空港に向かう前に急ぎ書き込んでいる。昨日母を見舞うと、私が帰京するのを覚えていて、今度は半年後かと聞いた。入退院を繰り返すようになってからこんな質問は初めてだ。少しでも安心させる積りで、「大丈夫だよ、3ヵ月後の2月には戻ってくるよ」と返事した。車椅子で動く母の体が傾いているのが気になるが、担当看護婦によると特別に異常は見当たらないという。
友人と松山で食事をして別れを告げ、急ぎ実家に向かった。昨日が、実家が所有する不動産の国土調査立会いの最後の日だった。昨年までは山林、今年は田畑が対象だった。予定の1時間遅れで現地に着くと、係員が待っていた。他に立ち会っていたのは同級生の二人で、一人は酒飲みの誘い、もう一人は近くの山のハイキングと、毎回同じ会話を繰り返して再開を誓った。
そのあと実家に戻り準備してあった本や衣類等を宅急便で送った。いつもの事ながら往復するだけで読まない本だ。東京と田舎を何回も往復した本がある。いつも本を沢山持ち帰るのを見て家内は揶揄するが、荷造りする時は読む気マンマンなのだ。手付かずで東京に戻る本がどれほど魅力のある本かはまだ分からない、今はいわば「ジャケ買い」状態だ。
手持ちのバッグにも2、3冊本を入れた。今読みかけの「会計破綻」(エンロンの粉飾決算を描いたNF)と、100円ショップで買った数独だ。最近はパソコン環境の移動はUSBメモリーなので場所をとらない。それと娘から借りたiPadだ、これは移動中のネットアクセスがとても便利だ。だが、それでもバッグの中は結構紙情報が多い。転送されてくる手紙など書類は持ち帰らざるを得ない。
先週くらいから全てが帰京モードに入っていたのだが、土曜日に自治会の臨時集会があった。地区集会所が傷み改築もしくは新築しなければいけなくなり、市の補助はあっても住民の負担もそれなりにあるということだ。集会は住民に負担を選択し覚悟させる目的といってよかった。
集会所の健全な半分を残し修繕する案と、すべて取り壊し市の財産として新築する場合の総費用が夫々336万円と1144万円かかるという。地区の負担は一戸当たり6万円と13.5万円という事で、一も二もなく改築案で纏まった。私が会社勤め時代のテキパキした議事進行に比べると、議長の采配やプレゼンが酷く曖昧だった。私は若干イラついたが落ち着くところに落ち着いた。
集会所は年数回の使用なので、負担金ほどの値打ちもないように私は思った。しかし、誰からもそんな質問はなかった。この集落には32戸あり、そのうち独居老人の2戸は負担から外すという。一番若いはずのアパートの住民は計算から除外されている。これも高齢化社会の極端な表れだ。私は住民では無いが、実家があるということで当然のように一員として振舞う。少し変かも。■