり×百段階段展2017」
7/1~8/27
今年も夏の恒例、ホテル雅叙園東京の「和のあかり」展が、百段階段を鮮やかに彩っています。
昭和10年、百段階段は、ホテル雅叙園の前身である目黒雅叙園の3号館として建てられました。
部屋は全部で7室つあり、その間を99段にも及ぶ階段状の廊下が繋いでいます。各室には荒木十畝や鏑木清方らの日本画家が天井画などを描いたほか、桃山風の豪華な装飾も施され、「昭和の竜宮城」と称されました。
長らく宴会の間として利用されていたそうです。現在は、東京都の指定有形文化財に指定され、一般に公開されています。同園で現存する唯一の木造建築でもあります。
その各室を明かりでさらに華やかに演出するのが「和のあかり」です。テーマに「日本の色彩 日本の意匠」を据え、「祭り」、「アート」、「職人」のジャンルからなるイルミネーションを展開していました。
まずは「祭り」です。「漁樵の間」のねぶたが迫力満点でした。主役は浮世絵などでもお馴染みの相馬太郎良門です。ちょうど仙人より妖術を修めようとする場面を表現しています。ねぶた自体も実際に青森のねぶた祭りに出陣した作品でした。ともかく彩色が鮮やかです。金箔、金泥で仕上げられ、床柱のデコラティブな彫刻など、何かとゴージャスな「漁樵の間」の空間にも負けてはいません。
続く「草丘の間」に展開するのが清流の森でした。手がけたのは切り絵作家の早川鉄兵で、森の中の様々な動物たちを象っています。中には魚の泳ぐ姿も見えました。
床には一面の人工芝が広がります。かなり混雑していたため、座ることこそ叶いませんが、ムードのある空間は居心地も上々です。さながら夜の幻想的な森の中に迷い込んだかのようでした。
鮮やかにライトアップされたガラス工芸が現れました。切子にステンドグラスです。うち切子は墨田区の山田硝子加工所が制作した作品で、現代に江戸切子の伝統を蘇らせました。
あかりマイスターの橋田裕司による照明も楽しいのではないでしょうか。橋田は照明塾塾長と称し、全国で手づくりの照明教室を展開しています。鳥や月などをモチーフとした作品を展示していました。
なおステンドグラスなどの伝統工芸品は、過去最大スケールでの出展だそうです。工芸ファンにも嬉しい内容と言えるかもしれません。
江戸組子による照明も効果的です。床の間のスペースに万華鏡のような光を散らしていました。
「清方の間」で磁器の笛吹が映像で展開します。明治12年に石川県で創業した上出長右衛門窯による作品です。笛吹は中国の明の染付の絵柄の1つで、同窯では古くから描き続けてきました。最近では笛をトランペットやサックスに持ち替えさせたり、DJの若者として描くなど、新たな表現を切り開いているそうです。
なお同間の壁画はいずれも清方による直筆の作品です。これがまた贅沢でした。ライトダウンされているため、細部を確認するのは難しいかもしれませんが、美人画をはじめ、四季の草花を描いた清方の絵にも見入るものがありました。
ラストの「頂上の間」には風鈴と生け花のインスタレーションが待ち構えていました。天井から釣り下がるのが無数の風鈴です。生け花は一葉式の次期家元である粕谷尚弘が手がけました。メトロポリタン美術館などでもデモンストレーションを行った華道家でもあります。
水面を模したのでしょうか。床は一面の青いタイルが敷き詰められていて、京都の座布団工房である「洛中高岡屋」による座布団も置かれていました。ここは座って空間を味わうのも良いかもしれません。
ガラス工芸や風鈴しかり、見るも涼しげな「和のあかり×百段階段展」。お盆休みの期間中でしたが、入場待機列こそなかったものの、かなりの人で賑わっていました。
昨年は9万名を動員し、百段階段展の歴代最高入場者数を記録したそうです。今年も会期末に向けてさらに混み合うかもしれません。
各展示室は階段で行き来する必要があります。動きやすい服装、ないし靴で出かけられることをおすすめします。
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— Fashion Press (@fashionpressnet) 2017年8月14日
8月27日まで開催されています。
「和のあかり×百段階段展2017~日本の色彩 日本の意匠」 ホテル雅叙園東京(@meguro_gajoen)
会期:7月1日(土)~8月27日(日)
休館:会期中無休
時間:10:00~18:00。
*金・土・日・祝日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1500円、学生800円、小学生以下無料。
住所:目黒区下目黒1-8-1
交通:JR線、東急線、東京メトロ南北線、都営三田線目黒駅より徒歩5分。目黒駅、及び品川駅より無料ホテルバスあり。
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