■京都市京セラ美術館 開館記念展「京都の美術 250年の夢」『最初の一歩:コレクションの原点』(2020年6月2日~9月6日)+開館記念展『杉本博司 瑠璃の浄土』(2020年5月26日~10月4日)+『コレクションルーム 夏期』(2020年6月25日~9月22日)
旧・京都市美術館が約3年間の休館・改修工事を経て、「京都市京セラ美術館」の名前でリニューアルオープンした。現在、入館は予約制(30分単位)で展覧会ごとに申し込まなければならない。これにはけっこう悩んだ。開催中の展覧会は『最初の一歩』『杉本博司』『コレクションルーム(常設展)』の3つ。『杉本博司』展は別館らしいので最後にした。だが、それぞれの展覧会の所要時間が全く読めない。とりあえず30分刻みで入れておけば、2つ目と3つ目は最大30分まで入館が遅れても大丈夫…と考えた。
建物の印象はあまり変わっていなかったが、近づくと、アプローチが広くなだらかに掘り下げられ、車寄せの下に新たな入館口ができているのが分かった。ここで1つ目の展覧会の予約メールを見せて入館する。
中に入るとチケットブースがあって、全ての展覧会の入場券をまとめて購入できる。それぞれの展覧会スペースの入退場口でチケットのバーコードを読ませることで、滞在者数を管理しているようだった。しかし2つ目と3つ目の会場では予約メールを見せる必要はなかったので、時間配分をさんざん悩んだのに拍子抜けしてしまった。
『最初の一歩』は、開館3年目(1935年)の「本館所蔵品陳列」に出品された、コレクションの原点となる所蔵作品47点を一挙に展示する。岡田三郎助、福田平八郎、菊池契月などの名前がある。歴史画しか知らなかった川崎小虎の『森の梟』が可愛かった。中村大三郎『ピアノ』など、当時の風俗を知ることができるものもよい。また同館の建築設計図案(前田健二郎)や『欧米美術館調査報告』も興味深かった。同館の巨大なアトリウムは、先端的な欧米の美術館に倣って設けられたものだという。
『コレクションルーム(常設展)』は季節に合わせて展示替えをするそうで、夏らしい作品が多く出ていた。野長瀬晩花の『初夏の流』は、2018年の和歌山県立近代美樹館『国画創作協会の全貌展』で見て、とても印象的だったもの。再会できて嬉しかった。 女性画の特集もあり、上村松園の美人画を初めてよいと思った。数少ない仏画『天人』(屏風と対幅)を見ることもできた。『杉本博司 瑠璃の浄土』は、同氏の審美眼によって集めた古美術品と同氏の創作が混じり合う不思議な世界だった。
■相国寺承天閣美術館(休館)
この日は関西旅行最終日。どうやら新幹線もガラガラらしいので、もう少し遊んで行こうと考えた。承天閣美樹館で『若冲と近世絵画』(I期 2020年8月2日~10月11日)開催という情報をどこかで見たはずなのだが、行ってみたら休館中だった。ガッカリ。
■千本釈迦堂 大報恩寺(京都市上京区)
そこで、再びバスに乗って、昨日、時間があれば行きたかった千本釈迦堂へ足を伸ばす。ここは8月8日~16日の間、「六道参り」または「精霊迎え」と呼ばれる行事が行われる。境内の至るところに紙製の灯籠が飾られ、参拝客を迎えるテントがしつらえられていた。
たぶん最後に来たのは2007年の年末で、人の少ない宝物館が寒かったことを覚えている。今回も私がいた間はひとりで、入れ代わりにおじさん二人連れが入っていった。建物は13年ぶりだが、六観音をはじめとする仏様には、2018年の東博『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』でお会いしている。やっぱり准胝観音がいいなあと思う(東博展の鑑賞記では「巧すぎる」と書いているけど)。そうそう、十大弟子のみなさんにも東京でお会いしました。
この時期は本堂に上って本尊・釈迦如来坐像を拝観することもできる。東博展の記録には、厨子の内部の天蓋が云々と書いているが、そこまでは気をつけて見なかった。