◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「あのお車なんです」って?

2012-01-18 20:24:11 | めちゃくちゃな敬語
                                    お手洗い

 リポーターらしき人が「ルーメンというのは存じ上げませんでした」と言うのを聞いたことがありますが、「ルーメン」は「光束(光のエネルギーの流れ)の単位」ですから、「ルーメン」と言った人と直接関係のある事柄ではなく、「ルーメンというのは存じませんでした」と言えばいいのです。
 「存じる」「存じ上げる」は「知る」「思う」の謙遜した言い方ですが、「存じ上げる」は「存じる」よりずっと使える範囲が狭いわけで、例えば、偉い先生に向かって「先生の作品についてはよく存じ上げております」とか、「先生が○○ご出身とは存じ上げませんでした」とか言うものであって、先生に直接関係のない一般的な事柄について「存じ上げる」なんて言いません。
 「朝ズバッ!」加藤アナの「お写真、ご用意しました」や「はなまるマーケット」竹内アナの「(マンボウの)お写真」は、人ではなく、モノや動物の写真です。また、ゲストが撮ってきてくれた写真というわけでもありません。番組のスタッフが用意したものですから、フリップを「おフリップ」と言っているのと同じです。
 全くもぉ、「(マンボウの)お写真」だの「(自分の)お仕事」だの、何でも「お」を付ければいいってもんじゃないぞっ! と思っていたら、車のディーラーの生CMで若い女性が「お車」を連発しているじゃあ~りませんか。お客様の車ではなく、自分が販売しようとしているピカピカの新車、持ち主のいない車ですよ( ̄д ̄)! 「あのお車」というのは、ハリウッドの大物俳優を起用したCM、「売れてるの?」「売れてる、売れてる」「へぇ~~~、おれのおかげ?」ですよ、あのCMの車なんです、だから「あの、お車なんです」なんです(⌒O⌒)アハハ。
 敬語は、尊敬語、謙譲語Ⅰ、謙譲語Ⅱ、丁寧語、美化語、この五つに分類されますが、だれが主体なのか、だれが対象なのか、会話の相手はだれなのか、モノについて言うならそれはだれのものなのか、そういうことを頭の中できちんと整理して話すことが大切なのです。加藤アナと竹内アナにだれか教えてやってよ( ̄・ ̄)。
 ご婦人、ご近所、ご飯、お酒、お花、お金、おなか、美化語は、自分と相手の地位に上下の差はなく、自己の品位を表す表現ですが、使いすぎには注意しなければいけません。「お酒」はいいけれど「おビール」はだめ、「お菓子」とは言うけれど「おスイーツ」とは言わない、「すてきなお洋服ですね」はいいけれど、自分の服について「どう? すてきなお洋服でしょ?」は幼稚、目上の人の「お写真」はいいけれど、「ハムやんのお写真」とは言いませ~ん(⌒・⌒)。
コメント
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