1986年8月16日(土)
-トルファン散策後ウルムチへ戻る-
朝・昼飯代 11元
ピール他 4元5角
貸切日本車負担分 30元
宿泊代分(トルファン賓館) 15元
アスターナ・ベゼクリク入場料 8角
バス代(ウルムチ市内循環) 3角
(レート 1元=約42円)
トルファンでも街の変化は大きい。
それでも賓館は「ぶどう棚のある舞台」などに以前ののんびりとした風情が残っている。
昨夜は観光客も多くて、とうとう我等の宿舎は穴倉部屋となった。
穴倉といっても地下一階で、確かに涼しいし、異国情緒もあるのだが、窓(通気孔)の位置が悪い。
地上では、通気孔付近が駐車場になっているらしく、排気ガスが部屋に流れてくるのだから・・・このままでは排気ガスに殺されてしまいそう・・・別の部屋に移動できないか聞いたが、返事は「没有」。
で、夕刻にはウルムチへ戻る事にした。
昨日にロバタクで市内の主なところを観て回ったので、今日は、郊外のアスターナ古墳やベゼクリク千仏洞等へ行こうと、「CITS(中国国際旅行社)」に様子を見に行くが、なんだかはっきりしない(毎度の事ながら・・・)。
そんな時、一人の日本人男性が現れた。
彼はCITS顔負けの働きで、日本製マイクロバスを一台チャーターして来た。
我等はぶどう棚の下でビールを飲みながら、何の働きもせずに、この「トルファン郊外半日観光コース」に便乗する。
ありがとうね・・・おばさんたちは疲れているので・・・・。
西遊記で有名な火焔山が、まさに、燃え立つ中、ベゼクリク千仏洞へ向かう。
前回は大水のために道がなくなり、観光が中止になったところだ。
このバスの運ちゃん、右や左にカーブする山道を、かなり乱暴に運転する。
同乗者のひとりは、一週間前にこの道で転落したという・・・・在りそうだ。
千仏洞は、敦煌莫高窟と同じく、各々の窟に丈夫な扉が付けられている。
が、ここは、かつて、各国の探検者によって、多くの壁画が剥がされたところで、窟内はその痕が無残な姿を見せていた。
それぞれ言い分があるのだろうが、その場所に行かなければ観る事が出来ない、一生憧れ続けても観る事が出来無い、そんなものも、あっていいように思うけれど、どうなんでしょうかねぇ。
人間の作ったものは何時しか自然に風化してしまう・・・というのが、私は好きだが・・・・。
高昌故城、アスターナ古墳群、カレースと熱砂の中の見学。
ともかく暑い。
のども渇く。
ツアー同乗者(みんな日本人です)の中には、車の冷房をガンガン入れてと喚いている。
ねえねえ、根性無いよねえ・・・日本では体験できない酷暑の街へ、わざわざ来たんでしょ・・・熱風に吹かれてこそ、ここに来た甲斐があるってものでしょうに・・・。
それに引きかえ、この街のロバタクを操る男の子達(14、5歳かな?)は実に根性がある。
ロバタク料金はしっかりぼるし、怪しげな漢語と英語を駆使し、「Change Maney」を連発して外貨を獲得する。
外貨を何に使うのが聞いてみると、ウルムチへ行き、服を買うのだという。
そればかりでは無いだろうが、外貨だと、欲しいものが手に入りやすいのは確かなようだ。
彼等の夏の不正な儲け仕事・・・上手に稼いで・・・と思うのは、たいした被害も受けなかった観光客の感傷か・・・・いえいえ、彼等の根性が気に入ったのですよ。
でも、我等もカモにされてばかりでは面子が立たない。
そこで、役に立つ日本語をワンフレーズ教えてきた。
はい、みなさん。大きな声で言いましょう・・・タカイヨ、タカイヨ、ロバタク、タカイヨ・・・・。
ウルムチへの帰りのバスは、何事も無く、穏やかに、再び天山を越えて行った。