〇京都文化博物館 特別展・日中平和友好条約45周年記念『世界遺産 大シルクロード展』(2024年11月23日〜2025年2月2日)
一年ほど前、東京富士美術館でやっているなあと思ったが、我が家から八王子は遠くて行き逃してしまった。そうしたら、ちょうど京都に巡回しているというので見て来た。洛陽、西安、蘭州、敦煌、新疆地域などで発見されたシルクロードの遺宝約200点が来日しており、「世界遺産認定後、中国国外で初めて行われる大規模展覧会」という触れ込みである。世界遺産登録っていつ?と思って調べたら、2014年に「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」の名称で登録されていた。
私は1980年代のシルクロードブームを記憶しているけれど、当時はあまり関心がなかった。90年代には、年1回の中国ツア-旅行を繰り返して、新疆地域にも河西回廊にも行った。本展は文物のほかに、遺跡や景勝地の大きな写真パネルが掲示されていて、ベゼクリク石窟!高昌故城!天水の麦積山!!など、懐かしさで息が荒くなってしまった。
展示品は基本的に撮影自由。本展のメインビジュアルになっていたのが、この『瑪瑙象嵌杯』(5-7世紀)。1997年に新疆ウイグル自治区イリ州の古墓から出土したものだという。
マニ教の僧侶に送られた年賀の手紙(11世紀初め)。縦書きで左から右へ読むソグド文字で書かれている。受取人への敬意を示すために極彩色の絵を添える。マニ教とかソグド文字と聞いてわくわくするようになったのは、比較的最近のこと。
『草花文綴織靴』(1-5世紀)。1995年に新疆ウイグル自治区ニヤ遺跡の墓地から出土。女性被葬者が履いていたというくるぶし丈の愛らしいブーツ。一目見て、これは見たことがある!と確信したのだが、どこで見たのか思い出せない。2005年の江戸博『新シルクロード展』があやしいのだが、残念ながら自分の参観記録には記述がなかった。
『献馬図』。唐太宗の葦貴妃墓出土。これも見たことある!と興奮したもの。2005年の江戸博『新シルクロード展』のサイトが残っていて「世界初公開」の文字とともに画像が掲載されていた。まあ私は、所蔵元の昭陵博物館にも行っているので、現地で見ているかもしれない。
武威市雷台墓出土の『車馬儀仗隊』の一部や、敦煌壁画『反弾琵琶図』の模写も懐かしかった。一方、もちろん初めて見る出土品も多数あった。2000年以降にも貴重な文物が出土し続けていることには、単純に感歎する。
『連珠対鹿文錦帽子』(7-9世紀)は、このところ中国ドラマで宋代の「帽妖案」に接していたので目に留まった。
あと、洛陽の白居易故居遺跡から出土した石硯(円形)というのがあって、しみじみ眺めてしまった。
展示会場の出口に巨大なラクダの剥製が展示されていた(東京富士美術館所蔵)。1985年に開催された『中国敦煌展』を記念し、敦煌研究院の段文傑院長から池田大作氏に贈られたもので、常書鴻氏が「金峰」「銀岳」と名づけたのだそうだ。40年を経ても大事に保存されていてよかったね。
また、本展の文物は、中国国内27か所の博物館から集められたもので、その写真付き紹介パネルもあった。いやあ、知らない博物館がたくさん誕生しているんだなあ…行ってみたい。