見もの・読みもの日記

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2015春の展覧会拾遺(2):平成27年 新指定 国宝・重要文化財(東京国立博物館)ほか

2015-05-19 23:45:08 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京国立博物館 本館8室、11室 『平成27年 新指定 国宝・重要文化財』(2015年4月21日~5月10日)

 秋の正倉院展とゴールデンウイークの新指定国宝・重文を見ることは、もはや欠かせぬ年中行事となっている。昨年から(?)彫刻は本館11室の彫刻展示室に混じり、他は2階の8室に並ぶことになった。

 今回は古画が多めで、見覚えのある作品もたくさんあった。たとえば出光美術館の『日月四季花鳥図』(六曲一双屏風・室町時代)は、わりと最近、存在を意識したものだと思う。同じく出光の『江戸名所風俗図』(八曲一双屏風)は、若衆歌舞伎や湯女風呂など熱気にあふれた遊楽都市・江戸を緻密に描いて、何度見ても楽しいもの。サントリーの『酒伝童子(酒吞童子)絵巻』もあり、『病草紙』断簡の、文化庁保管1枚と九州国立博物館保管の3幅1枚がまとめて展示されていたのも嬉しかった。

 しかし何より驚いたのは、遠目にも目立つ大きさの、平安時代の貴人の肖像。これは京都国立博物館の平成知新館オープン記念展『京へのいざない』に出ていた『鳥羽天皇像』ではないか!とすぐに気づいた。あのとき、京博の展示リストには所蔵者が記載されていなくて、ネットで調べて「和歌山・満願寺に伝わるもの」という情報を得たが、今回の目録は根来寺の所蔵となっている。

 松岡美術館の墨画淡彩『竹林閑居図』(室町時代)は記憶にない作品で、清々しく美しかった。松岡美術館って、あまり水墨画のイメージがなかったなあ。今度チェックしてみよう。考古・歴史資料では、北海道の羅臼町が保管するオホーツク文化期の資料、海の文化史にかかわる『過所船旗』『能島村上家文書』が興味深かった。都城市島津邸(博物館)が保管する『朝鮮国書』は、日本に残る最古のものらしいが、つい「ホンモノ?」と疑ってしまう。彫刻(仏像)は東大寺のいわゆる「試みの大仏」が国宝指定に。はるばる東国にお越しいただき、感謝。

 平成館では特別展『鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-』(2015年4月28日~6月7日)が始まっていたが、会場に入っても『鳥獣戯画』に到達するまで、下手をすると2時間から3時間も待つらしいと聞いて、今回は見送ろうと思っている。もちろん原本を見ることに意義はあるけどさあ…。本館・特別1室では『鳥獣戯画と高山寺の近代-明治時代の宝物調査と文化財の記録-』(2015年4月28日~6月7日)という特集陳列が行われている。明治時代に山崎董詮が模写した『鳥獣戯画』甲巻が気前よく広げてある。線に勢いがあり、なかなか達者である。写真も撮り放題。

 混雑といえば、連休明けに根津美術館の尾形光琳300年忌記念特別展『燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密』(2015年4月18日~5月17日)を見てきた。根津美術館でチケットを買うのに並ぶ(5分くらい)って、どういうこと?と呆れてしまった。まあMOA美術館の『紅白梅図屏風』に加えて、相国寺の『蔦の細道図屏風』を見ることができ、五島美術館の『紅葉流水図団扇』をはじめ、複数の団扇図をまとめて見ることができるなど、確かにお得感のある展覧会ではあったが。
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