かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

米中第1段階通商合意の意味

2020-01-17 21:05:31 | ニュース
米中貿易交渉の第1段階の正式合意を受け、市場は好感しダウ平均は史上最高値を付け、日経平均も2.4万円台を回復した。投資家心理は改善したがこの先の展望はもろ手を挙げて歓迎というより、用心深く今後の交渉の推移と大統領選の行方を見守るものと予想されている。

例によって私の天邪鬼な評価を紹介する。

先ず、第一にトランプ大統領の目的は自分が大統領に再選されることで間違いないが、動機が何であれ世界中が深刻な問題だと思っても踏み込めなかった中国の知的財産侵害に切り込み、不十分でも中国に改善の約束をさせたことだ。他のどの国もが無しえなかったことで、私は高く評価する。

直ぐにお金に繋がらないがこの種の競争ルールの積み重ねを続けていくことが極めて重要だと考える。目先の困難を何とかしようとおカネにつられて基本的な所で妥協する国が世界中にある。この点では先進国も発展途上国も大した違いはない。米国しか出来ない。次の大統領が誰でも続けて欲しい。

同時に上院で大統領弾劾裁判が開始されたが、弾劾される可能性はないが裁判の過程で選挙に影響する可能性はある。今回の通商合意を受け農家の支持が36%から39%に上昇したらしい(1/17ロイター)。大接戦になると予想される所謂ラストベルト諸州ではこのちょっとした差で勝者が決まる(小選挙区みたいに勝者総取り方式)という計算がありトランプ氏は心強く感じているはずだ。

だが、これは目先の判断だ。今回の合意で中国は2年間で米国から22兆円の買い物をする約束をしたが、その先は何の約束もない。農家は輸出が増えると言っても安易に生産規模を倍増させ、2年後に激減させる判断が可能だろうか。2年後に中国は強い交渉材料を持つことになる覚悟が必要だ。

言い換えると、今回の合意をトランプ大統領は中国との交渉に勝ったと宣伝するだろうが、2年後に中国から得たものを守る為に追い詰められる恐れがある。更にもっと深刻なのは、今日の日経が報じた様に自由貿易のリーダーだった米国が、目先の利益の為管理貿易に傾き世界通商体制を揺るがすことだ。

例えば私のブラジル通貨建て資産にもう影響が出ている。今回の合意で中国向け大豆生産をもくろんでいたブラジルは打撃を受け既にリラは評価を下げた。このような例が第三国から中国向けのエネルギーや車などの取引に影響を与えると懸念されている。最後に私の泣き言で終わりたい。■

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 私のレディファースト論 | トップ | 年金手帳と青ペン »

コメントを投稿

ニュース」カテゴリの最新記事