○Fantasy on Ice 2023 in 宮城、初日(2023年6月2日 17:00~)
今年もアイスショーFaOI(ファンタジー・オン・アイス)の季節が巡ってきた。昨年のチケット争奪戦には泣かされたが、プロ転向を表明した羽生くんが、矢継ぎ早に新たなアイスショーを立ち上げたこともあって、FaOIへの注目は、少しクールダウンしたように思う。それでも、やっぱり土日のチケットは入手困難。宮城公演は金曜しか当たらなかった。私は在宅で12:00まで仕事をしたあと、東京駅から新幹線で仙台に向かった。新幹線の車中でもPCを開いて仕事の続きをしていた。
この日は台風2号の接近で、線状降水帯が発生し、山陽新幹線や東海道新幹線の運転見合わせが発生する大雨になった。まあ神戸や静岡の公演に当たらなくて幸いだったかもしれない。仙台駅からシャトルバスで、利府町のセキスイハイムスーパーアリーナに到着。FaOI 2019公演で来たときは、真夏のような青空で、お祭りみたいな露店の列をのぞいてまわるのが楽しかった思い出がある。今回は、サブアリーナに駆け込んで雨宿り。そのあと、少し開場を早めてくれたので、アリーナに移動した。座席は東側スタンドA席で、いちばんショートサイド寄り(ステージから遠い)のブロック。
Aツアー(幕張、宮城)の出演者を書き留めておく。男子は、羽生結弦、織田信成、田中刑事、友野一希、山本草太、ステファン・ランビエル、ハビエル・フェルナンデス、ジョニー・ウィア。女子は、荒川静香、三原舞依。アイスダンスはパパシゼ(パパダキス&シゼロン)、ライラ・フィア―&ウィル・ギブソン。それにエアリアル(フライング・オン・アイス)のメアリー・アゼベド&アルフォンソ・キャンパと、AiRY JAPAN with BLUE TOKYOのチーム。アーティストはDA PUMPのISSAとKIMI、夏川りみ、福原みほ、バイオリンのNAOTO、そして音楽監督は鳥山雄司。
私が長年、FaOIをお気に入りにしてきたのは、海外スケーター(特に男子)の演技を見ることが目的だった。それでいうと、今年の布陣はちょっと寂しい。もちろん、久しぶりのフェルナンデスは品よくドラマチックでカッコよかった。ランビエルは前半がマーラー交響曲第5番、後半が「Simple Song」(韓国のソプラノ歌手スミ・ジョーの歌唱)の2プロ。どちらも拍手さえためらわれる至高の演技だった。ゆっくりした一蹴りから、滑らかな軌跡が氷上に生まれ、それが永遠に続いていく。美しい夢を見ているようだった。
今年でプロ引退を表明しているジョニーは前半がなつかしい「Creep」、孔雀のような虹色の衣装だった。後半は、これもなつかしいレディーガガの楽曲で始まり、しっとり終わる「clair de lune」、白鳥をイメージした純白の衣裳。全盛期に比べれば、体型も変わり、動作もモタつき気味だけど、やっぱりオンリーワンの魅力がある。フィギュアスケートって、少なくともアイスショーでは、こういう男女を超越した表現がありなんだ、ということを教えてもらった。本当にありがとう。
あとはパパシゼ。前半のトリでは、福原みほさんの生歌「I Will Always Love You」(ホイットニー・ヒューストンの名曲)とコラボの王道プロ。後半の「In Line」は「机プロ」が代名詞になっているみたい。会議室にあるような長机(に見えた)を氷上に持ち出し、これを挟んで二人が演劇的な演技を繰り広げる。机を叩いて言い争ったり、座ったり、寝そべったり。もちろんダンスの見せ場も十分にある。
荒川静香さんは、年々凄みと深みを増している気がしている。特に後半の「I’d Give My Life for You」(ミス・サイゴンから)は、戦場を思わせるヘリコプターの音、赤い照明から始まる。昨年の「ひまわり」もそうだったが、大きく感情が揺さぶられるプロだった。
大トリの羽生くんはDA PUMPとコラボの「if…」。大きく身体を使って、激しく動く動く。最後は両足を前後に開脚した決めポーズ。ちょっとおばさんはついていけてないかもしれないが、若い子たちが大喜びだったので何より。そのあと、群舞の「USA」は分かりやすくノリノリで可愛かった。
今回、ステージの一部がリンクの中央に移動する仕掛けを使っていて、賛否はあったけど面白かった。あと「AiRY JAPAN with BLUE TOKYO」のエアリアルも私は楽しめた。これから出演者も観客も代替わりしていくと思うので、いろいろ試してみていいと思う。でも、会場アナウンスが、いつもの声の方(蒲田さん)から変わっていたのは、ちょっと寂しかった。終演後は雨も小降りに。仙台駅前で遅い夕食を食べ、1泊した。