市役所で高齢者の健康診断の手続きを済ませた後、その隣にある大国魂神社に向かうと参道の両側にぎっしりと出店が並んでいた。今頃何だろうと訝りながら歩き続けると、前方に小太りで洒落た渋い和服姿の老婦人を見つけ、いつもの様に気楽にしかし丁寧に「今日何でしたっけ?」と聞いた。
すると彼女も気楽な感じで「栗祭だって!私も何かと思ったのよ」と返事が返ってきた。俺って自然な感じで会話に持ち込むのうまいなと自画自賛しながら「そういえばそうだね、今頃だったよね」てな具合に相づちを打ち話しながら歩を続けた。すると、直ぐ前を歩く見かけ30半ばの女性が突然振り向いて、「スミマセン、今日何なんですか?」と老婦人に聞いてきた。
老婦人は栗祭だと答えて、私の顔を見て笑った。私も「驚いたね、全く同じ質問をするなんて」と若い女性に聞こえるように応じた。その女性はにこりともせず礼を言って前を歩き始めた。気恥ずかしかったのかもしれない。彼女は私たちの会話が聞こえる距離で歩いていたはずで、もしそうなら何故そんな質問をしたのだろうか。
意地悪く考えれば、わざわざ振り返って後を歩く人に私がしたのと同じ質問をしたことになる。質問された老婦人の身なりや身のこなしは「いかにもお祭りや神社のしきたりを知ってる」感があった。私もそう思ったから声をかけた。もしかしたら奇跡が起こったのでは、と私は思った。日常生活の中の小さな奇跡だ。■
すると彼女も気楽な感じで「栗祭だって!私も何かと思ったのよ」と返事が返ってきた。俺って自然な感じで会話に持ち込むのうまいなと自画自賛しながら「そういえばそうだね、今頃だったよね」てな具合に相づちを打ち話しながら歩を続けた。すると、直ぐ前を歩く見かけ30半ばの女性が突然振り向いて、「スミマセン、今日何なんですか?」と老婦人に聞いてきた。
老婦人は栗祭だと答えて、私の顔を見て笑った。私も「驚いたね、全く同じ質問をするなんて」と若い女性に聞こえるように応じた。その女性はにこりともせず礼を言って前を歩き始めた。気恥ずかしかったのかもしれない。彼女は私たちの会話が聞こえる距離で歩いていたはずで、もしそうなら何故そんな質問をしたのだろうか。
意地悪く考えれば、わざわざ振り返って後を歩く人に私がしたのと同じ質問をしたことになる。質問された老婦人の身なりや身のこなしは「いかにもお祭りや神社のしきたりを知ってる」感があった。私もそう思ったから声をかけた。もしかしたら奇跡が起こったのでは、と私は思った。日常生活の中の小さな奇跡だ。■