一昨日、リーマンショックで激減した私の金融資産が元本回復した。6年前に早期退職後、老後の生活と家族の事故等の不測の事態に備え、退職金の一部を投資して運用してきた。2007年後半には期待以上のリターンがあったが、その頃には既にサブプライムの焦げ付きで住宅バブルが破裂して金融危機が他の分野に広がる可能性が公に議論されていた。
しかし、私はそれがどれ程の悪影響があるか予測できず、ベアスターンズ救済劇後もリスクの高い金融商品を保有し続けた。そしてリーマンショック後も底なしの価格低下が続き、今年3月初めには最安値をつけた。3月半ばに底をつけてから半年で急速に値を戻し、9月頃から伸び悩んだものの、ここに来て米国の株価がリーマンショック時に戻ったのと同期しての元本回復だった。
僅かとはいえ老後の蓄えが取り戻せたのは素直に喜んで良いはずだが、正直なところ複雑な気持ちだ。こんなに早く取り戻せたのは、3月以降日本経済に見切りをつけて、出来るだけ新興国や米国等の海外金融商品に切り替えたからだ。日本の株式等は全て売却した。副産物として、日々価格変動を追いかける体力も無いし、その必要もないので時間的な余裕も出来た。
今年の春頃は元本回復に10年以上かかるというシミュレーション結果を覚悟していた。だが、金融商品の見直しの結果としてトータルで年初来43%価格上昇した。振り返ると極力日本ファクターを取り除いたのが早期元本回復に繋がった。日々のニュースを追っていくと主要国の不景気対策に比べ、当時の麻生政権の混迷で日本経済の回復は難航すると思わざるを得なかった。
それでも、政権交代までは株価は米国と大差ない回復振りだったと思う。だが鳩山政権発足後株価は一転して低迷し、日本一人負け状態になり事態は悪化した。実際のところ、日本の機関投資家も海外比率を増やしていると聞いている。彼らはビジネスであり、私なんかの損得計算より遥かに厳しくやった結果の判断のはずだ。
手放しで喜べないのは、今回のことで海外からお金が来なくなったどころか、日本人のお金も国内の為に使われないことを実感したからだ。このまま日本が存在感を無くして行く先触れと感じた。そんな風景は見たく無いが、日本人であることを止める訳にもいかない。先日、管大臣が竹中教授の意見聴取し、問題の深刻さを認識し、組合側の論理だけでなく幅広く意見を聞いて取り組む柔軟な姿勢を見せたのはいい。だが、速度が遅すぎて手遅れになりそうな気がする。■