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アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』の第8回目です。

以前もお伝えしたことを反復しておきます。

アドラーは、個人を探求する方法― 言い換えれば、ライフ・スタイルを理解する方法 ― を「精神生活の3つの入り口」と称し、次の3つとしました。

1.きょうだいとの関係における子どもの位置
(=いわゆる「家族布置」)

2.最初の児童期記憶
(=いわゆる「早期回想」)

3.夢

今回は、2.の最初の児童期記憶(=いわゆる「早期回想」)について。

まずは、「早期回想」について簡単に触れておきます。

「早期回想」というのは、子ども時代の思い出のことで、フロイトが忘れたことを重視したのに対して、アドラーは、覚えていることを重視しました。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』では、「早期回想」のうちの最初の記憶を重視し、次のように書いています。

最初の記憶が人間の精神(生活)を深く洞察させるという認識は、アドラーの最も偉大な発見の1つである。
最初の4-5年間の子どもの生活は、その後の発達に関して決定的であるという着想から出発して、アドラーは最も早い回想にとても興味を引かれた。それというのも、そうした回想は、ライフ・スタイルの築き上げられつつあった時期へ立ち戻るのが普通だからである。

さらには、別のところでアドラーの言葉を引用しつつ次のように書いています。

アドラーは、「我々は記憶のなすがままになるのではない。我々は、それを選ぶのだ」と言うのが常だった。彼はいつも、記憶をこね上げるのはライフ・スタイルである、という事実を強調した。


この本では、続いてアドラーの「幼児期の回想によって、ライフ・スタイルのどんな誤った方向も、共同体感覚の欠如も、あるいはその逆も発見することができる」を引用し、きょうだいの誕生、病気や死の回想の意味にも言及しています。


ところで、『アドラー心理学教科書』(ヒューマン・ギルド)によれば、「早期回想」とは次に5つの条件を満たす回想だとしています。

1.ある日ある所での特定の思い出であること

2.始めと終わりのあるストーリーであること

3.ありありと視覚的に思い出せること

4.感情を伴っていること

5.できれば10歳くらいまでの出来事の思い出であること


私の早期回想の訓練過程では、とにかくいろいろな人の早期回想を聞きまくって、「易者よりもあたる」と言われて、悦に入っていた記憶があります。

アドラーの理論から、いわゆる「パクリ」をする人たちは数限りなくいますが、パクり切れないのが、この早期回想でしょう。
実地に訓練しなければ所詮ムリなのです。

話を戻せば、早期回想は、単独の(1つの)回想で事足りるものでなく、最低3つくらいを収集し、それらに共通するパターンを見抜かなければなりません。

この本でも、それに関して次のように書いています。

我々は、けっして孤立した記憶を解釈すべきでない。我々は、2つの点だけからでは幾何学的な線を引くことができないように、しかるべき問題点をいくつか捕まえなければ肝心なことはわからないものである。

また、NLPよりも60年以上早く(1)視覚型、(2)聴覚型、(3)運動型、の3つの感覚タイプによる早期回想の違いによって、職業指導にも生かせることが書いてあり、アドラーが「早すぎた予言者」と言われる理由がわかる気がします。


H.オーグラー著『アドラー心理学入門』には、面白いことにアドラー自身の早期回想(有名な「墓地の思い出」)も載っていますが、ここでは省略します。



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