アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

年末・年始の休みに入ってゆったりしています。

今年は、あまり根を詰めずに河合隼雄氏の本を次から次へと読んでいます。

比較的最近読んだ本で、「カウンセラー/セラピストならこのくらいは知っておいてほしい」という内容が込められた本が『人の心はどこまでわかるか』(講談社+α新書、740円+税)。

人の心はどこまでわかるか
(講談社+α新書)
河合 隼雄
講談社

心理療法家として活躍している人からの質問に河合氏が答えるかたちの本なので、カウンセリング/心理療法に関わる人ならわきまえておかなければならないないようが書かれています。

「先生(河合氏のこと)が現在のような面接がおできになるようになったのは、いつごろからですか?」の質問に対しての答えにびっくりさせられます。

「私がいまのようなかたちで面接できるようになったのは、やはり50代後半になってからでしょうか?」とさりげなく答えています。

河合氏がアメリカ留学したのが30歳前のことですから、なんとカウンセリング/心理療法に本格的に関わるようになってから30年経って、ということになります。

「私の心理療法の考えは中国古代の思想家、老子と重なるところが大きいです」と書いている河合氏は、謙虚にも、次のようなことを書いています。

「私は、自分の仕事のことをよく、『何もしないことに全力をあげる』と表現します。
つまり、doingではなく、 beingが大切だといいうことです。
心理療法の根本は、『そこにいる』ことであって、これができるようになったら、はじめて自分の心理療法は完成したと言えるのだと思っています。それができないから、いつも自分の心理療法家としての資質に疑問を感じてしまうのです」

この他にも下記の言葉が散りばめられていて、カウンセラー/セラピスト、あるいはそれらを志す人にはハッとさせられる言葉がオンパレードです。

・「『自分はだめじゃないか』という気持ちをもっていないと、進歩がありません。私はいま臨床心理関係のほかにいろいろな仕事をしていますが、それでも臨床をやめる気がないのは、ここでやめたら自分に進歩がなくなり、あとは堕落するだけだと思うからです。
『自分はだめじゃないか』という思いがしなくなったら、それはほんとうにだめになった証拠です」

・「正しい訓練を受けてこなかったから無理もないのですが、父性の出し方を勘違いして、暴力的に振る舞う人がいますが、それは輝く父性ではなく、粗野というものです」

・「何度も自分の資質に懐疑的になることはあっても、一本の筋だけはずっと通っているもので、私の場合、それはユングの理論です。これまでにも、壁にぶち当たることはあっても、『もうユングではやっていけないのではないか』と思ったことはありません」

私は「『もうアドラーではやっていけないのではないか』と思ったことはありません」という立場の人間ですが、これはアドラー心理学の奥深さと、ペルグリーノ博士という良き師を持っていることのお陰です。

それでもなお、他派からも学ぶ謙虚さを持ち続けていたいものです。

『人の心はどこまでわかるか』
は、読んだ人が謙虚になれる本です。

<お目休めコーナー>12月の花(22)

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