見もの・読みもの日記

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令和4年度新収品+常設展(東京国立博物館)

2023-06-22 21:41:38 | 行ったもの(美術館・見仏)

東京国立博物館 本館・特別1室-特別2室 特集『令和4年度新収品』(2023年5月30日~6月25日)

 ホームページに「毎年開催する新収品展」という記載があるのだが、実はあまり記憶がなかった。調べたら、2020年と2021年は10月に平成館の企画展示室で開催されていたようだ。10月は展覧会が多い上に、平成館はどうも見落としがちなのである。自分のブログ内を献策したら、平成17年度(2006年)とか平成23年度(2012年)とか、すごく古い記事が出てきて懐かしかった。

 今回の展示は34件。ローマ時代のガラス三連瓶とか、インドネシアのクリス(短剣)とか、ミクロネシア・ヤップ島の石貨とか、意外な地域の品が混じっていて面白かった。中国・朝鮮関係はもちろん多い。これは唐時代・7~10世紀の彩色塑像で、CTスキャンで判明した制作技法から「この菩薩像は中国甘粛省の石窟寺院にあったものと考えられます」とあった。敦煌かなあ。そこまで断定はできないんだろうか。

 また、紺綾地龍文様刺繡の袍は、清朝皇帝の龍袍のようだが、おそらく舞台衣装で、皇帝を演ずる俳優が着たものだろうとういう。確かに横幅があり過ぎて違和感があった。

 中細形銅戈は、中国ものかと思ったら、弥生時代中期のものだった。日本でもこんな立派な青銅製の武器が出土しているのかと驚いた。もっともWikiを読んだら「日本における銅戈はその形状や使用痕が殆んどないことから、戦闘用ではなく祭礼用であろうと推測される」とあって、ほっとした。東京帝室博物館で博物館員から鑑査官、歴史課長を歴任した高橋健自氏(1871-1929)旧蔵、出土地は不明という。

 これは朝鮮時代の文字絵屏風。トラがちょっとシン・ゴジラの蒲田くんぽくてかわいい。

 また小さいがリアルな「泣く子」「薬玉」という2件の「衣装人形」が出ていた。作者の平田郷陽(1903-1981)は、安本亀八の弟子だった父の跡を継ぎ、生人形師として修行し、1955年には重要無形文化財「衣裳人形」保持者に認定されている。明治の技芸が、ちゃんと受け継がれ、伝わっているということが感慨深かった。

■本館・便殿 『鳳輦』(2023年1月11日~2024年3月31日)

 階段を上がったところの小部屋に珍しい品が展示されていた。孝明天皇が安政2年(1855)に新造内裏(現在の京都御所)に遷幸する際に用いられ、また明治天皇の東京行幸の際にも用いられたものだという。がっしりして重たそうで、何人くらいで担ぐのかが気になった。

■東洋館・8室(中国の絵画) 特集『水中の楽園』(2023年6月6日~7月9日)

 『蓮池水禽図』『藻魚図』など、水辺や水中の動植物を描いた絵画を集める。永瑢筆『魚蔬図巻』を見つけて、懐かしい人に遇った気持ちになった。作者は乾隆帝の第六皇子。振り返ったら、私は2022年にもこの作品を見て、胸を騒がせていた。

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