かぶれの世界(新)

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忍び寄る今世紀最大の危機「肥満」

2004-11-10 17:54:14 | 健康・病気
今月8日厚生労働省は2002年度調査の結果、20歳から60歳までの成人男性の肥満が97年から5%増えて29%、40歳から60歳までの女性の肥満が同じく1%増えて26%になったと報じた。痩せすぎの20代女性が同じく4%増えて27%になった特異事象も報じられている。それでも日本の肥満の割合は少ない方である。
米国では成人の1/3が「やや肥満over-weighted」、1/3が「肥満obese」合計1.3億人となり、中でもメキシコ系及び黒人女性の「やや肥満」以上の割合が70%以上と報告されている(2002年NIH国立衛生局)。その結果医療費が年間120Bドル(約13兆円)に上昇、深刻な生産性低下をもたらし、今回の大統領選でも重要な争点となった。英国では過去20年に肥満が3倍に増え国民の1/5が肥満、2010年には1/4が肥満になると警告している。
USA Today(12/15/03)は両親が肥満の子供は60-80%の確率で肥満になり、同じく痩せている場合は9%の確率で肥満になる、更に肥満のメカニズムと食生活の関係を説明し、結論として遺伝子と生活習慣変化の組合せが肥満を作り出しているとし、結果として医療費の圧迫と保険にかからない子供の比率が17%を越えたと警告している。
しかし、最も深刻なのは南アジア諸国であると最近報じられた。インドでは今年の調査で55%の成人が「やや肥満」以上であると報じられた。中国では92年から10年間に「やや肥満」が2倍になり2億人になった。問題はこれらの地域はつい25年前まで慢性的に飢饉が発生して来た地域で、最近の経済急成長で栄養事情が急変して肥満が急増していることである。何万年にもわたる栄養事情が生み出した肥満遺伝子(英訳は逆でstarving gene)を受け継いだ子孫が生き残って現在のアジア人となっているのである。WHOはこの遺伝子をもったアジア人の特性を考慮してBMIの定義を以下のように変更している。
              「やや肥満」   「肥満」
        西洋人    25-29     30-
        アジア人   23-25     26-
カロリーの過剰摂取は主に腹部に異常な脂肪を蓄積し、心臓病、癌、高血圧、糖尿病を招く。 私も過去1.5年の間に「やや肥満」から普通に体重を減らしたことにより薬なしで血圧、尿酸が正常に戻った。このままだと2030年までに中国とインドだけで1億人、アジア全体で1.9億人が糖尿病になり、アジアの健康管理システムはオーバロードすると予測されている。既に中国の高血圧患者は1.6億人を超え診療能力目一杯まできている。しかし、アジアの肥満問題は最近流入した米国スタイルのファーストフードを止めれば解決するほど簡単ではなさそうである。
最新号のタイムによると、肥満にとって有史上最悪の発明は古代中国等の農業の発明で、その結果、人口密度が高まり野生動物の肉・果物・野菜から、穀物・家畜の肉を食べるようになり人体に本質的なアミノ酸・ビタミン・ミネラル等の働きを傷めた。この時代を境に体格が悪くなりカルシウム不足・虫歯・バクテリアなどの影響を受けた人骨が発掘されるようになった。そしてこの四半世紀に西欧諸国で産業革命以降200年かけて起こった生活の変化が濃縮して起こり、決定的な影響を与えた。中国農村で電話のない生活から一気に携帯電話を使うようになったと同じ事があらゆる生活局面で起こっていると考えれば如何に急激な変化か容易に理解できる。既にアジア各国政府は肥満が増え続けると危機的な状況になると理解して対策を打ち始めている。肥満先進国の米国ですら未だ状況は悪化しており簡単に事態を改善できる決め手はない。ダイエット産業は急成長し、レストランはローカロリー・メニューを充実させても依然肥満増加が続いている。安価な薬の輸入促進等による医療費低減は元を断たない限り効果がない。
私は自動車保険がポイント制を導入したように生命保険業界はBMIによって保険料を変えたらどうかと思う。今や肥満から生じるコストは社会的に脅威を与える程になりその責任を個々人が負担する仕組が必要ではなかろうか、「肥満税?」一寸聞こえが悪いが。 


コメント (2)
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