◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

日本人どうしなのに日本語が壁になる。

2007-01-29 10:06:35 | 言葉についてあれこれ
                 何考えてる?
 誤った表現がそのまま耳に入り、誤りであることに気づく暇もなく繰り返され、聞き慣れ、自分も誤った表現をするようになり、どんどん広がっていく。誤りであると認識されず、やがて誤った表現が正しい表現を駆逐してしまうのですから、これは本当に困った事態です。まさに「悪貨は良貨を駆逐する」です。
 人に伝えたいことがあるというとき、話し手と聞き手の日本語の感覚がずれていると思わぬ誤解を生むことがあります。ある言葉に、話し手が思ってもみなかったようなイメージを聞き手が持っていて、話し手としては、なぜ伝わらないのか、何に引っ掛かっているのか、理解に苦しむのです。ふだんの言葉の扱い方の違いが高い壁になってしまうわけで、どこが違うのかその場で気づけばいいのですが、さんざん考えて後になって分かるということもあり、分かってみると、その場で気づかなかったことがとても悔やまれます。
 間違いを指摘されたら素直に修正すればいい、それだけのことなのですが、それすらできない人が多すぎます。いや、できないというより、このごろは、直したくないのではないかと感じることがよくあり、これはもっと深刻な状況なのではないかと心配しています。なぜ直したくないのか、ひょっとして、言葉ではなくハートが大切なんだ、要は中身だ、個性だ、多様さだ、変化して当然だ、と言っているのでしょうか。
 でも、考えてみてください、実際、コミュニケーションのために言葉がどれほど大切か。日本人どうしが日本語で話していて、日本語が変になっているのにスムーズな誤解のないコミュニケーションが取れると思うのは考えが甘いのではないでしょうか。言葉が壁になって伝えたいことが伝わらないのがどんなにもどかしいか。何でもかんでも雪崩のように変わってしまっていいのでしょうか。
 ましてや、いつも直接会って身振り手振りで話すというわけにはいかず、電話で聞くだけ、メールで文章を読むだけということも多いのに、間違いだらけの日本語でスムーズに意図が伝わるでしょうか。句読点の位置一つで意味が変わってしまうのですよ。また、自分の書いたものを大勢の人が読むというこの時代、せめて、漢字が合っているか、必要な助詞が抜けていないか、何か誤りがないかチェックしてみてください。え? 「そんな暇はない」って? そこを何とかお願いします。
 ハムスターは何も言ってくれないので、よく観察することでハムが何を望んでいるのかを知ろうと試みます。でも、人には言葉があるのですから、日本人には日本語があるのですから、思っていることすべてを伝えるのは難しいとしても、せめて誤解だけは避けたい。本当に切なる思いです。
コメント
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