○浦沢直樹、手塚治虫『Pluto(プルートゥ)』第2巻 小学館 2005.6
手塚治虫「鉄腕アトム/地上最大のロボット」の”リメイク”として、話題の作品。昨年9月に第1巻が発売されてから、半年。第2巻がどんなに待ち遠しかったことか。しかし、物語は遅々として進展しない。
中央アジアに覇権を打ち立てたペルシア王国の独裁君主。世界のリーダーを自認するトラキア合衆国のアレクサンダー大統領は、ペルシア王国に「大量破壊ロボット」が隠されていると主張し、調査団を派遣。しかし「大量破壊ロボット」は見つからないまま、戦争に突入――どこかで聞いたようなプロットが、ようやく浮かび上がって来たが、まだまだ序章のうちという感じがする。当分、このテンポで引っ張られるのかなあ。う~せっかちな私には、ちょっとキツイなあ。
○吾妻ひでお『失踪日記』イースト・プレス 2005.3
私は吾妻ひでおファンだった。いまでも公言するのはちょっと恥ずかしいが、ええい、勇気を出して言ってしまおう。『不条理日記』『メチルメタフィジーク』『狂乱星雲記』など、飽きずに繰り返し読んだものだ(弟が買ったものを読ませてもらっていた)。かなりエロかった。あの頃、吾妻ひでおのわけのわからない世界に熱狂していた10代後半~20代のマンガおたくたちも、今は30~40代のはずだ。みんな、どんなに大人になっているのだろう。
その後、吾妻ひでおの消息はいつの間にか途絶えてしまった。断筆したとか、失踪したとか、と思ったら復活したとか、ときどき噂を聞いたが、あまり気にかけていなかった。そうしたら、突如として新刊書の棚に本書が現れた。はじめ、私は怖くて手に取れなかった。失踪、自殺未遂、路上生活、肉体労働、アルコール中毒、強制入院など「全部実話です(笑)」という内容の凄まじさに引いたのではなくて、「面白くなかったらどうしよう」と思ったのだ。好きだった漫画家の、面白い作品が書けなくなった姿を見るくらいなら、このまま忘れてしまいたい。冷たいようだが、ファンの心理はそんなものだ。
その心配を払拭してくれたのは、いしかわじゅんの書評である。私が目にしたのは、新聞か雑誌に載ったものだが、いま、ネット上にある同氏の文章を引いておく。
http://www.comicpark.net/ishikawa050304.asp
私と同様の不安を抱いて、まだ本書を読んでいない人に告げたい。大丈夫、吾妻ひでおはまだ面白いよ。
手塚治虫「鉄腕アトム/地上最大のロボット」の”リメイク”として、話題の作品。昨年9月に第1巻が発売されてから、半年。第2巻がどんなに待ち遠しかったことか。しかし、物語は遅々として進展しない。
中央アジアに覇権を打ち立てたペルシア王国の独裁君主。世界のリーダーを自認するトラキア合衆国のアレクサンダー大統領は、ペルシア王国に「大量破壊ロボット」が隠されていると主張し、調査団を派遣。しかし「大量破壊ロボット」は見つからないまま、戦争に突入――どこかで聞いたようなプロットが、ようやく浮かび上がって来たが、まだまだ序章のうちという感じがする。当分、このテンポで引っ張られるのかなあ。う~せっかちな私には、ちょっとキツイなあ。
○吾妻ひでお『失踪日記』イースト・プレス 2005.3
私は吾妻ひでおファンだった。いまでも公言するのはちょっと恥ずかしいが、ええい、勇気を出して言ってしまおう。『不条理日記』『メチルメタフィジーク』『狂乱星雲記』など、飽きずに繰り返し読んだものだ(弟が買ったものを読ませてもらっていた)。かなりエロかった。あの頃、吾妻ひでおのわけのわからない世界に熱狂していた10代後半~20代のマンガおたくたちも、今は30~40代のはずだ。みんな、どんなに大人になっているのだろう。
その後、吾妻ひでおの消息はいつの間にか途絶えてしまった。断筆したとか、失踪したとか、と思ったら復活したとか、ときどき噂を聞いたが、あまり気にかけていなかった。そうしたら、突如として新刊書の棚に本書が現れた。はじめ、私は怖くて手に取れなかった。失踪、自殺未遂、路上生活、肉体労働、アルコール中毒、強制入院など「全部実話です(笑)」という内容の凄まじさに引いたのではなくて、「面白くなかったらどうしよう」と思ったのだ。好きだった漫画家の、面白い作品が書けなくなった姿を見るくらいなら、このまま忘れてしまいたい。冷たいようだが、ファンの心理はそんなものだ。
その心配を払拭してくれたのは、いしかわじゅんの書評である。私が目にしたのは、新聞か雑誌に載ったものだが、いま、ネット上にある同氏の文章を引いておく。
http://www.comicpark.net/ishikawa050304.asp
私と同様の不安を抱いて、まだ本書を読んでいない人に告げたい。大丈夫、吾妻ひでおはまだ面白いよ。