かぶれの世界(新)

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介護録10秋(5)

2010-12-13 23:00:16 | 健康・病気

午後東京に戻ると真冬の寒さだった。リニューアルされた羽田空港に着陸して飛行機が滑走する間、今まで国内線で見慣れた景色とは違う別の国に来たかの印象を受けた。CAは今日の東京は寒い、8度しかないと脅かして身構えたが、暖かい構内から電車に乗ったので汗ばむ位だった。

京急線に乗り込んで機中でやり残した数独をやっていると、またまた外の景色が違うのに気がついた。蒲田を通過して品川付近の景色だった。少し慌てたが新宿経由で自宅に向かったが、時間も運賃もそう変わりが無かった。駅から自宅に向う徒歩5分で初めて寒さを実感した。

先週最後に老人ホームを訪れた時、母の機嫌はまずまずだった。血液検査等の結果バセドウ病の治療の効果が認められ、投薬量を半分に減らしたと伝えられた。10月頃に何度か訴えがあった幻覚が見える症状はその後なくなったというから、幻覚は薬の副作用だったかもしれない。

並行して血糖値に改善が見られた。退院時はインシュリン投薬量が朝12/14/12/2(新薬)40単位だったが、その後低血糖になることもあり12/10/8/434単位だった。先週聞くと、入居時とほぼ同じに戻り12/4/4/4の計24単位で血糖値は安定しているという。

色々な担当の人達に聞くと、母の顔に表情が時々現われ始めたという。特に朝起きた時夜勤の係りに笑い顔を見せることが増えたという。施設内の集団体操やレクリエーションにも、強いれば参加して楽しむようになったという。「強いれば」というのは、母は最初ノーと言う人なので、無理にでも勧めてくれとお願いしていた。互いに分かってきて、やりやすくなってきたと印象を受けた。

だが、私だけでなく家内や妹に対しては依然としてよそよそしい態度を示した。特に私に対しては厳しく、顔を見るなり早く帰れという。先週は機嫌がよかったそうで少し会話を交わしたが、5分くらいで「もう帰れ、お前は役立たない」と追い出された。

施設の人達は、「身近で世話をする人に親近感を持つようになるのはよくあること、本当は来て欲しいはずですよ」と慰められた。母が私に悪態をつくようになったのはリハビリ専門病院に転院した頃からなのでもう1年以上になる。慣れたし、覚悟はしているが、酷くなる一方だ。

異常な食欲は依然変わらず、隣の人の食事に手を出そうとしたことが何度かあったという。床に落ちた食べ物やテーブルのチリ紙まで口に入れたという。担当の方が気をつけてくれているのでそういうことは無くなったが、母の機嫌が悪いのは常に飢餓状態にあるためかもしれない。

11月末に施設内で介護認定見直しの面接があり、その結果通知が施設に直接届くよう実家のある市役所に依頼した。市役所の担当は心得ていたようで、事情を話すとすぐ了解してくれた。トイレや入浴など物理的な体力は退院後2ヶ月経ち回復してきたので、介護認定は現状の据え置きになる可能性が出てきた。

老人ホームに入居後は、母を定期的に見舞い医療や介護状況をみて、治療や介護・リハビリ等について家族としての了解を出すことくらいだ。生活の2割程度か。その他は税金から病院・施設の支払い、実家の農業・森林組合・共同組合とやりとりし、お寺とお墓や庭の手入れと近所のお付き合いだ。やり始めて事情が分かると放置できないことばかりだ。

後者にかける時間の比率が5割程度。一方、残りの3割は自分自身の為と東京の家族の生活の為に時間を使う。殆どはネット経由で出来る。私が気軽に考えていた「5割」がとても重くなってきた。解の無い方程式を解いているような気がする。田舎にいる間散々考えたが、いまだ答えは見つからない。■

コメント
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