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中国金利上昇の裏事情: 地下銀行

2004-11-19 17:52:07 | 国際・政治
地方政府に対する投資抑制指示などの景気過熱対策により、固定資産投資が落ち着きを見せ始め、中国政府は金利上昇のそぶりを見せなかった。しかし、先月金利0.27%上げを発表しやや唐突な感じを与えたが、10月の物価指数上昇が4.3%に落ち着き追加利上げは当面ない見通しとなり、同じく生産15.7%増、小売14.2%増となり景気の減速懸念も薄らぎ(住信調査レポート)、経済成長の継続性に対する信頼感が高まっている。最新号のタイムによると金利上昇は景気過熱抑制に加えて、活発な地下銀行の活動が背景にあると報じている。中国経済の躍進が中央指導で低賃金を梃子にした輸出と膨大な国内市場をカバーする企業の巨大化によるだけではなく、地下銀行が堅実な地方経済を支える仕組の貢献によるもので、合わせて中国経済が意外と強い二枚腰構造になりつつある事を意味している。この視点からポイントを要約して紹介する。

金利上昇前の主要因は、インフレ率5%以上だが預金金利は2%で実質マイナス金利の状況が続いた為、2月以来温州の中国銀行支店(CBRC)だけで預金口座から2000億ドル引き出され、これが全土に広がると悪性の負債に苦しむ中国銀行が支払能力を損なうという信頼を回復する為であった。流出した預金は地元の小企業主ネットワークで構成される地下銀行に預けられ、中国銀行から融資を受けられない中小の地場産業に地縁血縁を元に貸し付けられた。中央政府はこの地下銀行には全く手のつけられず景気過熱抑制の効果が現れない事を恐れたが、結果は吉と出た。中央銀行が調査した結果、貸出金利はやや高めの適正値に設定され中小の地場産業を活性化し、地元のタイトな人間関係から返却率が高まり不良債権が減った。逆に、中国銀行はリスクの少ない大手企業だけを相手に商売し、この住み分けを通じて金融システム全体の健全化も進んだ。政府はその効用を認め10月28日、金利や融資先を制限しないプライベート銀行を合法化し、既に主要都市で商業銀行が設立され始めた。これらの小型銀行は政府の指示に盲目的に従った融資(例えば非効率な国営工場)をしないので、より健全な融資が増えると期待されている。

中国の自由経済もここまで進んできたのかと言う思いである。従来は巨大海外資本の投資により支えられて成長してきたが、次の成長段階、自律成長モードに入ったのではないだろうか。換言すると、先に報告した富裕層及びその予備軍の有産階級が急速に増えていく態勢に入った。中国の政治体制など特有の障害があっても乗り越えて成長していく道、後には戻れない道、を走り始めたと言う事である


コメント
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