◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「染料を塗ってあげて」って?

2012-01-15 10:12:56 | めちゃくちゃな敬語
                                遊んであげるよぉ

 NHK Eテレの「○○講座」を、特にそれをやるということでもないのですが、何となく見ていることがよくあります。それで、気になるのが、講師がみんな「~てあげる」を連発することなのですが、皆さんはどう感じるでしょうか。
 例えばハンドメイド講座では、「しっかり染料を塗ってあげてください」「ペーパーでしっかり押さえてあげてください」「丸く切り取ってあげてください」って・・・材料の葉っぱに「~てあげて」を連発。趣味の園芸の講師も「黄色くなってしまった葉っぱを取ってあげる」「管理してあげる」「多めに土をかけてあげてください」です。
 「そういうところをパッと見付けてあげる」と言ったのはボルダリング(フリークライミングの一種)の講師。壁に埋め込まれたたくさんのホールド(様々な色や形の突起)の中から自分が足をかけるのに最も適した位置にあるホールドを素早く見付けろというアドバイスです。
 後ろで見ている人が壁を登っている最中の人に「右の青いの!」と指示する、その指示する人に対して言っているのなら「見付けてあげる」でいいのですが、そうではなく、この講師は、壁を登っている人に対して、自分で最適なホールドを「パッと見付けてあげて登れ」と言っているのです。
 「はがきの方向は指定してあげたほうがいいですね」と言ったのはデジタル塾の講師ですが、指定する「相手」はパソコンの「はがき印刷ソフト」です。知ってました? 日本郵便のはがきデザインキット。無料でダウンロードして使えるソフトで、番組では年賀状を作成していました。
 葉っぱ、園芸植物、ホールド、パソコンのソフト、なぜみんな「~てあげる」なのでしょうか。「~てあげる」は「~てやる」の丁寧な言い方で、聞き手に対する敬意や自己の品位を表すわけです。「勉強を教えてやる」ではなく「勉強を教えてあげる」、「料理を作ってやる」ではなく「料理を作ってあげる」、これは分かりますよ、でも、「葉っぱに染料を塗ってあげて」はいけません。
 勉強を教える相手、料理を作る相手、もちろんそれは人ですが、Eテレに出てくる講師の「~てあげる」相手はモノですから。みんな何か勘違いしているようです。聞き手に対する敬意? 自己の品位? とんでもない、幼稚に聞こえるだけです。ハムやんに「ナッツあげまちゅよぉ」と言っている私にも理解できません( ̄_ ̄)。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする