○東京国立博物館
http://www.tnm.jp/
■本館・歴史資料室 特集陳列『博物館誕生』
毎度、ひいきにしている「日本の博物学シリーズ」の新企画である。昨年、『博物館の誕生:町田久成と東京帝室博物館』という本を読んだ。東京帝室博物館(東京国立博物館の前身)の創設者、町田久成の生涯を描いたものである。伊藤圭介、田中芳男、岩倉具視など、アクの強い明治男たちのドラマが、めちゃくちゃ面白かった。野望、謀略、雌伏、大逆転あり。『小説吉田学校』とか『異形の将軍(田中角栄)』の世界である。
なので、今回の特集には非常に期待していたのだが、行ってみたら、拍子抜けするほどアッサリとしていた。激しく対立した(はずの)博覧会資料も博物館資料も平等に扱っているし。やっぱり当の博物館では、先人たちの確執はオモテに出せないか。残念だなあ...と思って、異能の人、町田久成による篆書体(※)『博物館』の大きな板額をしみじみ眺めやった。
※篆書体チェック!(一心堂印房)←これは楽しい!
http://www.is-hanko.co.jp/shachi/tensho_check.html
華やかな色刷り資料が数ある中で、最も興味深かったのは、明治5年湯島聖堂で行われた博覧会の広告と観覧券(実物は広告のほうが縦がちょっと小さい)。手書きなのか~?
■東洋館 新春特集陳列『吉祥-歳寒三友を中心に-』
東洋館第8室(中国絵画・書跡)で行われている特集陳列。絵画では、『梅花双雀図』(南宋・伝馬麟筆)が”たおやめぶり”の逸品。一方、墨の濃淡だけで奥深い世界を描いた『墨竹図』(清・呉宏筆)もいい。等伯の『松林図』と見比べてみるのも一興。
それから、扇面図がたくさんあって、これも日本の(たとえば琳派の)扇面図を思い出しながら見ると面白い。宗達や光琳の扇面図では、地平線が、自由自在に曲がったり傾いたりするので、めまいに似た感覚が楽しめるのだが、中国の扇面図では、そういうことはないみたい。常に平衡が保たれている。
■東洋館 特集陳列『小林斗盦(とあん)氏寄贈中国印譜』
「印譜」という類の書物があることは、知らないわけではなかったが、こんなに多数を一度に見たのは初めてである。何という文字を刻んだものか、ちゃんと解説が付いているので、見比べていると、頻出する「之」「印」の字形くらいは覚えられる。これを見てから『書の至宝』を見に行くと、面白さ倍増!
多くは自分の姓名を刻んだ印だが、ときどき、変なキャッチフレーズみたいな印があって面白い。あと、たまたま自分の姓と同じ古代の印を手に入れて、その印を使いたいがために、名前を変えてしまったという人がいた。天晴れである。
http://www.tnm.jp/
■本館・歴史資料室 特集陳列『博物館誕生』
毎度、ひいきにしている「日本の博物学シリーズ」の新企画である。昨年、『博物館の誕生:町田久成と東京帝室博物館』という本を読んだ。東京帝室博物館(東京国立博物館の前身)の創設者、町田久成の生涯を描いたものである。伊藤圭介、田中芳男、岩倉具視など、アクの強い明治男たちのドラマが、めちゃくちゃ面白かった。野望、謀略、雌伏、大逆転あり。『小説吉田学校』とか『異形の将軍(田中角栄)』の世界である。
なので、今回の特集には非常に期待していたのだが、行ってみたら、拍子抜けするほどアッサリとしていた。激しく対立した(はずの)博覧会資料も博物館資料も平等に扱っているし。やっぱり当の博物館では、先人たちの確執はオモテに出せないか。残念だなあ...と思って、異能の人、町田久成による篆書体(※)『博物館』の大きな板額をしみじみ眺めやった。
※篆書体チェック!(一心堂印房)←これは楽しい!
http://www.is-hanko.co.jp/shachi/tensho_check.html
華やかな色刷り資料が数ある中で、最も興味深かったのは、明治5年湯島聖堂で行われた博覧会の広告と観覧券(実物は広告のほうが縦がちょっと小さい)。手書きなのか~?
■東洋館 新春特集陳列『吉祥-歳寒三友を中心に-』
東洋館第8室(中国絵画・書跡)で行われている特集陳列。絵画では、『梅花双雀図』(南宋・伝馬麟筆)が”たおやめぶり”の逸品。一方、墨の濃淡だけで奥深い世界を描いた『墨竹図』(清・呉宏筆)もいい。等伯の『松林図』と見比べてみるのも一興。
それから、扇面図がたくさんあって、これも日本の(たとえば琳派の)扇面図を思い出しながら見ると面白い。宗達や光琳の扇面図では、地平線が、自由自在に曲がったり傾いたりするので、めまいに似た感覚が楽しめるのだが、中国の扇面図では、そういうことはないみたい。常に平衡が保たれている。
■東洋館 特集陳列『小林斗盦(とあん)氏寄贈中国印譜』
「印譜」という類の書物があることは、知らないわけではなかったが、こんなに多数を一度に見たのは初めてである。何という文字を刻んだものか、ちゃんと解説が付いているので、見比べていると、頻出する「之」「印」の字形くらいは覚えられる。これを見てから『書の至宝』を見に行くと、面白さ倍増!
多くは自分の姓名を刻んだ印だが、ときどき、変なキャッチフレーズみたいな印があって面白い。あと、たまたま自分の姓と同じ古代の印を手に入れて、その印を使いたいがために、名前を変えてしまったという人がいた。天晴れである。