かぶれの世界(新)

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矮小化大国

2010-12-07 22:35:13 | 国際・政治

先日投稿した「そろそろ本題に入ろうよ」の続編です。記事を投稿した時は、何が重要か理解せず脇道にそれて党利党略の揚足取りに走る政治と、それを咎めることなくスキャンダルと一緒くたにして報じるメディアに対する怒りで、随分棘のある書き方をした。これじゃ、日本は国としては何も出来ず停滞から抜け出せないで益々衰退するしかないな、と。今も例えばTPPのような国の将来を左右する議論も2%に矮小化され尻すぼみになる。経済大国は自発的衰退の道を辿っている。

その後、私と考えを同じくする人はいないか新聞テレビを注目してきた。私の知りえた限りでは、田原総一郎氏の記事「枝葉末節ばかりのあきれた政治と報道」(12/1)が最優先政治課題である補正予算(財政赤字削減のために消費税を上げるか歳出削減するか)、中国とどう付き合うか(日本の安全保障をどうするか)についてまともな論議をせず、この間マスコミは何の問題指摘も無かったと指摘した以外に見かけなかった。田原氏には珍しく正論だと思ったが、後が続かない。

私には未だに理解できないことがある。仙谷官房長官と馬渕国交省大臣が参院で問責決議を受け、彼らが辞任しないから国会審議が停滞したことになっている。だが、彼らが何故問責を受けたか思い出すのに暫く時間がかかった。何か重要な失策をしたっけ?

実際、仙谷氏の「自衛隊は暴力装置」発言、馬淵氏は海上保安庁から中国漁船拿捕のビデオが流出した責任を問うものだった。それで何で我国の最重要事項の審議が止まってしまうのか全く理解できない。そんなものは連日報じられているWikiLeaksの暴露に比べれば、かすり傷ほどの重要さも無い。最終責任者のクリントン国務長官の責任を問う声を聞かない。いまや野党は問責を受けた行動より、問責を受けたこと事態を問題にしているようだ。これを本末転倒という。

我国の政治やマスコミがこれ程に未熟だとは思わなかった。しかし、思い出せば安倍政権時の赤城農相のバンソウコウ辞任も酷かった。マスコミが追い込んだ辞任劇だった。別に今に始まったことではないということか。海老蔵事件で芸能ネタを得々と解説した同じ人達が、一転政局ネタを同じ目線で報じるのを見てあきれるしかなかった。しかし、内閣支持率には直ぐ反映された。

日本人はこんなにアホじゃなかったと思うけど、今まで勘違いしていたのだろうか。日本と同様にねじれ議会になった米国でブッシュ減税継続すると、議会と大統領の妥協が成立したとのニュースが今朝方入ってきた。問題先送りだが、政治を停滞させるより先に進めた。政権交代後の英国保守党が、大胆な増税と歳出削減を含む財政再建策を打ち出し、大半の英国民はこれを容認すると見られている(大反対の声は出て来るが、多数の支持を受けて断行すると私は予測する)。何故、これ程の差が出てくるのか。

国の最重要政策を全く議論しないという愚かな議会のニュースは、日本以外のどこの国からも聞えてこない。今回の臨時国会の法案成立率は過去10年で最低の38%だったという。日本には衆院解散があり、3年毎の参院選や統一地方選があるという事情があり、その都度政権の存続が問われることになるという事情はある。それを認めているのはマスコミとそれを通じて意思表示する民意である。だが一方で、強いリーダーを求めるのは中々難題だ。

先の衆院選で民主党が大勝し政権交代に貢献した民主党新人議員の殆どは、小沢氏から政治資金をもらっていた(合法的に!)ことが判明した。政治は退化したのか。マスコミにも自浄能力はとても期待でき無い。彼らは金で動く(間接的だが)。「政策決定プロセス重視の、ものを言うマスコミ」の登場と、それを支持し報道するマスコミへの広告費を傾斜配分するする企業群は解にならないだろうか。違和感のある方は政党色やイデオロギー色の無い「XX政経熟」出身の政治家を思い出せば良い。

ところで、WikiLeaksの創設者アサンジ氏が英国で逮捕されたというニュースが先ほど入ってきた。彼は性犯罪で告発され国際手配されたというから、究極の別件逮捕だ。今までに公表された米外交官の電報の中で、中国や北朝鮮首脳に対する率直な発言や評価等は公にはならずとも、所謂オフレコベース情報で報じられたものだった気がする。だが、建前で実行される外交プロセスへの影響は免れないだろう。これからも更にインパクトの大きなものが出てくるかも。■

コメント (2)
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