今回の台湾旅行では、行きたい博物館が3つ(国立歴史博物館、国立故宮博物院、中央研究院歴史文物陳列館)あって、当初は1日1ヶ所を予定していた。ところが出発直前になって、3日目の月曜日は全て休館であることを発見(故宮博物院は無休かと思っていた)。どこか1ヶ所あきらめようとも考えたが、結局、2日目の2月9日(土)は欲張って2ヶ所ハシゴする決意を固めた。
■国立故宮博物院(台北市士林区至善路)
まずは台湾に来たら外せない故宮博物院へ。MRT士林駅で下りると、以前はなかった故宮行きバス乗り場の案内板ができていた。この子は『翠玉白菜』をモデルにした小翡(シャオフェイ)ちゃんで、故宮の館内でもたくさん見かけた。
故宮博物院に到着したのは8:30頃。外のベンチで待っていたら、9:00の開館の10分前くらいに中に入れてくれた。チケットを購入して、入館ゲートのオープンを待つ。開館と同時に、多くの参観客は名品の常設展示に流れて行ったが、私は迷わず、今季の特別展会場へ一番乗り。
【105,107室】「季節の祝い事-故宮所蔵品から見る清代の年中行事とその文物」(2025年1月28日~4月27日)
四時、八節、十二月令、二十四節気など、伝統的な時間周期に合わせ、季節の行事に関連する作品を精選して展示する。風俗画好きにはたまらなく楽しい展示。清朝の官員たち、冬は氷上だか雪上で橇を引かせていたりして楽しそう。
これは「春鞭牛」や「春打牛」といって、立春前日に土牛を鞭打って春耕を始めることを願う行事。古代の日本でも宮中の追儺で土牛を配置した記録があるが、中国では清代にも行われていたことを知る。
【103室】「都市建設の風雲-清代文献と絵図に見える台湾の諸都市」(2024年12月14日~2025年3月9日)
都市建設にまつわる台湾ならではの歴史や物語を、古籍、絵図、文物資料などで紹介する。
台湾における撫民や都市建設について「福康安」が乾隆帝に奏上した文書がいくつか出ていてハッとした。福康安(フカンガ)、金庸の武侠小説やドラマでおなじみの人物なので。
【104室】「四通八達-古代道里交通図籍展2」(2024年12月7日~2025年3月2日)
皇帝の巡幸や陵墓の拝謁用の往復ルート、国境付近の警備軍用辺防図、東西南北を結ぶ大型駅路図など、さまざまな道里交通図を展示。美しい彩色の絵図も多くて楽しかった。日本と違うのは、運河や湖水を利用する水路が主要な交通ルートに組み込まれていることだろう。
【101室】「慈悲と知恵-宗教彫塑芸術」
【102室】「オリエンテーションギャラリー」
【106室】「集瓊藻-故宮博物院所蔵珍玩精華展」
【107室】「貴族栄華-清代宮廷の日常風景」
全体の雰囲気が以前と少し変わっていたのと、恭親王奕訢の写真が飾ってあったので、おやと思ってパネルの説明を読んだ。故宮博物院は1980年代の初め、北京の恭王府にあった紫檀家具を購入した。これらはもともと清朝宮廷にあり、恭親王が咸豊帝から賜って使用していたものだという。そういう由緒に弱いのと、1980年代初めの大陸中国を思いやって、しみじみ眺めてしまった。
(続く)